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[MLB]明確な基準がないと困惑の投手たち、粘着物の取り締まり

週刊ベースボールONLINE


退場処分第1号となったサンチアゴ(右)。汗とロジンが混ざっただけと主張も……それだけにほかの投手にとっては恐怖となっている

 6月29日、ホワイトソックス戦の後、前田健太投手は5回途中に降板するまで、粘着物に関する新ルールで3度も審判に調べられたことについて「チェックそのものはなんともない。分かっていることなので見てくださいと。ただ一人違反者となったピッチャーはロジンと汗だけだったのに処分を受けた。明確な基準がなく、審判が駄目といえば駄目になる。変な判断をされるのは嫌だし怖さがある」と訴えた。

 6月27日のマリナーズ対ホワイトソックス。3回から登板したヘクター・サンチアゴは5回に失点、一死満塁で交代した。マウンドを降りるときにチェックを受けたのだがグラブに粘着物があったと、退場処分の第一号となってしまった。

 チーフクルーのトム・ハリオンは「グラブの内側がネバネバしていた。それははっきりしていた。クルーのほかのメンバーも見てみんなが同意した」と説明している。サンチアゴは「不正なものは何も使っていない。ただの汗とロジンだ」と反論。マリナーズのスコット・サービス監督は「湿度は85〜90パーセントで選手は汗をいっぱいかいていた。ロジンを腕とかあちこちにつけていたし、ロジンと汗が混ざればネバネバするもの。間違ったことはしていない」と抗議している。

 前田投手の恐れる「変な判断」である。グラブは没収、サンチアゴは10試合の出場停止。マリナーズは彼が抜けている間、26人ではなく25人で戦わなければならなくなった。22日のナショナルズ対フィリーズでも懸念される出来事があった。マックス・シャーザー投手が4回、空振り三振を奪って一死となったとき、フィリーズのジョー・ジョラルディ監督が出て、審判に調べるようにリクエスト。シャーザーが何度も帽子を取り後頭部を触るなどしていたからだ。

「シャーザーのことは2010年から見ているがあんな仕草は見たことがない。4回も5回も頭を拭っていた」と言う。シャーザーはその前にすでに2度、イニングの終わりにチェックを受けていて、3度目、しかも回の途中に相手監督の要請でという事態に憤り苛立ちながら、帽子とグラブを近寄ってくる審判に手渡すのでなく、グラウンドに置いている。

 試合後「今日はずっと指先を湿らせるのに苦労していた。涼しくて汗もあまりかかない。汗がついていたのは髪の毛だけで、それで触って、ロジンと混ぜていた。今日みたいに、(違反がないか)アンテナを上げている試合で、何かを使ったとしたら本当のバカ」と呆れている。

 MLB機構が危惧しているのは、監督が好投している相手投手のリズムを崩そうと何もないのに調査をリクエストする悪意のケース。そこで監督は投手の何が怪しかったのか具体的に根拠を審判に説明しないといけないとしている。

 さて不正粘着物が取り締まられたことでスタットキャストのデータによるとフォーシームの平均回転率は2320mphから2200mphに落ち、ホップしていた軌道も約1インチ(約2.54センチ)下がったそうだ。フォーシームの使用頻度が下がりツーシームが増えつつある。投球の組み立てを変えねばならない投手も出てくるのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images

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