画像は『葬送のフリーレン』23話の場面カット (C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」制作委員会

【画像】えっ、ちゃんとオトナだ… これがおでこをコツンッとするフリーレンです(5枚)

自分たちの実力だけで試験を突破したかった

 2023年秋から2クール連続で放送されているTVアニメ『葬送のフリーレン』では一級魔法使い試験の二次試験が始まっています。そんななか、一次試験で同じパーティーを組んでいたフリーレンとラヴィーネ、カンネが別行動をとっていることに疑問を持つ人もいたのではないでしょうか。

 ラヴィーネとカンネがフリーレンと合流しなかった理由として、最初に考えられるのは「実力を示したかった」というものです。一次試験を無事突破したふたりでしたが、その功績のほとんどはフリーレンのおかげだといえます。

 魔力に敏感で、しかも高速で飛行する隕鉄鳥(シュティレ)を捕まえる方法を考え、実際に「鳥を捕まえる魔法」を使ったのはフリーレンですし、その後のデンケン一行との戦いでもフリーレンが雨を遮るゼーリエの結界を破壊しなければ、ラヴィーネとカンネはふたりがかりで戦ったにも関わらずリヒターに敗北していたでしょう。

 つまり彼女たちはフリーレンがいなければ、一次試験を突破できなかった魔法使いなのです。ラヴィーネやカンネはこの事実をしっかりと受け止めており、二次試験で自分たちの実力を示そうとしたと思われます。フェルンを除けば、フリーレンと一緒に迷宮攻略すれば合格率が高まることを一番知っているのがふたりでしょう。

 不本意な受かり方をした一次試験の借りを返したいという誇り高い思いが、そっけない態度として現れたのではないでしょうか。デンケンたちと合流しなかったのも同様の理由だと思われます。もちろん一次試験で負かしたせいで、合流するのが「気まずかった」という身も蓋(ふた)もない気持ちもあったと思われますが。

フェルンに遠慮した

 一次試験が終わった後、ラヴィーネとカンネはフリーレンやフェルンを交えて女子会を開きました。和気あいあいとした雰囲気からは彼女たちが親密になった様子がうかがえます。若者たちが仲良くしている様子にフリーレンも笑みを浮かべたくらいです。この関係性なら、二次試験でフリーレンたちと合流しても、まったくおかしくありません。

 それにも関わらずラヴィーネとカンネがふたりだけで迷宮攻略に乗り出したのは、フェルンに遠慮したという可能性も考えられます。女子会トークのなかでフェルンのフリーレンに対する想いの強さを知り、今回の試験ではふたりで攻略できるよう配慮したのかも知れません。



画像は『葬送のフリーレン』20話の場面カット (C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」制作委員会

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ラヴィーネとカンネの「気遣い」説も

フェルンの想い

 フェルンのフリーレンに対する感情は少し複雑です。普段は世話を焼いたり小言を言ったりする「保護者」ポジションを取りつつ、同時に魔法の師として敬愛しています。これは一見アンビバレンツな態度に見えますが両立可能な態度です。幼少期からずっと一緒にいたフェルンとフリーレンのリーダーシップは、日常と魔法の分野で逆転するのです。その上、フリーレンに対する独占欲も含まれており、フェルンのフリーレンに対する感情はひと言で言い表せません。

 このようなフェルンの複雑で重い感情は、フリーレンに魔法をかけようと抱き寄せたメトーデからフリーレンを「取り戻した」時のふくれっ面からも明らかです。おそらくラヴィーネとカンネは女子会で、このようなフェルンの感情を察知したのでしょう。だから二次試験ではフェルンにフリーレンを独占させてあげようという気持ちになった、というのは考えすぎでしょうか。

『葬送のフリーレン』は繊細な感情表現が魅力

 アニメに限らず映画などの映像作品において、感情表現は登場人物の口から発せられた言葉だけではありません。ふとした時の表情や態度、距離感、口調、そのときに身に着けている衣服や小物などからも伝わります。言葉になる感情よりも、言葉にならない感情のほうが大きく、複雑で繊細なのです。

 その点『葬送のフリーレン』は極めて感情表現が巧みな作品だといえます。フリーレンやフェルンは口数が少なく、叫んだり、大きく表情を動かしたりすることはめったにありません(ションボリしたりするデフォルメ表現は別として)。でも彼女たちに豊かな感情があることは視聴者の誰もが疑いようもなく確信しています。

 二次試験でラヴィーネとカンネが見せた微妙なそっけなさ、距離感からも、視聴者に伝わってくる想いが確かにあるのです。