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横浜オールド中華探訪30|スープをなめるな!佛跳牆も例湯も、根っこは医食同源にあり

80C[ハオチー]

中国料理を食べに行って、スープの注文を考えたことのある方はどのくらいおられるでしょうか?

日本のメニューでよく見るものといえば、コーンスープか、西湖牛肉羹(牛肉と卵白のとろみスープ)か。しかし、一般的なメニューにあるものだけでは、中国料理のスープの神髄はまったく伝わらないといっていいでしょう。

中国料理、特に中国南方の沿岸部におけるスープは、単なる味付きの湯ではないのです。

選ばれし食材のエキスをじっくり引き出したものこそスープ。広東省では季節に生じやすい不調を未然に防ぎ、体調を整えるために飲む習慣が根付いており、ハレの日もケの日も、医食同源の観点を最も具現化した料理といえます。

店内に蒸籠が積み上がる、広州市内の蒸しスープ専門店。栄養補給的存在なので、どれも手ごろな金額。食材を入れて器ごと蒸せば、クリアなスープに食材の風味が満ちる。

こうしたスープは例湯(ライトン)と呼ばれます。直訳すると「いつものスープ」で、店で食べれば「本日のシェフのおすすめ薬膳スープ」いったところでしょうか。

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店に留まらず、広東人の家庭では、健康のために母親やおばあちゃんが手作りするといわれます。親しい友人の家に日本から訪れれば、食事の時間にその家自慢のスープが出されることも少なくありません。調理時間は短いもので30分、長いものでは3時間から6時間。これが出てきたら家庭料理の最大のおもてなしと思い、ありがたくいただくに限ります。

また、ハレの日にもスープは欠かせない存在です。広東省の豪華な宴会ともなると、コースの最初と中盤以降の2回もスープが組み込まれ、ここに使わる食材の内容でその宴会の格式が決まるほど。特に結婚式や華僑ビジネスの面子をかけた本気の宴会なら、フカヒレやアワビなど最も予算を突っ込まれるのがスープだと考えて間違いありません。

横浜でもまた、日々の例湯はもちろん、高級乾貨を山ほど入れて贅を尽くした佛跳牆(フォティァオチャン:ぶっちょうしょう)が作れるところまで、中国のスープのハレとケが味わえる場所です。実際にどんなスープがあるのか、さっそくご紹介していきましょう。

イチジク、セリ、バナナの花。飲むたびに生気を取り戻す「龍鳳」の季節のスープ

横浜で、いつ訪れても滋味あふれるスープを用意しているのは伊勢佐木町の「龍鳳」。広東人好みの味は塩分控えめ。碗の中には、バランスよく素材の自然なうまみが満ちています。

広東省産の乾白菜(広東白菜の乾物)のスープ。楊シェフ(お兄さん)曰く「土ぼこりっぽいところで育ったものが旨いんですよ」。野菜の清涼感と力強い豚、2つの甘みとうまみがスープに満ちている。

季節メニューになっているスープは、前日から乾物を水で戻し、提供する数時間前に一度炊き、いったん自然冷却してなじませてから再加熱して仕上げるという時間のかけよう。ベースとなるたんぱく源はさまざまですが、豚スペアリブ、豚軟骨(パイカ)など。そこにハトムギや当帰など、その季節に起こりやすい不調に対応する薬膳材料を使って炊き上げます。

お正月は蓮根、春は春菊、夏はバナナの花やドラゴンフルーツの花。夏から秋はイチジク、冬から春先にかけてはシェフ兄弟一家総出で管理する山で摘んできた天然のセリ。このスープのためにも、季節ごとに食べに行かなければいけない店だと感じます。

初夏から秋にかけて登場するイチジクのスープ。生イチジクの甘みと香りが肉の旨味と重なると至極上品。
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