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新路線「LRT」で宇都宮の街はどう変わる? 「先駆者」富山の成功から考える

J-CASTニュース

栃木県宇都宮市から芳賀町にかけて2023年3月開業予定の軌道系交通機関「芳賀・宇都宮LRT」の開業準備が着々と進んでいる。これまで路面電車などの軌道交通がなかったこの地域での新規開業計画は、実現の最終段階に入っている。

昭和中期に全国で廃止が相次いだ路面電車を都市で新しく開業させるのは、1960年代以降で初めてだ。同線が描く宇都宮市の交通網の将来はどんなものか。

宇都宮市内と郊外を直結

「ライトライン」の愛称が予定されている芳賀・宇都宮LRTは市街地では道路上を走り、郊外では専用の線路を走る。1990年代に交通ネットワークのリノベーションを検討していた宇都宮市において、LRT推進派の佐藤栄一市長の下で2013年にLRT新設の方針が決まり、第3セクター方式の宇都宮ライトレール社が運行を担う。すでに停留所名や車両イメージも発表され、宇都宮駅東口から芳賀町の芳賀・高根沢工業団地までの14.6キロが23年3月に開業予定である。

同線沿線には工業地域・住宅地が点在し、これら通勤・通学需要に応えることが狙いだ。宇都宮駅東口からしばらく市内を走るが、清原工業団地・芳賀工業団地と工業地域を経由する。

路線の性格について、鉄道ライターの枝久保達也さんはこう話す。

「宇都宮市周辺はもともとバス路線が発達し、バス中心の交通体系でした。これをバスより高速で便利なLRTで置き換えつつ、市街地の交通軸にLRTを位置づけようというものと考えます。宇都宮市の人口(約51万人)を考えると今まで軌道系交通機関がなかったことが不思議なくらいです」

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LRTの長所はバスに比べて大量・定時輸送が可能でかつバリアフリーが進んでいる点にある。ライトラインは市街地での輸送に加えて郊外区間の需要もカバーする。広島市内から市外に出て宮島口に至る広島電鉄宮島線のような性格の路線となる。

実際、14.6キロという開業区間の長さは、日本の路面電車路線の中では長い部類に入り、都電荒川線(12.2キロ)や長崎市内をくまなく走る長崎電気軌道(11.5キロ)より長い。市内と郊外を一気に開通させたところにも自治体の前向きぶりがうかがえる。

富山ライトレールとの違いは?

宇都宮に先駆けて日本国内で低床車両によるLRTを開業させた例としては、富山市の富山港線(富山~岩瀬浜)がある。元はJR西日本の富山港線で廃線が検討されていた鉄道だったが、2006年にLRTの富山ライトレールに転換し停留所数も増やし、増発により収支は大幅に改善、富山市の基幹交通として再生を果たした。

富山市の市内電車としては他に富山地方鉄道軌道線があり、JR富山駅を挟んで富山港線が北側、富山地鉄が南側に展開していたが、富山駅の高架化に合わせて両線のレールがつながり2020年3月に直通運転が始まった。同月に富山ライトレールと富山地方鉄道は合併し、富山地鉄による一元運営も実現する。

富山市は少子高齢化するコミュニティにおいて、従前より公共交通を活用して市街地の活性化を図る「コンパクトシティ」を重視していた。「もとは需要が低迷していたローカル線を転換し再生させたという点で、宇都宮ライトレールとはやや性格が異なります。南側の富山地方鉄道と接続させたところまで、富山市のコンパクトシティ構想に後押しされて成功したものと思います」(枝久保さん)。

宇都宮市の人口は約51万人、富山市は約41万人で宇都宮市の方が多く、運行距離は富山港線・軌道線にほぼ並ぶ。ライトラインは23年の開業区間に加え、宇都宮駅西側への延伸計画も検討中であり、市の東西を貫く交通軸に宇都宮市は位置付けている。ライトライン停留所を交通結節点としてバス路線を再編・新設し、公共交通の空白を埋めようという構想だ。宇都宮駅西側では東武宇都宮線とバス・ライトラインを接続させるプランも有している。バス・マイカーとの競合に敗れて廃止されていった昭和期の路面電車と異なり、異なる交通機関と結合して便利なネットワークを提供する役割を担うことになる。

(J-CASTニュース編集部 大宮 高史)

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