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脳をもたない粘菌が思考をめぐらせ、高度な情報処理を行うメカニズム

カラパイア

脳のない粘菌が高度な情報処理能力を持つ理由
 単細胞生物である粘菌は脳を持たない。にもかかわらず最適解を見出すために思考し、高度な情報処理能力を行うことができる。例えば「モジホコリ(学名 Physarum polycephalum)」は、複雑な迷路を最短距離で抜け出すことができる。

 これはいったいなぜなのか?

 『Advanced Materials』(7月15日付)に掲載された研究によると、モジホコリは体内に「分散型センサーと演算基質」を宿しており、脳がないのに周囲の状況を感じ、新しいものに興味を示すのだそうだ。

粘菌の好奇心。目新しい塊を優先的に探索

 研究の主執筆者である米タフツ大学のニロシャ・ムルガン助教の説明によると、モジホコリの思考プロセスはその体の形に反映され、そこから彼らがどのようなことを決めたのか把握できるのだという。

 そこで今回の研究では、その思考を探るために、ペトリ皿の中のモジホコリの行動を観察した。最初の時点でモジホコリがいるのはペトリ皿のちょうど中央だ。皿の一番端には小さな円盤のようなものが1つ置かれており、さらにその正反対の端には同じものが3つ並べられている。

 モジホコリはそれから12時間ほど全方位に広がっていくが、そこである決定を下したようだ。7割の時間を割き、円盤が3つ置かれているあたりの探索に費すようになったのだ。
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3つの円盤が置かれた方向へ優先的に広がるモジホコリ(出典: NIROSHA MURUGAN, LEVIN LAB, TUFTS UNIVERSITY AND WYSS INSTITUTE AT HARVARD UNIVERSITY)

 研究によると、円盤に直に触れていなくても、そこにより大きな塊があり、優先的に調べるべきであることをモジホコリは感じ取っていると考えられるのだそうだ。

 なお3つの円盤を重ねて置いた場合、円盤が1つだけ置かれた場所との探索時間にはっきりとした差は生じなかった。このことはモジホコリが塊そのものよりも、むしろそのパターンを手がかりにしている可能性を示しているという。

 また今回の実験では、過去の研究とは違いエサや化学物質などは使われていない。このおかげで、エサを探すという動機とはまた別の、環境を読み取るメカニズムを観察できたとのことだ。

新しい機械的感覚を進化させたモジホコリ

 この思考能力をさらに調べるために、細胞膜の感覚システムに関連するタンパク質を薬品でブロックするという実験も行われている。この結果、モジホコリは円盤があるからといって特に行動を変化させたりはしなくなったという。

 ついでにペトリ皿を揺らしてみた場合も、特定の場所を優先的に調べる探索能力が消えてしまったそうだ。こうしたことから、モジホコリが「根本的にまったく新しい機械的感覚」を進化させたことがうかがい知れるそうだ。

What Has No Brain, 720 Sexes, And the Ability to Self-Heal?!

 粘菌は脳がなくても特別な感覚を進化させ、好奇心から知性を身に着け、高度な情報処理を行うことができる。

 こうした発見は、神経を持たない生物の進化の秘密を解き明かすヒントになるとともに、ロボットやニューラルネットワーク開発のモデルとしても応用が期待できるとのことだ。

References:Mechanosensation Mediates Long‐Range Spatial Decision‐Making in an Aneural Organism – Murugan – – Advanced Materials – Wiley Online Library / written by hiroching / edited by parumo

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