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決して虐待ではない。サイを逆吊りで空輸する理由(アフリカ)

カラパイア

サイを逆さにつるして空輸する理由
image credit: youtube

 アフリカのクロサイは、激しい密猟により国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているものの,保護活動家らの根強い保全努力のおかげで,現在個体数が少しずつ増加しているという報告がなされている。

 そのサイの保護活動は、ちょっぴりユニークだ。安全な場所へサイを移動させるために、ヘリで逆さ吊りにして空輸するのである。

 一見、サイを虐待しているかのように見える光景だが心配はいらない。実はこの方法こそが、サイを安全に保護する為に重要なのだという。



WWF Rhino Airlift 2019

密猟者の標的になったアフリカのクロサイ

 アフリカでは、クロサイはこの30年間絶滅の脅威に晒され続けて来た。サイの角を、儲かる代替医療品にしたり、宝飾品として売りさばく密猟者が後を絶たないからだ。

 1960年代~90年代の30年間で、サイの個体数は98%も激減し、3000頭未満しか現存していないという状態にまで追い込まれた。

 そこで、保護活動家らはサイを密猟者から守るために、より遠く離れたアクセスが困難な場所にサイを移動させる活動を行っている。

 道路が利用できない可能性もふまえて、ヘリコプターでの空輸が唯一の効果的手段となっているようだ。

 空輸時には、サイは足を縛られた状態で逆さ吊りになって運ばれる。しかし、なぜこのように逆さ吊りにされるのだろうか。それには重要な理由があった。
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鎮静中の低酸素血症を防ぐため

  最近発表された『Journal of Wildlife Diseases』には、アメリカ・ニューヨークのコーネル大学の研究者らが、サイを逆さ吊りにして空輸する手段の重要性を明らかにする実験を行ったことが記載されている。

 実験では、12頭のサイを使って調査を行ったところ、横向きに寝かせたサイよりも足から逆さ吊りにしたサイの方が、動脈酸素圧の顕著な改善が見られたという。

 体重800kg~1300kgほどあるサイを移動させるには、かなりの量の鎮静剤が必要だ。しかし、これは体内の酸素レベルを下げ、低酸素血症を引き起こす可能性がある。

 サイをストレッチャー(担架)に乗せて横向きにして移動させるとなると、麻酔下にあるサイの体に供給される酸素が減少し、体をストレッチャーに縛る準備に30分を要する。

 しかし、逆吊りの場合は足を縛るのに数分かかるだけだ。更に体を逆さにすることで気道が遮られにくくなり、体内の酸素レベルの低下を防ぐことができる。
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 大量の鎮静剤を長時間使用し、移動に時間もかかるとなれば、サイの健康にリスクを与えることになる。逆に、鎮静下で過ごす時間が短ければ短いほど、サイは健康を保つことが可能になるため、この方法が保護活動を継続するためには極めて重要なのだ。

 事実、こうした保護活動は、クロサイの個体数に明らかな影響を及ぼしている。

 現在、アフリカには5600頭のクロサイが確認されており、その数は90年代の2倍以上に増えた。また、ナミビアでのサイの密猟も、2019年から40%減少しているということだ。

How do you move a rhino by helicopter in Hluhluwe-iMfolozi Park?
written by Scarlet / edited by parumo

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