シリーズにおける元祖ライバルキャラ、「アポロガイスト」(画像は再生後)。「仮面ライダーX Vol.2」(東映ビデオ) (C)石森プロ・東映

【画像】「えっ…異様にかっけぇ!」造形作家の竹谷隆之氏によるアレンジでめっちゃスタイリッシュな「アポロガイスト」と「Xライダー」をチェックする!(10枚)

シリーズ初のライバルキャラとして誕生

 本日4月13日は、1974年に『仮面ライダーX』第9話「Xライダー必殺大特訓」が放送された日です。このエピソードから「仮面ライダー」シリーズ初のライバルキャラといわれる、「GOD秘密警察第一室 室長『アポロガイスト』」が本格的な活躍を見せはじめました。

 実は、「アポロガイスト」の登場は前話である第8話「怪!? 小地球・中地球・大地球」からになります。しかし、このエピソードでは顔見せといった意味合いが強く、セリフもありませんでした。

 その名前は企画書の時点で存在しており、敵組織「GOD」の怪人のアイディアとして、神話や伝説のイメージを持った怪人、「アポロガイスト(力)」「闇アテナ(知恵)」といった表記があります。

 アポロガイストは、作品初期にあった「水城涼子」と「水城霧子」を巡る展開が決着したことで登場した形となりました。同時に、メイン脚本家だった長坂秀佳さんも降板し、本作が打ち出そうとしてきた新機軸、言ってしまえばマンネリ打破の挑戦は一度、白紙に戻ったといえるでしょう。

 しかし、本作の独自路線は終わったわけではありません。それはアポロガイストの存在自体が、これまでの「ライダー」シリーズになかったものだからです。

 アポロガイストには、従来の「ライダー」シリーズの大幹部にはない特徴がいくつかありました。そのひとつは、普段は純白のスーツと黒いネクタイの青年として行動し、「アポロチェンジ」の掛け声で戦闘形態に変身するというもので、「悪の仮面ライダー」といえるようなキャラクター造形がなされており、いわばライバルキャラクターです。これまでの大幹部はアジトで指揮を執る存在であって、ライダーたちより年配であり、変身も最後の戦いに限定されていました。

 これらのことからアポロガイストを、『人造人間キカイダー』の「ハカイダー/サブロー」、『快傑ライオン丸』の「タイガージョー/虎錠之介」と並ぶ存在、主人公の好敵手、ライバルキャラと位置付ける人も多くいました。

しかしアポロガイストには、「ハカイダー」や「タイガージョー」にはなかった特徴があります。それは揺るぐことのない組織への忠誠心でした。ライバルキャラといえば、宿敵(おもに主人公)との決着を優先することで組織のことは二の次にしてしまうというケースが多々見られますが、アポロガイストのGODへの忠誠は不動のもので、アウトローではなく組織人だったといえるでしょう。

 どちらが魅力的かという問題はさておき、この個性がアポロガイストの魅力でした。その結果、本来なら1か月ほどで次の大幹部「ブラックマルス」と交代する予定を、人気があることから交代せず続投することが決まります。そして作中では「再生アポロガイスト」として、パワーアップして復活を果たしました。

 これにより、さらに「仮面ライダーX/神敬介」との戦いは熾烈を極めていき、そのライバル関係は視聴者の注目となります。その最後の戦いもXライダーを道連れにしようと執念を見せ、作品前半を大いに盛り上げました。本作の影の主人公といえるかもしれません。

 その見せ場は戦いだけにとどまらず、GOD怪人に店を壊されて憤慨する「立花藤兵衛(おやじさん)」の前に現れ、良い印象を与えたいからと神敬介の香典および店の修繕費として札束を置いていくというシーンがありました。こういった妙な律義さに女性ファンも多いといわれています。



『仮面ライダーディケイド』でもずいぶんと「迷惑」だった。バンダイ「掌動-XX 仮面ライダー7」 (C)2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映 (C)石森プロ・東映

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時代を超えて平成の世にもよみがえった「アポロガイスト」

 前述したアポロガイストのような存在は、昭和に放送したほかの「仮面ライダー」シリーズ作品にはあまり見られません。『仮面ライダーストロンガー』の「タイタン/百目タイタン」くらいでしょうか。

 むしろ普段は人間の姿で、変身して戦闘形態になるというパターンは、「平成ライダー」シリーズ以降の敵キャラクターでよく見られるようになります。もっとも、敵キャラクターながら変身後の姿は「仮面ライダー」の類である、という点が特徴的でしょうか。

 そのような「平成ライダー」シリーズで、アポロガイストは別人として復活していました。平成ライダーシリーズの第一期を締めくくった『仮面ライダーディケイド』での登場です。

『ディケイド』では、変身前の人間体に「ガイ」という名前があり、「大ショッカー」という悪の組織の大幹部でした。部分的には『X』での設定を引き継いでおり、まったくの別人というよりも、本来の世界とは違う、別の世界のアポロガイストとなっています。

 人間体のコスチュームはほぼ一緒ですが、変身後は時代に合わせてスタイリッシュな姿にアレンジされました。『ディケイド』の終盤には、『仮面ライダーキバ』の敵である「ファンガイア」の力を得て「スーパーアポロガイスト」へとパワーアップしています。

 このスーパーアポロガイストは、TV版『ディケイド』の最後の敵となりました。そういう意味では、途中で退場した『X』以上に見せ場が用意されたといえるかもしれません。また、『X』とは別口のファンが生まれたことでも知られています。

 それは平成版アポロガイストを演じたのが、俳優の川原和久さんだった点が大きいかもしれません。川原さんはご存じの方も多いと思いますが、人気ドラマ『相棒』において長年に渡り、「警視庁刑事部捜査一課7係巡査部長 伊丹憲一」役を演じてきたことで広く知られています。

 この『相棒』での知名度も、人気の獲得にひと役買っていることでしょう。加えて『ディケイド』でのアポロガイストは、自身を「迷惑な存在」と称し、語尾に「~(な)のだ」とつけるのが口癖という、オリジナルから新たな味付けがなされており、これも大いに受け入れられていました。ちなみにこの口癖は、『X』第16話での「俺は貴様を殺すまでは何度でも生き返る。貴様にとっては迷惑な相手なのだ」というセリフから拡大解釈されたのでしょう。

 時代を超えて愛されるアポロガイストは、「仮面ライダー」シリーズにおける元祖ライバルキャラクターとして、今後も出番があるかもしれません。少なくとも筆者的には昭和版、平成版ともに魅力あるキャラクターとして印象的でした。