2月19日発売の『週刊少年ジャンプ』12号(集英社)から、松井琳による新連載『Dear Anemone』がスタートした。「生物進化ホラーアクション」のキャッチコピーが掲げられている通り、本誌連載では珍しい本格ホラーマンガとなっており、はやくも多くの読者から期待を集めている。

  物語の舞台は、謎の爆発事故によって未知のウイルスが蔓延したガラパゴス諸島。島内の生物は未曾有の進化を遂げ、手がつけられないほどの無法地帯と化しており、主人公・鉢植萼は調査隊の1人としてその脅威を体感することになる。

  第1話「楽園」では、萼を含む調査隊のメンバーがガラパゴス諸島に上陸。しかし上陸早々に見たこともない姿の怪物たちが次々と現れ、絶体絶命の危機を迎えてしまう。生態も弱点も不明で、銃火器すら通用しない相手を前に、萼は生き残ることができるのか──。

  同作は驚異的な存在の出現によって大規模な混乱が巻き起こるという点で、ジャンルとしては「パニックホラー」に分類できるだろう。読者を戦慄させるような演出が多々盛り込まれており、かなり本格的なホラーマンガになりそうだ。

  『週刊少年ジャンプ』のホラーといえば、霊能力教師と妖怪の戦いを描いた『地獄先生ぬ~べ~』などが代表的だが、ある程度コメディ要素が入ったり、オカルト話で終わったりするものが多かった印象。近年では2020年から連載された『仄見える少年』が本格ホラーとして話題を呼んだが、あまり連載期間は長く続かなかった。

  一方で多様なジャンルを許容する「少年ジャンプ+」では、本格ホラー系作品が連載されることも珍しくない。『カラダ探し』や『地獄楽』、『サマータイムレンダ』など、大ヒットしてメディアミックスされる作品も相次いでいる。需要があることは間違いないので、珍しい“ジャンプ本誌発”のホラーマンガとして『Dear Anemone』が人気を博す未来にも期待できるだろう。

圧巻の表現力を操る22歳の新人漫画家

  そんな『Dear Anemone』を手掛ける松井琳は、現在22歳の新人漫画家。わずか18歳の時点で、2019年8月期「JUMP新世界漫画賞」の準入選&超新星賞を獲得した経歴をもつ。ほかの『週刊少年ジャンプ』連載陣と比べてもかなり若いが、その表現力はすでに目を見張るものがある。

 『Dear Anemone』では第1話目から複数のクリーチャーが登場しているが、読者にじわりと生理的嫌悪感を抱かせるような“異形”の造形が上手く描写されていることが印象的だ。また背筋が凍るようなホラーシーンや迫力に満ちたアクション、キャラクターの感情がひしひしと伝わってくるような決めゴマなど、演出力の高さも大きな武器と言えるだろう。

  ちなみに松井は連載前には、『僕のヒーローアカデミア』の作者・堀越耕平のアシスタントを務めていたとのこと。躍動感のある画面作りや、異形のクリーチャーデザインなどにその影響を感じられるかもしれない。

  挑戦的な題材に先の読めないシナリオ、週刊連載とは思えない緻密な作画……。若き新星が『週刊少年ジャンプ』のホラーマンガ史に新たな1ページを刻んでくれることを期待したい。