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有害な金属から無害な銅原子を取り出してくれる細菌が鉱山で発見される(ブラジル)

カラパイア

効率的で安全な銅を作り出す細菌が発見される
photo by iStock

 ブラジルの銅鉱山で発見された細菌は、採掘プロセスで排出される有害な副産物を純度の高い銅に転換する特殊能力を持っていた。

 その力をうまく利用すれば、汚染物質をきれいにしつつ、市場価値のある金属を生産する、安価かつ環境に優しい方法が開発できるかもしれないそうだ。

環境と人体に影響を及ぼす銅の採掘作業

 は電子機器、太陽電池、抗菌コーティングなどの生産に不可欠な素材だ。鉱石は主に黄銅鉱などの鉱石から採掘されるのだが、銅に炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物などの鉱物が混まれており、採掘プロセスの副産物として金属イオン(電荷を帯びた銅)が排出され、周囲の環境を汚染してしまう。

 それを人が摂取すると、頭痛や嘔吐から肝不全や腎不全などの症状を引き起こし、高濃度で摂取した場合には死に至ることもある。
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photo by iStock

ブラジルの鉱山で発見された銅原子を作り出す細菌

 だが、バクテリアや菌類などの多くの微生物は銀や金、さらには銅などの有用な金属を、10~40ナノメートルの大きさのナノ粒子と呼ばれる小さな塊の形で作り出すことができる。

 金属原子の利用効率を最大限に高めるには、たった1つの金属原子を利用できることが大切だが、これまで、金属の単原子形を生成できる微生物は知られていなかった。
 
 しかし、170~179ピコメートル(0.17~0.179ナノメートル)しかない単原子状態の銅を人工的につくろうと思えば、コストも労力もかかるし、有害な化学物質も必要になる。

 だから、それを勝手に合成してくれる細菌がいるのだとすれば、ぜひともその力を借りたいところなのだ。

 その大きな可能性を秘めた細菌は、ブラジルの銅鉱山で細菌の調査をしていた米ヒューストン大学のデボラ・ロドリゲス氏らによって発見された。

 それはバシラス属に分類される細菌で、フラスコに「硫酸銅」(水の中で銅イオンと硫黄に分離する)と一緒に入れると、2日後に驚くべき変化が起きたという。青緑色がオレンジ色に変化したのだ。

 一体何が起きたのか明らかにするべく、ロドリゲス氏が高性能な透過型電子顕微鏡を覗き込んでみたところ、なんと細菌の細胞の中にイオン化していない13000個の銅原子が見つかったのである。
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銅を取り出してくれる細菌 credit:(Louise H. Gracioso

鉄分を蓄えるタンパク質を作り出す

 その細菌は硫酸銅があるところで成長するとき、「フェリチン」という鉄結合性タンパク質をつくり出す。

 これは人間などの動物の体内では鉄分を蓄える役割があるのだが、イオン化した銅を脱イオン化してくれることも知られている。だが、こうした機能が生きた細胞の中で観察されたのは初めてであるとのこと。

 この化学プロセスには大量のエネルギーが費やされている可能性が大だ。そのため、細菌はどこかからかこれを行うためのエネルギーを得ていると考えられている。ロドリゲス氏によれば、有力なのは硫酸塩だという。

 こうした細菌の働きは自然界では決して珍しいことではなく、今回の発見は氷山の一角だろうとのことだ。同氏は、銅だけでなく単原子の金や銀をつくれる細菌もいるのではと睨んでいる。

 ほかにもダイオキシンを除去してくれる種がいるなど、細菌の世界は底がしれない。

 この研究は『Science Advances』(4月23日付)に掲載された。

追記(202104/29)タイトルを訂正して再送します。

References:Bacteria from a Brazilian copper mine work a striking transformation on an essential metal – The Academic Times / Copper Mining Bacteria: A More Efficient, Safer Alternative to Sourcing Copper/ written by hiroching / edited by parumo

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