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オリオン座のベテルギウスがダークマター(暗黒物質)の製造工場である可能性

カラパイア

ベテルギウスがダークマターの製造工場である可能性
photo by iStock

  オリオン座の一画にあって、冬の大三角形を構成してもいる「ベテルギウス」は、赤色超巨星に分類され肉眼で観望できる恒星の中では最も直径が大きい恒星の1つである。

 数年前、急速に明るさが低下し、超新星爆発の前兆かと言われていたが、再び輝きを取り戻し、爆発は免れたようだ。

 何かとお騒がせのベテルギウスだが、新しい研究によると、この星は謎に包まれた「ダークマター(暗黒物質)」を大量に作り出している可能性があるという。

暗黒物質の有力候補である素粒子「アクシオン」

 一昨年から昨年にかけて急激に減光したために、超新星爆発が起きる前兆ではと話題になったベテルギウスは、天文学的には目と鼻の先になる地球から640光年先にある。

 そこで作られている可能性があるのは、「アクシオン」と呼ばれる仮説上の素粒子だ。その質量は電子の100万分の1から10億分の1しかないと推定されており、やはり仮説上の物質であるダークマターの有力候補とみなされている。

 ダークマターとは、「質量は持つが、光学的に直接観測できない」天文学的現象を説明するために考え出された仮説上の物質であり、その正体は未だ不明である。
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photo by iStock

ベテルギウスがアクシオンを生み出している可能性

 もしダークマターの正体がアクシオンならば、発光する粒子とほとんど干渉しないはずだ。ところが、強力な磁場があるところでは、低い確率で「光子」に転換(その逆も)する可能性がある。

 こうした現象が起きやすいと考えられるのは、光子と磁場がたっぷりとある恒星の核だ。それゆえに質量が太陽の20倍もあるベテルギウスは、「アクシオンの製造工場」ではないかと天文学者から目をつけられていた。

 もし実際にアクシオンが作られているとすれば、そこから飛び出して、地球へ向かってくるものもあるに違いない。その間、それらは天の川銀河の磁場と作用して、光子に転換され、X線を構成するようになると考えられる。

 ベテルギウスは年老いた星なので、それほどX線を放っていないはずだ。そのため、想定されている以上にX線が検出されれば、それはアクシオンの存在を示唆している可能性がある。

Visiting Supergiant ‘Betelgeuse’

アクシオンの性質の不確かさを狭めることに成功

 そうしたX線を探すために、米マサチューセッツ工科大学の物理学者シャオ・メンジャオ氏らは、NASAのX線宇宙望遠鏡「NuSTAR」をベテルギウスに向けた。

 アメリカ物理学会で4月20日に発表されたその研究によれば、残念ながら、彼らが求めていたような異常な量のX線は見つからなかったという。

 だが、まったく無駄な調査だったわけではない。そこにある不確実性の定量化を試みたところ、光子とアクシオンの相互作用が起こる頻度は、これまでの推定の3分の1未満でしかないことが示唆されたからだ。つまりアクシオンの性質の不確かさが、より狭まったことになる。
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credit:image credit:NASA, ESA, and E. Wheatley (STScI)

 なお、仮に想定よりも多いX線が検出されていたとしても、それが直ちにアクシオンの存在の裏付けとなるわけではない。考えられるさまざまな可能性を除外できて、ようやく認められるようになる。

 もしアクシオンの存在が実証されれば、ベテルギウスの内部で起きているプロセスをより詳しく解明できるようになる。そうなれば、この星が超新星になる時期も計算しやすくなるとのことだ。

 それまでは、冬の夜空を飾るオリオン座が今の姿のままでいてくれることを願おう。

References:One of Earth’s nearest stars may be a dark matter factory | Live Science/ written by hiroching / edited by parumo

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