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自分のおばあちゃんを見たときに反応する脳内の神経細胞「祖母ニューロン」が発見される

カラパイア

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 かねてから、やさしいおばあちゃんの顔を見た時だけ、ほっと安心するという感覚があることが報告され、「祖母ニューロン」という神経細胞の存在が1960年代の研究で示唆されていた。だが「神経細胞がたった1つの概念や顔にのみ反応するわけがない」と、当時この仮説に否定的な声が多かった。

 そして半世紀たった今、少なくともサルの脳には「祖母ニューロン」らしきものが存在するらしいことがついに明らかになったのだ。

 『Science』(7月1日付)に掲載された研究によると、アカゲザルの脳にはよく知っている仲間の顔にだけ発火する領域があるのだという。

 

良く見知った顔を見たサルの脳では何が起きているか?

 米ロックフェラー大学の神経科学者ヴィンリッヒ・フライヴァルト(Winrich Freiwald)教授らが調べたのは、アカゲザルの脳の一般的な顔を認識している領域と、「側頭極」と呼ばれる領域だ。側頭極はまだ不明なことが多い領域だが、顔を見分けたり、他人の心の状態を推理したりといった能力と関係していると考えられている。

 今回の実験では、アカゲザルにサルと人間の顔の画像などを見せながら、そのときの脳の活動をfMRIと電極を使って観察した。

 すると顔を目したときどちらの領域も反応することが確かめられたが、側頭極の場合、よく知った顔と見知らぬ顔とでは反応の仕方が違ったのだという。

 見知った顔に対しては非常に強く発火したのに対して、見知らぬ顔に対してはほとんど反応しなかったのだ。また見知った顔であっても、反応するのはサルのものだけで、人間の顔に対しては反応しなかった。

 一般に、脳の情報はさまざまな領域とのコミュニケーションを通じて処理されると考えられている。そのため、たった1つの目的にしか対応していない領域の存在は、「驚くべきこと」だとフライヴァルト教授は語っている。
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緑色の部分が側頭極 / image credit:WIKI commons/CC-BY-SA-2.1-jp

側頭極のアハ体験

 また、アカゲザルにぼかした顔の画像を見せた別の実験でも面白いことが明らかになっている。

 一般的な顔認識を担う領域の場合、顔の画像がはっきりすればするほど、その分反応が強まるのだが、側頭極はそうではなかった。

 そのかわりに、顔の鮮明さが一定の基準を超えるとパッと反応するようになるのだ。これは側頭極に「あ、この人か!」と気がつくアハ体験のようなものがあることを示しているのだという。

 驚くべきことはまだある。それは側頭極と一般的な顔認識を行う領域の反応速度に差がなかったことだ。

 これは研究グループにとっても意外なことだったようだ。側頭極が特定の顔を認識している以上、長期記憶が関わっていると考えられる。

 そうしたプロセスがあれば、それだけ反応するまでに時間がかかるはずだ。しかし実際には2つの領域の反応時間に差はなかった。

 その理由は謎に包まれている。なにしろ側頭極は目で見た情報を直接処理しているわけではないし、長期記憶を保存しているわけでもないのだ。さらに側頭極とほかの領域をつないでいる経路も不明なままだ。
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photo by Pixabay

人間にも祖母ニューロンはあるのか?

 尚、「祖母ニューロン」と名がついているものの、おばあちゃんだけに限ったことではなく、よく見知った親しい身内であれば起きる反応ようだ。

 なお今回の実験は、たった2匹のアカゲザルを調べたものでしかない。そのため、人間にも祖母ニューロンがあるのかどうか確かなことは言えない。

 しかしフライヴァルト教授によれば、アカゲザルが高度な社会的霊長類であり、こうした研究を行う上で最高のモデル動物であることを考えると、私たちにもよく似た仕組みが備わっていると推測できるそうだ。

 また、今回の発見は、他人の顔を区別できない障害の治療に役立つ可能性があるとのこと。他人の顔を見分けるなど当たり前のように思えるかもしれないが、50人に1人は「相貌失認」という症状であることがわかってきている。

References:A fast link between face perception and memory in the temporal pole | Science / written by hiroching / edited by parumo

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