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『仏教の誕生』(河出新書:佐々木閑 880円)~本好きのリビドー/悦楽の1冊

週刊実話WEB

『仏教の誕生』(河出新書:佐々木閑 880円) 

街なかですれ違った宣伝カーから「イエスはあなたの罪を背負って死んだのです」などと聞こえてくれば〝なんの罪だよ? ケッ、押しつけがましい。いずれにせよこちとら肩代わりなんぞ頼んだ覚えはねえや〟と内心、原始的な反抗心がつい頭をもたげてしまう。

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かといってイスラムはどうしても原理主義の物騒さと一切、洒落の通じなさそうな感じが苦手だし、第一好きなとんかつが喰えないのは閉口だ。日本人としては…とまで言い切る気はないが、やはり昔なじみな心安さを覚えるのは仏教だろう。どうせ同じ上段から来られるなら〝神の愛〟より〝仏の慈悲〟と言われるほうが、精も根も尽き果てた身にはしっくりこよう。

一神教の厄介なのはとにかく非信徒を改宗させずにはおかぬ、あの正義の征服欲。だからこそ歴史上、延々と相手を全否定する戦争を続けたわけだがその点実感として、どこか無闇やたらな論破自慢や喧嘩自慢を日常で目にした際の鬱陶しさに相通ずるのではないか。

懇切丁寧に解きほぐしてくれる「仏教とは何か」

コロナ騒ぎのため大学での対面授業が不可能となり、ユーチューブ上での連続講義をまとめた本書。極めて初歩の初歩、入門の手前の位置から仏教とは何かを、懇切丁寧に解きほぐしてくれる。しかし説き明かされるのは、あくまで仏教の出発点と根本精神であり、間違っても現代の日本仏教の無批判な礼讃ではない。

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「お坊さんというのは(中略)心の苦しみを消すための道を自ら学び」「同じ苦しみで悩んでいる人たちに伝えていく責務を担った人」「自分で考え、覚悟を持って出家した人だけが、真の僧侶」なので、家がお寺だから継いだなど論外だそう。〝戒律〟とよく使うが戒と律がどう違うか等、平易かつ嚙んで含める解説に納得の連続。

(居島一平/芸人)

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