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車いすバスケットボール女子日本代表・藤井郁美、東京パラで集大成となるプレーを

パラサポWEB

北京2008パラリンピック以来のパラリンピック出場となる、車いすバスケットボール女子日本代表。共同キャプテンの一人である藤井郁美は、競技生活の集大成と位置づける東京2020パラリンピックに向けて、いかにチームと自分自身を高めてきたのか。

男子チームで磨いた、シュート力という武器

中学3年で悪性骨肉腫を発症、右脚の大腿骨と膝関節を切除し、人工関節となった藤井郁美が車いすバスケットボールを始めたのは、2002年、20歳のこと。中学のバスケットボール部で活躍した藤井は、めきめきと上達。3年後には早くも日本代表に選出されたものの、スタンディングと比べて車いすのバスケットにどこか物足りなさを感じていたという。しかし、国際舞台で世界のトップレベルを体感したことで開眼する。

藤井郁美(以下、藤井) ルーキーとして出場した2006年のオランダ・アムステルダム世界選手権大会は、それまで私がイメージしていた世界とあまりにもレベルが違っていて、衝撃的でした。特にアメリカの選手たちは、ローポインターでもワンハンドでがんがんシュートを打っていたし、そのシュートフォームもかっこよかった。私が、そして日本チームが世界で互角に戦うためには、より高いレベルでの練習環境が必要と思い、帰国後、車いすバスケットボールのクラブチーム「宮城MAX」への移籍を決めました。

宮城MAXは、現・女子日本代表の岩佐義明ヘッドコーチ(HC)が発足当初から率いていたクラブ。男子日本代表も数多く輩出している強豪で、当時、所属していたのは男子選手のみ。それゆえ、移籍したいという藤井に対し、岩佐は「本当に来るのかって、ずーっと言っていました(笑)」(藤井)。移籍後、宮城MAXでもまれる日々を過ごすことで、藤井は自身の武器を確立する。

藤井 宮城MAXは最初から仲間として受け入れてくれて、ありがたかった。さらに試合でも信頼される選手になろうと身に着けたのが、リングから遠いアウトサイドで打つシュートです。まずはアウトサイドでフリーの状態になることが大切なのですが、そのうえで相手が寄せてくる前に素早くシュートを打つことも徹底しました。また、自分はハイポインターなので、リング近くでのプレーも求められます。そこで、車いすをバックさせて、コンタクトをしかけてくる相手から距離を取りつつシュートを打つ「フェイドアウェイシュート」も身に着けました。

レベルアップしたライバル国に日本の成長の鈍さを痛感

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日本代表クラスの男子選手との練習で、国際舞台でも通用する力を身に着けた藤井は、2008年の北京パラリンピックで活躍し、4位入賞に貢献する。しかし、女子日本代表はそこから2大会連続でパラリンピック出場を逃してしまう。

藤井 ロンドン予選での敗退は悔しすぎて、今でも鮮明に覚えています。あの時は、オーストラリアと中国、そして日本の三つ巴で、最終的には得失点差で私たちだけが敗退してしまったんです。とくに中国にはそれまで負けたことがなかったので、ショックでした。

オーストラリアと中国とは、その4年後のリオ予選で再び相まみえたのですが、両チームとも、ロンドン大会での経験を糧にレベルアップしていました。対して私たちは、4年前と同じバスケットボールで挑んでしまった。完敗を喫しましたが、それも当然だったと思います。ここで何かを変えなければ世界を見てきた国には勝てない。そう痛感させられました。

シュートのバリエーションを増やして武器を確立した

リオ予選敗退を機に、自分自身のプレーは本当に世界で通用するものなのか、見つめ直したという藤井。リオ予選前に結婚、出産を経て1児の母となっていた藤井は、そこからは育児と家事、仕事、さらに競技生活までこなす超人的な日々を送ることになる。同じチームに所属する夫の協力があるとはいえ、文字通り、目まぐるしい日々。しかし、この多忙さをも、藤井は自身の成長につなげていく。

藤井 練習時間はおのずと限られます。短時間で効率よく練習するため、シュート練習は、本数をこなすものから確率重視に変更。場所や時間ごとに、打った本数と決めた本数を数えて、決定率を割り出すようにしました。これで一本たりとも無駄にできないと集中できるようになり、練習の質もシュートの安定性も格段に上がりました。北京のころのシュートなんて、今では恥ずかしくて見られません。

「多忙を極める毎日が練習の質を高めることになった」と話してくれた藤井

キャプテンとして

2018年のアジアパラ競技大会を控えた時期からキャプテンとしてチームを率いるようになった藤井は、チーム作りにも心を砕く。

藤井 チームスポーツって、どうしても縦の関係が生まれやすい。でも、勝つためには選手一人ひとりが自主的にプレーすることが必須ですし、そのためには年齢や経験に関係なくフラットな関係を作ることが大切だと思っています。だからこそ、以前から選手全員と積極的にコミュミニケーションを図るようにしていたのですが、キャプテンに就任してからは、とくに年下の選手たちに無駄に絡みに行くようにしました(笑)。チーム全体としていいプレーをするためには、選手一人ひとりの良さを引き出す必要があります。そのためにどんな声掛けをすればよいかも、人それぞれ。だからこそ、まずは一人ひとりの性格を知ろうと思ったのです。

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