「S.H.フィギュアーツ(真骨彫製法) 仮面ライダー 仮面ライダー新2号 約145mm ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア」(BANDAI SPIRITS)

【画像】ファン感激!藤岡弘、が「仮面ライダー1号」として変身ポーズをキメている姿

「へーん、しん!」→「変身!」 その源流は?

 昭和、平成、そして令和と続く「仮面ライダー」シリーズの代名詞といえば、なんといっても「変身」です。ところが、昭和に比べると平成以降、変身が短くなっている、などという話をたまに耳にします。

 ここでいう「変身」とは変身するときの掛け声、そしてポーズを含めた所作のことであり、とりわけ昭和「仮面ライダー」シリーズにおいて、誰もが真似しやすくキャッチーな変身ポーズは、シリーズの人気を支える大きな要素となりました。果たして本当に昔に比べ今のライダーの方が、短くなっているのでしょうか。

 この「へーん、しん!」の掛け声と所作が導入されたのは『仮面ライダー』での仮面ライダー2号以降でした。仮面ライダー1号(本郷猛)は当初、バイクで風を受けて「変身」しておりましたが、本郷猛を演じる藤岡弘、さん(当時は藤岡弘)が撮影時の事故で負傷します。そして、急きょ仮面ライダー2号が投入され、その際に「変身ポーズ」のアイディアもまた導入されたのでした。

 この「変身ポーズ」ですが、なるほどシリーズを追うごとに(回によって異なるものの)長く、そして華やかになっていく傾向にあります。シリーズ2作目『仮面ライダーV3』でも自然と受け継がれ、『仮面ライダーX』では「Set up」、『仮面ライダーアマゾン』では「アー、マー、ゾーン!」と掛け声こそ違いますが、歌舞伎の見得のような所作は健在でした。

 その後も変身の掛け声には、「ため」が不可分になります。

 一方、平成以降の「仮面ライダー」はどうでしょうか。『仮面ライダークウガ』も変身ポーズは健在です。ただし、掛け声自体にためはほとんどありません。続く『仮面ライダーアギト』も、ポーズはありつつ「変身!」は早口です。

『仮面ライダー龍騎』も、ライダーが多数登場しますが、基本はためのない掛け声での変身が続きます。ただし、変身アイテムの増加やフォームチェンジなど複数要素が加わっているため、変身シーン自体はむしろ昭和シリーズより平均して長くなっていると考えて間違いないでしょう。つまり『クウガ』以降の「仮面ライダー」は、掛け声の「ため」だけがなくなっているのでした。

 そしてこの平成以降特有の短い「変身!の掛け声の源流を作った人こそ、『クウガ』で主人公・五代雄介を演じた俳優・オダギリジョーさんに他なりません。2015年10月に調布FMで放送された「高寺成紀の怪獣ラジオ」に出演した際、オダギリさんは『クウガ』出演時のエピソードを語っています。

 もともと「リアリティ」志向の強かったオダギリさんは『クウガ』出演にあたり、どうしても譲れなかったものこそ、まさにための部分でした。本来、従来通り「へーん、しん!」と指示されていたのですが、感情の流れを優先し「変身!」と早口にします。それがOKとなって以降、私たちの「仮面ライダー」は「へーん、しん!」でなく「変身!」が主流になったのでした。

 もし当時、オダギリさんが変身ポーズまでも拒否していたら? あるいは逆に従来通りの「へーん、しん!」を受け入れていたら? 俳優・オダギリジョーを起点に、「仮面ライダー」の歴史は見事に分岐しているのでした。