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脳は9つで心臓3つ、青い血を流し高度な知能を持つ驚くべき生命体、タコの知られざる9の事実

カラパイア

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 脳が9つあって心臓が3つ、血が青くて高度な知性を持つ生き物はなーんだ?聞かれたら、うっかりエイリアンと答えてしまいそうになるが、その特徴を持つ生き物は地球内に存在する。タコだ。

 おいしい食材として身近な存在でありながら、生きているときの姿はまるでクトゥルフ神話の邪神のよう。専門家たちが夢中になるのも無理はない。

 そんな神秘的なタコの知られざる9つの素顔について、米自然史博物館の頭足類専門家、ジョン・アブレット氏が解説してくれた。彼らについての驚愕の事実を知れば知るほど、タコは宇宙から地球に飛来した説を信じずにはいられなくなる。

1. 9つの脳を持つ


 タコが8本腕なのは常識だ。では、それぞれの腕に”小さな脳”が備わっていることはご存知だろうか? このおかげで、より素早く効率的な作業を腕でおこなうことができる。

 それぞれの腕は独立して機能し、指示がなくても味や触感を確かめ、動くことができる。一方、中枢脳がトップダウン式で命令を下してコントロールすることもできる。

 後者は2011年の実験で明らかになったことだという。その研究では、タコが迷路の中に腕1本を伸ばしてエサを獲得できるか観察された。迷路の構造は、タコが化学物質を感じるセンサーを利用できないよう、水から腕を出さねばならないようになっていた。またエサを目で確認できるように、透明な素材でつくられていた。

 この実験では、ほとんどのタコが腕1本を伸ばして迷路内をくぐり抜けさせ、エサの獲得に成功している。つまり視覚を処理する中枢脳が腕をコントロールできることが証明されたのだ。9つの脳があることで、部分的な制御と中央集権的な制御の両方のメリットが発揮されているようだ。


How brainy is an octopus? | Natural History Museum

2. 圧倒的に賢い


 脳が体に占める大きさの割合は、大まかな知能の指標となる。その動物が脳にどれだけ投資をしたか現れているからだ。完全ではないにしても、賢い動物ほど体に対する脳の比率が大きくなる。

 タコの脳・体比率は無脊椎動物の中で最大で、哺乳類を除く多くの脊椎動物すら凌駕する。「マダコ(Octopus vulgaris)」の神経細胞はイヌに匹敵する5億個で、そのうちの3分の2は腕にある。残りは頭部だ。そして面白いことに、その脳は食道をぐるりと巻くようなドーナツ型だ。

 迷路のエサを取る以外にも、タコの賢さはさまざまなところで確認されている。たとえば、ブレット氏はこんなエピソードを紹介している。

 ある研究所で水槽の中の魚が忽然と消えるという事件が起きた。研究者が監視カメラの記録から何が起きたのか確認してみると、別の水槽で飼育されていたタコがそこから脱出した。

 問題の水槽に忍び寄ると、フタを開けて中に侵入。魚を平らげると水槽から出て、フタを閉じて証拠を隠滅した上で、自分の水槽に戻っていたのだ。

 またBBCの動画では、カニ漁の罠にかかったカニを食べるタコが登場する。その罠は入るのは簡単でも、出るのが難しい作りになっているのだが、タコは見事に脱出している。


Octopus Steals Crab from Fisherman | Super Smart Animals | BBC Earth

 カリフォルニア大学バークレー学校の動画は、タコの狡猾なハンティングシーンをとらえている。そのタコは腕の1本をそっと伸ばしてエビをコツンと叩く。驚いたエビがあわてて前方に動き出したところを、残り7本の腕でバッと捕獲してしまう。


Octopus to shrimp: “Gotcha!”

3. 道具を使う


 人間やサル、イルカや一部の鳥類などで確認されている道具の使用は、高い学習能力が必要になる。タコは無脊椎動物の中でも限られた道具の使い手だ(ほかに数種の昆虫が知られている)。

 たとえば石ころや貝殻、あるいは割れたガラスやビンの蓋など、手当たり次第に積み上げて、住処として利用したり、その入り口をふさぐ防壁のようなものをつくったりする。

 「ムラサキダコ(Tremoctopus violaceus)」は生物兵器すら利用する。あの猛毒で知られるカツオノエボシを武器として使って、自らを狙う捕食動物やエサとなる獲物を打ち倒すのだ。ムラサキダコ自身は毒に対する耐性があるので安全なままだ。


ムラサキダコ(Tremoctopus violaceus

 だがタコによる道具利用でもっとも印象的な事例は2009年に撮影されたものだという。インドネシアの海で撮影された「メジロダコ(Amphioctopus marginatus)」は、ココナッツの殻を掘り出すと、それを抱えて別の場所へ運んでいき、シェルターとして利用し始めたのだ。


A Coconut Carrying Octopus

 殻を抱えて歩く姿はコミカルだが、捕食動物に襲われたときのリスクは高くなる。それでもシェルターを利用するために、短期的なリスクを受け入れているのだと思われる。

 これを発見した研究者によると、好きなときに使えるよう殻を持ち歩くという事実は、タコが道具を使うことを裏付ける決定的な証拠であるという。

4. 人間を認識できる


 タコの脳に大きな「視葉」(視覚を処理する部分)があることからも、彼らにとって視覚がいかに重要なものかうかがい知ることができる。そのおかげで、どうやら人間の顔を含め、周囲にいるものたちを認識することができるようだ。一部の哺乳類やカラスなどで確認されている能力だが、それでもこれができる動物は珍しい。

 たとえばニュージーランド、オタゴ大学の研究者は次のようなエピソードを伝えているという。飼育しているタコがある飼育係を毛嫌いしているような様子だったのだ。そのタコは、特定の女性スタッフが水槽の前を通るたびに水を吹きかけたのだそうだ。

 また米シアトル水族館では、ある人はタコにエサを与え、またある人は同じタコを棒でつつくという実験を行なった。2週間も経過すると、両者に対するタコの態度が変わってきた。このときスタッフは同じ制服を着ていたが、タコはそれでもスタッフを見分けていたそうだ。

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photo by iStock

5. タコの繁殖行動


 タコのオスの多くは外性器がない。そのかわりに「交接腕」という特殊な腕を使って精子をメスに渡す。交接腕は種によって違い、注射器のようなものや、スプーンあるいはトースト立てのようなものなどさまざまだ。

 また精子の渡し方にも多少の違いがあるようで、たとえば「アオイガイ(Argonauta argo)」のオスは交接腕を切り離して、メスの体内に残していく。

 これはオスにとって最後の仕事でもある。ほとんどのオスは交接を済ませると、1、2ヶ月以内に死んでしまう。


Octopus Mating | National Geographic

6. 母ダコの自己犠牲精神


オスも大変だが、メスも子育てに命をかける。卵を産むと、それを抱えて捕食動物から我が子を守り、水を送って酸素を供給する。浅い海に生息するタコなら孵化するまでの3ヶ月間それが続く。だがもっと極端な子育てをする種もある。

 そのタコは「グラネレドネ・ボレオパシフィカ(Graneledone boreopacifica)」という深海の種だ。そのメスはじつに53ヶ月間――ほぼ4年と半年にわたって卵を抱き続けたことが確認されている。あらゆる動物の中で最長記録だ。

 カリフォルニア州モントレーキャニオンでの18回の潜水調査では、何も食べることなく卵を抱き続けたメスが観察された。メスは徐々に痩せ、血色が悪くなり、目も濁っていく。ようやく卵が孵化したときには、母ダコは死んでしまったそうだ。

 だがグラネレドネ・ボレオパシフィカの母ダコが命をかけて卵を守るおかげで、子供たちは孵化した時点ですでに小さな大人のような姿をしている。こうすることで生存率を高めていると考えられるという。

 ほかの種の母ダコもここまで長く子育てをしないにしても、運命は同じだ。卵が孵れば死んでしまう。父ダコもまた死んでしまうので、海にいるタコの子供たちはみな孤児なのだ。


4年以上卵を抱き続けたタコ Octomom: Deep-sea octopus guards her eggs for over four years

7. 狡猾な擬態と逃走テクニック


タコは動物界きっての擬態の達人だ。皮膚の下に「色素胞」という特殊な細胞があり、一瞬で色を変えることができる。くわえて「乳頭」という突起が拡張・収縮することで、周囲に溶け込むよう皮膚の質感をさっと変化させる。

 だが擬態の達人の中の達人は「ミミックオクトパス(Thaumoctopus mimicus)」であるようだ。1998年にインドネシアで発見されたこのタコは、周囲の岩やサンゴなどに擬態するわけではない。かわりに自分を狙う捕食動物が嫌がる動物に擬態する。


Mimic Octopus: Master of Disguise

 たとえばミノカサゴやウミヘビ、カレイやクラゲなどが代表的なものだ。ほかの動物に擬態する動物はこのタコ以外にも知られているが、これほど多彩な種に姿を変えられるのはミミックオクトパスだけであるという。

 岩などに擬態すれば、危険な捕食動物が近寄ってきたときにじっとしていなければならない。しかし動物への擬態なら、自ら動いて危険な場所から離脱することができる。

 しかもどうやらミミックオクトパスは、状況に応じて擬態する動物を変えているらしい。自分を狙う動物が一番嫌がる相手に擬態しているらしいのだ。たとえばナワバリを持つスズメダイに襲われたとしたら、スズメダイを捕食するウミヘビに変化する。

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photo by iStock

 2005年、また別の擬態テクニックが観察された。「ウデナガカクレダコ(Abdopus aculeatus)」と「メジロダコ(Amphioctopus marginatus)」はなんと二本足(腕?)で海底を歩くのだ。


Run, Octopus, Run!

8. 都市計画者


 一部の例外を除けば、タコは一般に独りを好む。「コモンシドニーオクトパス(Octopus tetricus)」も例外ではないのだが、2012年にはオーストラリアのジャービス湾で海底都市をつくり、そこで共同生活を送っていることが確認された。

 その都市は「タコランティス(オクトランティス)」と呼ばれ、15匹ほどが暮らしている。孤独を愛するタコが密集して暮らすのだからしばしば喧嘩も発生するようだ。ときに追い出されるタコまで出てくるらしい。

 一方、タコにとってのメリットはよくわかっていない。もしかしたら、平坦で特徴のない海底なので、巣をつくる適当な場所がほかになく、必要に迫られて仕方なくそうしている可能性もあるそうだ。

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photo by iStock

9. 青い血と3つの心臓


 タコの血は青い。それはタコの体に酸素を運ぶタンパク質「ヘモシアニン」に鉄よりも銅が多く含まれているからだ(一方、人間のヘモグロビンは鉄が多い)。

 銅は冷たく酸素が乏しい環境では、効率的に酸素分子を運ぶことができる。だからタコのような海で暮らす生物には都合がいい。

 なおその青い血液(血リンパ)は、3つの心臓によって体の中を駆け巡っている。それぞれ役割が異なっており、1つは血液を体の中で循環させるためのもの。残りはエラにあって酸素を組み上げるためのものだ。


Octopuses HAVE 3 HEARTS and BLUE BLOOD! | Wild Bites | BBC Earth Kids

 タコの生態は知れば知るほど興味深い。寿命が短いのは、もしタコが長く生きたら地球の支配者になる可能性を秘めてるからなのかもしれない。

Top image:photo by Pixabay /References:Octopuses keep surprising us – here are eight examples how | Natural History Museum/ written by hiroching / edited by parumo

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