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駅員の対応が悪いドイツで、なぜ車椅子ユーザーは快適に電車に乗れるのか

リアルライブ

 車椅子ユーザーのコラムニスト伊是名夏子氏が電車を利用した際、来宮(きのみや)駅で降りたいと乗車駅の駅員に伝えたところ、駅員が来宮駅に階段しかないため対応ができず、熱海駅までの乗車を提案したとして、“JRに乗車拒否された”と訴えたブログが物議を醸している。もし同様のことがヨーロッパで起きた場合、どのような対応となるのだろうか。ドイツはヨーロッパの中でも日本人と気質が似ていると言われているが、駅係員の対応は日本よりも“荒い”という。

 ドイツで車椅子ユーザーは、ホームでは窓口や駅にいる駅員に頼んで傾斜路や板を使って乗降を手伝ってもらい、乗ってからは電車の中の呼び出しボタンを押して助けが必要なことを伝え、駅員が乗降を手伝う仕組みになっている。大きな駅であれば駅員が乗降を手伝うが、無人駅も多く、その場合は、運転手が乗降を助ける。

 しかし、都市部か田舎かによっても違いがあるものの基本的に手伝う駅員は1人で、乗降を手伝った後は、何もしないことが多いという。ドイツ在住6年の日本人は、「まれではあるものの『忙しいから今はできない』と拒否する駅員もいます。車椅子ユーザーが助けを受けられるかどうかはまさに“駅員による”感じです。事前に相談したところで、『当日、車椅子ユーザーだと駅員に言って』と言われることが多いようで、当日行ってみて運次第なところはあると思います。ちなみによほど大きな駅でない限り基本的に駅員が手伝うのは乗降のみで、ホームから先は手伝いません」と話す。

 しかしドイツでは周りの人の助けが手厚く、車椅子ユーザーが快適に電車を利用できる仕組みが出来上がっているという。

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 ドイツでは、全ての駅員が親切に対応するわけではないことを多くの人が知っているため、車椅子ユーザーの近くにいる乗客が当たり前のように助けるのだ。乗降の際に駅員が来なければ何人かで車椅子を持って乗降を手伝い、ホームの階段の上り下りも複数の人が担いで車椅子ユーザーをサポートする。

 前出の現地在住の日本人によると、助けること自体を当たり前と思っているようで、むしろ「助けが必要ですか?」という声掛けもないまま手助けをする人が多いという。「助けることは特別だと思われていないので、恥ずかしがったり強がって見て見ぬふりをする人もいません。タトゥーをした若者や柄の悪そうな人が車椅子ユーザーをサポートしている場面もよく見られます」とドイツ在住日本人は話す。

 また、車椅子ユーザー本人が助けを呼ぶことも珍しくはない。たいていの場合、周りの乗客が助けるが、もし周りの助けがなかった場合は車椅子ユーザー自身が「あなたたち、助けて」と発信する。しかし現地在住のドイツ人によると、呼びかけられたところで、図々しい、迷惑という感情を持つことはなく、ただ単に助けが必要なんだと思うのみだという。気軽に助けを呼びかけられる雰囲気があるようだ。

 前出の日本人女性は日本に存在するサービスに関してこう指摘する。「日本の手厚いサービスは素晴らしく世界に誇れるものだと思います。しかしドイツに来て、助ける人は必ずしも係の人など働いている人でなくていいのだと学びました。手厚いサービスに慣れすぎると、助け合いはサービスの一種と捉えられ、人同士の助け合い精神が希薄になってしまうのかなと思います」

 ドイツの電車では車椅子専用スペースがあったり、広いトイレがあったりとバリアフリーが進んでいる面も多いが、電車に限らず、サービス面のレベルは日本ほど高くないという。しかしそれがかえってドイツでの助け合いの精神を生み出しているようだ。

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