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紅白の和三盆糖が口の中でとろける。老舗和菓子屋の美しい干菓子

おいしいマルシェ

幼少のころ、母に連れられて毎週のように京都は伏見にある祖母の家に遊びに行った。仲のいい従兄もいたので気が付いたら1日が終わるぐらいよく遊んだ。

もう1つ楽しみだったのが、祖母からもらうお菓子だった。それが、紅と白の半球が2つ重なり丸くなった状態で紙に包んである和菓子「二人静(ににんしずか)」だった。そのお菓子は、白くて丸い箱の中に宝石のように入っていた。箱の絵は、百人一首のようだ。

紅白の二人静を、1つずつ、大切に口の中に入れる。食べ方が大事だ。丸い部分ではなく、平面を下に舌の真ん中にそっと置く。けっして噛んではいけない。時間がたつと二人静が溶け出し、優しい優しい和三盆糖の味が舌全体に広がっていく。

口の中の二人静を鏡でのぞき込むと、唾液が染み込んでいくので和三盆糖の色が濃くなっていくのが分かる。従兄と覗き合った。

半球を壊さないように、じっくりじっくり口の中で、二人静を味わう。砂糖を舐めたような味ではない。とてもきめ細かい和三盆糖の粒が舌を包み込む。その甘さは決して飽きることがない味。

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口の中に入れた二人静の味が、まったくしなくなるまで、もう半分を食べないのが、その時のルール。それぐらい貴重で大切なお菓子だった。

今思い返せば、祖母の家は「お取り寄せ」の宝庫だったかもしれない。お菓子以外にも、漬物や、番茶、七味など、いつも同じ味がして、こだわりの商品があった。気に入ったものは、いつまでも買い続ける。そして、必ずお土産に渡される。

正月には、お年玉と一緒に二人静をもらった。兄と妹、それぞれ違う柄の箱で。実家には、いまだに二人静の箱が物入れとして現役で活躍している。

人生の中で、忘れられないお菓子は、私にとって紛れもなく「二人静」だ。いまだに食べた瞬間に、当時の自分が蘇る。

「まーちゃん、二人静持って帰りや」。

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