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社長辞任、CVC買収断念… 混迷の東芝はどこへ行くのか!?

J-CAST会社ウォッチ

株主還元を含む経営方針をめぐり、物言う株主との対立が激しくなり、20年7月の株主総会では、車谷氏の再任への賛成比率は約57%台まで低下。この総会の議決権の扱いなどについて、2社の物言う株主からの請求で2021年3月に臨時株主総会が開かれ、外部弁護士による調査を求める株主提案が賛成多数で可決された。

そこに降ってわいたのがCVCによる買収提案だった。株式上場を廃止し、経営判断のスピードアップを図るというもので、要は物言う株主に口を挟まれないようにするということだ。

このCVCは、元三井住友銀行副頭取の車谷氏が、東芝に転じる直前の18年3月までCVC日本法人の会長を務めていたという関係になり、買収提案の発覚時から、車谷氏が自己保身のためにCVCを呼び込んだとの疑念が出されていた。

ただ、それにしても車谷氏の辞任は急転直下の印象だ。

過度な数字重視に高まる車谷氏への「不信任」

じつは、もっと早い段階から辞任へ向けた動きがあった。3月の臨時株主総会に前後して、指名委員会が車谷氏に対し、夏の定時株主総会で再任しない考えを伝えたという。物言う株主との緊張関係に加え、2021年に入って幹部社員を対象に実施した年1回の社内調査で、車谷氏への「不信任」が50%を超えたことも理由とされる。

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銀行出身の車谷氏は数字での管理を重視し、利益目標の達成を強く求めたといい、これがかつて不正会計を生んだ数値第一の「チャレンジ」の復活との反発もあったという。

社内外から不信を突きつけられた形で、車谷氏も辞任を受け入れた。

指名委員会は4月7日に委員会を開いて車谷氏の退任を決める予定だった。その前日、6日にCVCの買収提案が飛び込んできた。車谷氏が提案に関わっていたのかは不明だが、1株5000円程度でTOB(株式公開買い付け)を行い、非上場化するという内容で、現経営体制の維持も盛り込まれていた。車谷氏は辞意を撤回し、7日の指名委員会は延期された。

CVCの提案が表面化した7日に車谷氏が「取締役会で検討する」と報道陣に語ったのに対し、2日後に永山氏は取締役会議長として、CVCの提案は「初期的かつ法的拘束力のない提案書」と疑問視する異例のコメントを公表した。車谷氏へのけん制だったとみられる。

結局、最後は永山氏、車谷氏、綱川氏が話し合い、車谷氏は退任を受け入れ、14日の取締役会で交代人事を決めたという。

CVCからは買収について19日に「検討中断」の連絡が東芝に届いたという。事実上の買収断念とも言われる。このほか、CVCの動きに触発されてか、米投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)やカナダのブルックフィールドなども買収を検討していると報じられている。提案があれば、株主の利益に直結するだけに、真摯に検討する義務があるが、車谷氏なき東芝経営陣は、この1月に東証1部に復帰を果たしたばかりでもあり、買収・非上場化には懐疑的な声が強いとされる。

買収がひとまず遠のいたとみられることで、焦点は物言う株主との攻防に戻る。これについて、車谷氏が物言う株主から不信を買っていたのは確かで、2020年7月の定時株主総会の取締役選任議案で、57%台という車谷氏の支持は、綱川氏らの9割程度と大きな差があった。

とはいえ、車谷氏の辞任の前後で、会社と株主の基本的な構図に大きな変化があるわけではない。

車谷体制では、中長期的な視点での投資を計画したが、短期的な株主還元を重視する外国ファンドなどから批判があった。一方、株主の期待に応えるべく業績改善に傾注し、実際に2021年3月期の営業利益は1100億円(前期比15.7%減)の見込みと、コロナ禍の中では健闘したが、社内では過度の利益重視、数字重視との批判が出たのは、前記のとおりだ。

「目指すべき方向性を経営陣と従業員で共有し、グループの成長を確かなものにしていく」。綱川氏は社長交代の会見でそう述べたが、株主の期待に応えつつ、社内の求心力も高めるのは簡単な道ではない。(ジャーナリスト 済田経夫)

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