一年戦争当時は子供というか、幼児だったキッカ。「機動戦士ガンダム キッカコレクション ハンドタオル」 (C)創通・サンライズ

【画像】すっかり大人になっちゃって…『ガンダム』『Z』『ピューリッツアー』のキッカを見比べる

ワンセットだった3人の運命が分かたれたのは…?

 アニメ『機動戦士ガンダム』(1979年)の、いわゆる主役機の母艦になる地球連邦軍艦艇「ホワイトベース」には、おなじみ「カツ」「レツ」「キッカ」の、3人の幼い子供が乗っていました。それぞれフルネームは「カツ・ハウィン」「レツ・コ・ファン」「キッカ・キタモト」といい、物語冒頭でスペースコロニー「サイド7」がジオン公国軍の襲撃を受けた際に、「ホワイトベース」へ逃れてきた難民の孤児です。そうして本作の主人公「アムロ・レイ」たちと行動を共にすることとなり、一年戦争を生き延びました。

 戦後、その「ホワイトベース」のクルーだった「ハヤト・コバヤシ」と「フラウ・ボゥ」が結婚した際に、3人は彼らの養子となります。それから3人は、どのような人生を送ったのでしょうか。

 3人は、一年戦争の7年後を描くアニメ『機動戦士Zガンダム』(1985年)の第13話「シャトル発進」で再登場し、フラウに連れられアムロのもとを訪れます。その頃、アムロは地球連邦軍に危険分子として見られており、軍の北米シャイアン基地に勤務しつつ、軍からは事実上の半幽閉状態におかれていました。

 それまでワンセットだった3人の運命は、この訪問をきっかけに分かれていきます。第14話「アムロ再び」にて、フラウたちを見送ろうと空港まで出向いたアムロは、地球連邦軍の監視役の目を盗み、カツと一緒に輸送機で逃走しようと企てます。これにキッカが「なら、一緒に行く」と申し出ますが、アムロに「ダメだ。お義母さんはふたりで守らなくちゃ。赤ちゃんだっている」と諭され、レツとキッカは同行することを諦めました。

 こうしてあとのふたりと別れたカツはその後、パイロットとして活躍するようになります。話は前後しますが、上述のように半幽閉状態で気力を失っていたアムロに対し、「地下にモビルスーツが隠してあるとくらい言ってください!」と、戦いに参加しろと発破をかけるような、年上の男性相手でも物怖じしない少年に成長していたのでした。

 空港を脱出したのちカツは、アムロとともに反ティターンズ組織「カラバ」へ、続いて反地球連邦組織「エゥーゴ」へ参加し、「ヘンケン・ベッケナー」が艦長を務める宇宙戦艦「ラーディッシュ」に配属されます。そこで、エゥーゴのモビルスーツ「ネモ」や「メタス」などへの搭乗を経て、「ガンダムMk-II」の強化パーツ「Gディフェンサー」のパイロットを務めました。

 同作の第49話「生命散って」では、エゥーゴと敵対する組織「ティターンズ」の「ヤザン・ゲーブル」が搭乗するモビルスーツ「ハンブラビ」たちと交戦します。カツは「Gディフェンサー」を、エゥーゴ所属の「エマ・シーン」が乗る「ガンダムMk-II」とドッキングさせた後、戦線離脱せずに脱出用のコックピットで戦闘を継続しました。

「ハンブラビ」の背中に装備されたビーム・ライフルの攻撃を、余裕をもってかわすほどの力量を見せたカツは、しかし戦闘中によそ見をしてしまい、浮遊していた岩石と衝突します。さらにヤザンの攻撃でとどめを刺されると、カツの機体は宇宙空間をさまよい、そのまま艦船の残骸に突入し爆散してしまったのでした。



大学生になったキッカはアムロの足跡を追う。画像は角川コミックス・エース『機動戦士ガンダム ピューリッツァー ―アムロ・レイは極光の彼方へ―』第1巻(KADOKAWA)

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カツの死から7年後 キッカとレツは…

 このように、カツが『Zガンダム』においてその最期まで描かれた一方で、レツとキッカは上述したように空港でカツたちと別れた後、アニメ作品に登場することはありませんでした。しかし2021年に「月刊ガンダムエース」で連載が始まったマンガ『機動戦士ガンダム ピューリッツァー ―アムロ・レイは極光の彼方へ―』(漫画:才谷ウメタロウ/脚本:大脇千尋/原案:矢立肇・富野由悠季)に、ふたり揃って再登場を果たしています。

 同作は宇宙世紀0094年が舞台で、大学生になったキッカを主人公に描く作品です。映画『逆襲のシャア』で描かれた「シャアの反乱」(第二次ネオ・ジオン戦争)の戦いにおいて、戦死扱いされたアムロを英雄と称えることに彼女は違和感を覚えます。そしてキッカは彼の足跡を辿り、アムロを英雄ではなく、ひとりの人間として本にまとめようと決意したのでした。

 同作のReport1「フラウ・コバヤシ」でキッカは、クリスマス休暇を使って地球の「シズオカ」に住んでいるフラウのもとへ帰省します。そこではレツが、フラウとフラウの実娘との3人で、静かな暮らしを送っていました。

 同作は2024年2月時点で単行本が2巻まで発売されており、現時点においては上述のReport1以降、レツの登場はありません。一方のキッカはフラウをはじめ、カイ・シデンやジョブ・ジョンなど、ファンには懐かしい顔ぶれである元ホワイトベース隊クルーなどへの取材を続けています。

 キッカがアムロの戦友や関係者を通じて、どのような本にまとめていくのか気になるところです。同作をまだ読んでいない方は、一度ご覧になってみるのはいかがでしょうか。