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だけん、頑張れた。卓球・古川佳奈美の悔し涙はパリでうれし涙に

パラサポWEB

笑顔が一転、涙が流れた。試合に勝った喜びを、グループリーグ敗退の現実にかき消された瞬間だった。

東京2020パラリンピックの卓球女子シングルス(クラス11/知的障がい)に出場した古川佳奈美は27日、グループリーグ最終戦に臨み、香港の王婷莛に3-1で勝って通算成績を2勝1敗とした。しかし、同成績で並んだ2人の選手に取得ゲーム数で及ばず、グループ3位。各組の上位2名が出場する準決勝には進めなかった。

2戦目のストレート負けから気持ちはうまく切り替えられた

25日の第1戦では、前回大会の女王ナタリア・コスミナ(ウクライナ)を3-1で撃破する最高のスタートを切ったが、26日の第2戦ではレア・ファーニ(フランス)に0-3で敗れた。古川は敗戦後、グループ最終戦に向けて練習をしたいと主張したが、井保啓太コーチは「やっても考え込むだけで良いことはないと思った」と却下。選手村に戻って一緒に散歩をするなどし、リラックスと気分転換を重視した。

東京パラリンピック・卓球日本代表の古川(写真は第2戦)
photo by kyodo

迎えた27日のグループ最終戦、「気持ちは切り替えられた」と話した古川は、磨いてきたしゃがみ込みサーブで次々に得点を奪い、相手の返球もバックハンドで仕留めた。途中、返球を急いで台上での下回転レシーブが多くなり、球が浮いて攻められる場面もあったが、サーブでリズムをつかんで試合のペースを取り戻した。回転力だけでなく、相手が攻めたい場面でうまくフォアとバックの間に打って対応を遅らせた配球も効いていた。

1点を奪うごとに、全身から湧き出るエネルギーを感じさせる大きなガッツポーズ。いつもは冷静に試合を見守る井保コーチが、初めてベンチで飛び上がった。その様子が見えたかと古川に聞くと、笑って「レアですね。(普段は)もう、まったくないです」と答えた。

勝ち上がり条件よりもすべてを出し切ることに集中

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試合前から、決勝トーナメントに進めるかどうかは際どいと分かっていた。古川は勝ち上がるための条件を気にしていたが、井保コーチは目の前の試合に集中するように促したという。3-0で勝てば自力で突破が可能。3-1ならもう1つの試合の結果次第だった。

知っておきたかったかと記者から問われた古川は「知らなくて良かったと思います。知っていても、知らなくても、変わらない結果だと思います。すべて出し切ると思っていたので、今日が最後の試合と思っていたんで。だけん、頑張れました」と少しずつ言葉に力を込めながら言った。地元福岡の方言が思わず出るくらいの本音だった。

古川は井保コーチが見せた気合いにも、「すごいうれしかったです。最後だから。でも、今日はコーチも気合いを入れると言われたので、すごい良かったです。心強いです」と感謝を示した。井保コーチは、少し目に涙を浮かべながら「今まで(自分は)ベンチで立ち上がったことがなくて。そういうのを見たいと言われていたけど。自然に立ちましたね。初めて立ちましたね」と笑いながら話した。

気持ちを切り替え臨んだ第3戦
photo by kyodo

初めてのパラリンピックで自分の力は出し切れた

古川は、今大会をこう総括した。

「3位だけど、出し切ったパラリンピックだったなと思います」

気持ちが浮き沈みをする要素が多くある中で、プレーに集中して力を出し切った達成感がみなぎっていた。 古川が出場しているのは、S11という知的障がいのクラスだ。選手は気持ちや考えのコントロールが難しい場面がある。試合ごとの切り替えもそうだが、試合中は特に自分一人で気持ちや考えを整理しなければならない。

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