「ラッキースケベ」は「ガンダム」発祥ってホント? 画像は『機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション 砕かれた世界』DVD(バンダイビジュアル)
【画像】確かに「ラッキースケベ」って言いたくなる? シン・アスカとハプニングがあった、可愛すぎる『ガンダムSEED DESTINY』の「ステラ・ルーシェ」を見る(3枚)
言葉の裏に隠された知られざる歴史
人には言えない過去、なかったことにしたい過去を意味する「黒歴史」は、1999年に放送されたアニメ『∀(ターンエー)ガンダム』が発祥です。この事実が2022年11月放送の『マツコの知らない世界』で明かされた際には、ネット上でちょっとした話題になりました。そして「黒歴史」に限らず、日常的に使われている言葉のなかには、アニメ・マンガ由来のものが数多く存在するのです。
「ガンダム」シリーズつながりでいえば、「ラッキースケベ」は2004年に放送されたアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』が最初と言われています。これはエッチなシチュエーションに遭遇することを表す言葉で、アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では第1話で「ラッキースケベ」な場面が描かれていました。
主人公のシン・アスカがヒロインのステラ・ルーシェとぶつかった拍子に、思わず彼女の胸をつかんでしまうのです。その際に、同期のヨウラン・ケントに「胸つかんだな、お前。このラッキースケベ」とからかわれたことから、「ラッキースケベ」という単語が広まったといいます。ちなみにヨウラン・ケントを演じていたのは、『銀魂』の坂田銀時などで知られている声優・杉田智和さんです。
年下の少年に恋愛感情などを抱くことを表す「ショタコン」も、実はアニメ・マンガ由来の言葉でした。ショタコンは「正太郎コンプレックス」の略称で、「正太郎」は人気マンガ『鉄人28号』の主人公・金田正太郎から来ているといわれています。
ただ由来は確かに正太郎ですが、言葉のはじまりはマンガではなく、1981年に発売された雑誌「ふぁんろ~ど」(現在は「ファンロード」)のようです。雑誌の編集長が読者からの質問に答えるQ&Aコーナーに、「太陽の使者鉄人28号の正太郎君にドキドキするという症状をなんと呼べばいいか」という質問が届き、「正太郎コンプレックス」と回答したことから「ショタコン」が生まれたのでした。
恋愛マンガなどでは、魅力的なキャラクターに強烈にときめく感情を、「胸キュン」と表現することがあります。そして「胸キュン」よりもさらに強い「ときめきすぎて死にそう」な感情に対しては、「キュン死」が用いられることもありました。この「キュン死」の語源となったのが、中原アヤ先生の人気少女マンガ『ラブ★コン』です。
もともとは物語の主人公・小泉リサがたびたび使っていた言葉で、はじめは読者のあいだで浸透していました。しかし2006年に藤澤恵麻さん、小池徹平さん主演で実写映画化を果たし、これをきっかけに「キュン死」が広く知れ渡るようになります。
また「斜め上」という言葉も、じつはマンガ由来の言葉でした。その起源とされているのが、冨樫義博先生の隠れた名作『レベルE』です。バカ王子のボディガードであるクラフトの「あいつの場合に限って 常に最悪のケースを想定しろ」「奴は必ずその少し斜め上を行く!!」というセリフがきっかけで、世間一般に広まっていきました。
ただ「斜め上」の語源については諸説いろいろあるようで、『レベルE』が連載される1年前には、お笑いコンビ「ダウンタウン」松本人志さんの書籍『遺書』で、すでに「斜め上」という単語が使われていました。とはいえ松本さんの場合は、「一般のレベルよりやや上」の意味で「斜め上」が使われており、「予想の斜め上」を意味する『レベルE』の「斜め上」とは意味が異なります。
一方ネット上では、魔夜峰央先生の代表作『パタリロ』が発祥という説もささやかれていますが、具体的な出典情報が見つからず、いまいち決定打に欠けるようです。そのため『三省堂国語辞典』には、『レベルE』を語源として「斜め上」が掲載されています。
アニメ・マンガ由来の言葉とはいえど、今や一般的な言葉として定着したものばかりです。もしかしたら普段何気なく使っている言葉のなかにも、意外な「語源」が隠されているかもしれません。