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用具の工夫で世界を制す! 日本パラアーチェリー界のパイオニア、南浩一の挑戦心

パラサポWEB

南にとって、アーチェリーの魅力の一つは、ラジコン飛行機やハンググライダー同様、用具を使うところにあるという。

南 アーチェリーの用具にはたくさんの部品がたくさん使われていて、チューニング次第で成績が変わります。それがおいらにとってはものすごく魅力的で、ラジコン飛行機やハンググライダーで培った技術や知識を生かせるのでは、と思いました。

最初に自作したのは、指の代わりに弦を引っかけて放すリリーサーという用具です。当時は、どこにも資料がなかったので、テレビで見たアベベ選手のリリーサーを参考に、針金の先端をかぎ針のように少し曲げたものを作りました。腕の補助装具に付けたリリーサーの先端で弦を引っかけてアンカーポイントまで引き込み、タイミングを見計らって手首を軽くねじると、リリーサーから弦が離れて矢が飛ぶ、という仕組みです。

アーチェリーでは、手元の数ミリの誤差が的上で数センチのズレとなって、点数に響くため、本当はリリースの際はできるだけブレない方がいいんです。なのに、ねじってリリースするわけですから、まあ当たりませんでしたよ。少しでもブレを減らすため、リリーサーの先端の角度をぎりぎりまで浅くしていたのですが、今度はそのせいで、引いてくる途中で弦が外れて矢があらぬ方向へ飛んで行っちゃうなんていうこともありました。

高いレベルを維持するためには、用具の工夫に加え、頻繁に通える練習場も必要と語る

南にとって初の国際舞台となったソウルパラリンピックも、このリリーサーで出場。弦が外れ0点を記録したというものの、4位入賞を果たした。この大会で、南は大きな発見があったと振り返る。

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南 ソウルパラリンピックのころは、まだリムの両端に滑車があるコンパウンド・ボウが競技に導入されていない時代で、全員がオリンピックと同じリカーブ・ボウを使用していました。ところが、ほかの選手を見てみたら、現在のコンパウンドで使われているような高性能なリリーサーを使っていたんです。こんな用具を使っていいんだ!と驚きましたし、おいらもあれを使っていればメダルに手が届いたのに、と悔しかったですね。

実は、当時は競技規則をよく理解してなくて、どの程度まで補助装具や用具を工夫していいか、知らなかったんです。ところが、帰国後調べてみたら、電気を使わなければ、だいたい大丈夫とわかった。ならばと、そこから試行錯誤を繰り返し、オリジナルのリリーサーをいくつもいくつも作りました。

生きている限り、挑戦

南の創意工夫はリリーサーにとどまらない。例えば、全体を軽量化するため、強度ギリギリまで弓本体にドリルで穴を開ける。ボルトを軽くて強いチタン製に変える。サイトという照準器の余分な部分は切り落とす……。「開けちゃいけないところに穴を開けて、新品の弓を台無しにしたこともある」と、製作をサポートしている南の妻も豪快に笑う。

弓の強度ギリギリまでドリルで穴を開け、軽量化を図っている

南 バルセロナ大会からコンパウンドが使用可能となったため、以来、おいらもコンパウンドです。ラジコン飛行機のパーツやベアリングを使って弓の改造や補助装具の製作をしていたので、国際大会があるたびに、「弓を見せてくれ」と他国の選手や関係者たちが集まって来たものです。最新の弓はフルカーボン製。軽いですよ。もちろん、改造済みです。でも、これで完成ではありません。もっといい弓が作れたら、(今でも)ぶっちりぎりで優勝する自信があります。

アーチェリーっていいですよね。指が一本も動かなくても、年齢や障がいの有無を問わず、だれとでも真向勝負ができるんだから。今はケガをしていて練習ができないのですが、ケガが治ったらまたトップを目指して、練習にも弓の改造にも励みますよ。生きている限り、挑戦です。

南の自宅には、15台あるという弓のほかに、ラジコン飛行機やドローン、さらには工作機械や部品の数々が所狭しと並べられていて、実に壮観だった。好きこそものの上手なれ。南が丹精込めて作り上げた作品たちが、そう雄弁に物語っているようだった。

パラリンピックで各国の選手たちと交換した無数のピンズも南のコレクションの一つだ

text by TEAM A
photo by Haruo Wanibe

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