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メダル候補が多数! 東京パラリンピック新競技のバドミントン

パラサポWEB

また、山崎はシングルスでもランキング4位と上位に座る。「決勝に進出してメダルを獲りたい」と思いを明かす山崎は、若いリュウ・ユートンをライバル視している。2016年にリュウと初対戦したとき、「こんな強い子がいるのか」と衝撃を受けた山崎は、その後、いっそうバドミントンに本気で取り組むようになった。「トントン(リュウ)は強い。でも当たったら私も全力で向かって行く」と山崎は気を吐いている。

鈴木亜弥子は中国選手と頂上決戦か

一度は競技を辞めた鈴木だが、バドミントンのパラ競技入りで2016年に競技生活を再開した

SU5の女子シングルスは、健常の全国大会で準優勝の経験がある鈴木亜弥子(ランキング2位)、そして中国のヤン・チウシャ(ランキング1位)が絶対的2強として火花を散らしている。2人は公式試合で互いにしか負けたことがないという好敵手同士だ。

戦績は、鈴木が3勝5敗と負け越している。だが、最後に2人が戦った2019年のヒューリック・ダイハツ JAPAN パラバドミントン国際大会2019の決勝では、21-19 、22-20と鈴木が接戦を制しており、両者の実力は拮抗。東京パラリンピックでは、どちらの手に金メダルが渡るか、予測が難しい。

もちろん、コロナ禍で鈴木はヤンに勝つことだけを目標に取り組んできた。とくに強化してきたのはフットワーク。動きの速いヤンと渡り合うため、歩数の効率化に努めた。また、自身の強みについてこう説明する。

鈴木の宿命のライバルである中国のヤン・チウシャ

「私の持ち味はコースの打ち分け。昔から健常者に勝つため、いかに相手が嫌だと思う場所に打つか、コースを考えてきました。そのため、相手にとって私は粘り強く、やりにくいはず。東京パラリンピックでは、死に物狂いで拾っている姿も見てほしいです」

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クレバーな配球力と強い精神力を武器に鈴木はパラリンピック初代女王に挑む。なお、日本からは、2019年世界選手権で銅の亀山楓、2013、2015年同大会で銀の杉野明子もメダルを狙いに行く。

村山&梶原のライバルは中国と韓国

男子にもメダルを期待できる選手がいる。車いすのダブルスに出場する村山浩(WH1)・梶原大暉(WH2)組は、現在ランキング3位。里見・山崎組同様、2人もコンビネーションのよさを強みにしている。年齢は27歳差と大きいが、2019年3月にペアを結成して以降、「遠慮がある状態ではペアでやっていくのは難しい」という村山の意向で、対等に話し合える関係を築いてきた。

野球経験で培った、がむしゃらさが持ち味の梶原

その結果、組み始めた当初は多かった2人が同時に球を追ってしまう「お見合い状態」は激減し、いまでは互いの強肩を生かすプレーが可能になっている。速さと強さを兼ね備えたランキング1位の中国ペア、伝統的に車いすバドミントンの強い同2位の韓国ペアが、2人が立ち向かう相手だ。

なお、中学時代、軟式野球で全国クラスのチームのピッチャーだった20歳の梶原は、シングルスで伸び盛りの強さを発揮できるか。ランキング4位で、これまで目立った戦績はないが、チェアワークに磨きをかけており、大舞台で一気に化けるかもしれない。

長い間、競技普及に尽力してきた長島理(WH1)は、シングルスのみ出場。誰よりも執念は強いことは多くの人が知るところで、41歳のベテランの奮闘にも着目してほしい。

村山(写真)も梶原)も野球経験者。ともに野球で培った強肩によるクリアーに自信を持つ

藤原、今井はメダル争いに絡めるか

下肢に障がいのあるクラスの藤原大輔(SL3)は、ランキング4位で男子シングルスのメダル候補。ランキング上位にいるインド、フランスの強豪選手の障がいはまひであり、義足の藤原が勝ち抜くのは容易ではないが、「義足の選手でも勝てることを自分が証明したい」と熱い気持ちをほとばしらせている。筑波大時代は、義足の研究にも取り組み、知力も動員して東京大会に挑む。

藤原は「今までは相手のミスを誘うプレーだったが、いまは自分で点を取りに行くプレーも強化している」と明かす

8月に23歳を迎える今井大湧は、SU5(上肢障がい)男子シングルスに出場。パラバドミントンの種目のなかでもっともラリー展開が速いこの種目で、今井は攻撃力を武器に強敵に挑む。

このクラスは金を目指す選手層も厚い。ランキング上位のインドネシアやマレーシアの選手には、健常のジュニアナショナルチームに所属した猛者もいる。パラバド界きっての技巧派・ランキング2位のチー・リクハウ(マレーシア)、同3位のアタッカー、スーリョ・ヌグロホ(インドネシア)といった華やかな面々だ。

しかし、今井はひるんでいない。3月までインカレの上位常連で、オリンピアンを多数輩出してきた日体大に在籍し、厳しい練習を積んできた。

「僕も日本トップの強い先輩・後輩と練習し、上っ面だけじゃない本物のバドミントンを学んできました。彼らに負けているとは思いません」(今井)

実際、日本のエースが上位を突き放すことは簡単ではないが、ホームの利を生かし、一気に突き抜けてほしいところだ。

以前、「熱くなりすぎて、プレーが単調になりがちなのが課題」と語っていた今井。東京大会では緩急あるラリーを築けるか

(写真はすべてヒューリック・ダイハツ JAPAN パラバドミントン国際大会2019)

text by TEAM A
photo by X-1

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