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林真理子の「問題作」。読んでいて辛いのに、先が気になって仕方ない…!

BOOKウォッチ

小説8050(新潮社)<amazonで購入>

 「結婚も就職も出来ぬまま五十代になった子どもが、八十代の親の年金を頼って生きていく現実は、今や大きな社会問題になっている」――。

 林真理子さんの最新刊『小説8050』(新潮社)は、「『引きこもり100万人時代』に生きるすべての日本人に捧ぐ、絶望と再生の物語」。「引きこもり家庭」のリアルな描写と息もつかせぬ展開は、圧倒的な読み応えである。

 「『父さんと死のう』。息子が部屋から出なくなって七年。このままでは、家族が破滅する――」

 本書は「週刊新潮」(2020年2月27日号~11月5日号)の連載に大幅な加筆・改稿をしたもの。本作は連載時から話題となり、問い合わせが殺到。発売を待たずに異例の事前重版が決定したという。

完璧な人生に見える男の「秘密」

 「圧倒的リアリティーで日常の隣にある絶望に迫る問題作!」と帯にある。まさに、実在する家族に密着したドキュメンタリーを見ているようだ。もっと言うと、一読者というより一当事者として、この問題に直面しているような緊迫感がある。

 本書は「第一章 はじまり」「第二章 苦悩」「第三章 決起」「第四章 再会」「第五章 再生」「第六章 裁判」の構成。あらすじは以下のとおり。

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 都内で父から受け継いだ歯科医院を営む大澤正樹。美しく従順な妻と優秀な長女にめぐまれ、完璧な人生を送っているように見える。ところが、正樹には決して家族以外に知られたくない「秘密」があった。

 有名中学校に合格し、医師を目指していた長男・翔太が、七年間も引きこもっているのだ。部屋から出られなくなった息子のために、家族は何ができるのか。父は息子の心を蝕んだ過去に立ち向かい、息子と一緒に戦うことを決意する。

「うちは違う、と考えていた」

 正樹は小さい頃から努力することの大切さを説き、翔太に中学受験を勧めた。そして翔太は中高一貫の進学校に合格した。

 ところが、中学二年生の夏休みが終わった時、翔太は突然「もう学校に行きたくない」と言い出した。いじめがあるのではないかと学校にも本人にも問うたが、結局真相はわからなかった。

 それから夫婦は、息子を叱責し、懇願し、諭し、怒り、時には頬を叩いたり、妻が泣きながら「とにかく学校に行って頂戴……」と頭を下げたりしたこともあった。精神科医、都の相談窓口、カウンセラーにもあたった。しかし、引きこもりは現在も続いている。

 「七年前も、”引きこもり”はとうに社会問題になっていたではないか。それなのに自分は心の中で、うちは違う、と考えていたのである」

「大きな変革」のはじまり

 学校に行かなくなった翔太は、昼夜逆転の生活を始めた。

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