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Netflix『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のノア・シュナップ主演!心もお腹も満たしてくれるフード映画

キネマ旬報WEB

Netflix『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のノア・シュナップ主演!心もお腹も満たしてくれるフード映画

ブラジル人監督の実体験に基づく少年の成長譚 映画『エイブのキッチンストーリー』

料理が大好きな12歳の少年が、バラバラになってしまった家族の絆を“手作り料理”で取り戻そうとする。と聞くと、よくあるお涙頂戴映画のようだが、本作が面白いのは、ニューヨーク・ブルックリン育ちの主人公エイブがイスラエル系の母とパレスチナ系の父を持つ、その境遇にある。それもそのはず、本作は映画監督でYoutuber、新聞や雑誌の記者でもある多彩なフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデの半生をベースにしており、一種自伝的な側面もある物語だからだ。

映画初主演でエイブを演じるのは、Netflixの大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(’16~)のウィル役でお馴染みのノア・シュナップ。エイブが料理を学ぶ師匠チコを、路上生活をしながらブラジリアンポップサンバを改革した人物として知られ、ウェス・アンダーソン監督作『ライフ・アクアティック』(’04)にも出演する偉才の持ち主セウ・ジョルジが好演している。

“フュージョン料理”に魅せられたエイブのひと夏の大冒険

物語は、エイブの12歳の誕生日から始まる。「人と話すより料理をしているほうがいい」と語るエイブは、料理を作ってはSNSに投稿。自分の誕生日のごちそうだって自分で作る。でも、何かと口を挟んでくる母の言いなりになるうちに、ケーキのスポンジはぺしゃんこ。さらに、孫を祝うために集まったはずの祖父母はいつしか宗教や文化の違いで対立し、エイブそっちのけで食卓には険悪な空気が漂う。これが、エイブの家族のいつもの風景だ。

しかし、12歳になったエイブはこれまでとはひと味違う。偶然、ネットで知った料理人・チコに思い切って会いに行くことにしたのだ。違う文化の料理をミックスし、新たなメニューを生み出す “フュージョン料理”を作るチコに衝撃を受けたエイブは、彼に弟子入りを志願する。始めは適当にあしらっていたチコも、エイブの熱意に押され渋々受け入れるのだが…。

人間関係も“味付け”次第でその可能性は無限に広がる

本作には、ブラジル料理をジャマイカ風にアレンジした“アカラジェ”や、イスラエル料理のフムスとハラーを組み合わせた創作料理など、おいしそうでユニークなメニューがたくさん登場する。好奇心に任せて何でも掛け算すればいいというわけではなく、食材を吟味し何度も試作を繰り返し、初めて調和(フュージョン)のとれた料理ができあがるのだ。

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人間関係だって同じなのかもしれない。バラバラになってしまった家族に自作料理を食べてもらおうと試行錯誤をするエイブの姿から、そんなことを痛感させられる。おいしいものを食べて怒り出す人はおそらくいないだろう。文化が違っても、境遇が違っても、人間がいがみ合うのではなく調和することを共に目指せれば、きっと人生は、そして世界は豊かになる。そんな無限の可能性で心もお腹も満たしてくれる、フード映画の秀作がまたひとつ誕生した。『エイブのキッチンストーリー』は、現在先行デジタル配信中で5/7にBlu-ray&DVDがリリースとなる。

文=原 真利子/制作=キネマ旬報社

『エイブのキッチンストーリー』
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