「最強」の名を冠する2台

伝統を最新技術で復活させた「スカイラインGT-R(R32型)」

 主人公のライバルとして登場する中里毅、その愛車は1990年代当時、国内スポーツカーの最強モデルと目されていた日産「スカイラインGT-R(R32型)」です。

 もともと日産の「スカイラインGT-R」は、国産スポーツカーとして伝説的な存在です。1969年に登場した初代「スカイラインGT-R」は、デビューわずか3年でレース50勝という偉業を達成、「GT-Rは速い! 強い!」というイメージを決定付けました。その後、オイルショックなどでモデルは消滅しますが、バブル期となる1989年に復活します。

 当時の最高馬力となる280馬力の直列6気筒、RB26DETTエンジンを搭載し、パワーを余すことなく路面に伝えるため4WDを採用。最新技術を満載して復活した新世代「スカイラインGT-R(R32型)」は、レースやチューニングカー・ベースとして国内最強モデルの座に君臨しました。R32型の生産は、1989年より1994年までの5年間です。

 中古車の相場価格は450万円から1700万円、中心価格帯は500万円から1000万円。「RX-7」の4倍から5倍の中古車が流通しています。

ラリーで大活躍した「インプレッサWRX(GC8型)」

 主人公の駆る「ハチロク」は、実のところ父親である藤原文太の愛車でした。しかし物語が進む中で、「ハチロク」は藤原拓海のものに。その代わりに文太が手に入れたのが、スバルの「インプレッサWRX(GC8型)」でした。

「インプレッサWRX(GC8型)」は、1992年に誕生したコンパクトセダンです。当時、スバルは「世界ラリー選手権(WRC)」に、それよりも大きな「レガシィ」で参戦していました。しかし、よりコンパクトで軽量な「インプレッサWRX(GC8型)」が登場すると、さっそくマシンをチェンジ。その後、スバルはWRCにおいて、この「インプレッサWRX(GC8型)」を駆り大活躍しました。1995年には念願の世界チャンピオンに輝いています。

 そのようなWRCで活躍した「インプレッサWRX(GC8型)」は、見た目こそ地味なセダンですが、中身は高性能そのもの。最高出力240馬力を発揮する2リッター水平対向4気筒ターボ・エンジンにスバル得意のAWD(四輪駆動)を組み合わせ、ラリーで活躍したとおり、峠などでは無類の速さを見せました。その生産は2000年まで続きます。

 ただし、文太の愛車は、「インプレッサWRX(GC8型)」の中でも特別なモデル「インプレッサWRX STIバージョンV クーペ」です。STIバージョンは、最高出力が280馬力に高められるなど、同モデルの中でも別格なまでに走りに振ったモデル。バージョンVは1998年モデルを意味します。

 中古車は150万円から650万円。中心価格帯は200万円から600万円。流通量は、ここまで挙げてきたモデルの中では、最も少ないようです。

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 今回、紹介したのは、どれも20年以上も前のモデルばかり。通常、中古車は古くなるほど安くなりますが、人気モデルは逆に値段が上がる傾向にあり、特に2000年代よりも前のスポーツカーは、ネオクラシックカーとして人気が高くなっています。これは、2023年末現在、手ごろな価格のスポーツカーや、それに準ずる安価なスポーティカーが激減しているのも理由のひとつでしょう。希少であり、人気が高く、そして程度の良い中古車が高くなるのは、ある程度、仕方がないことかもしれません。