圧巻の伏線回収! 画像は『ONE PIECE エピソード オブ空島』通常版DVD(?エイベックス・ピクチャーズ)
【画像】こんなところにも!? 扉絵に隠された伏線の数々(5枚)
「黄金郷は空にあったんだ!!!」
『ONE PIECE(ワンピース)』といえば、ロマンあふれる壮大なミステリーと美しい「伏線回収」が魅力のひとつではないでしょうか。これまでの長い連載期間で、読者は数多くの感動と驚きを目の当たりにしてきました。
連載開始から約25年目にして、ようやく本編が最終章に突入したということもあり、改めて過去の秀逸なエピソードや伏線回収を懐かしむファンも少なくありません。なかでも特に高い評価を得ていたエピソードが、ルフィたちの「空の冒険」にまつわる物語です。
空に浮かぶ島「スカイピア」を舞台にした「空島編」は、序盤にちりばめられた数々の謎がキレイに解き明かされていきました。「これぞ冒険アクションファンタジー!」と、胸を高鳴らせた人も多かったのではないでしょうか。
「空島編」のエピソードは第218話「“記録指針(ログポース)”が丸い理由」から始まります。思い返せば、このサブタイトルもひとつの伏線でした。
「なぜ、ログポースは一般的なコンパスのような形ではなく球体なのか」
空島の存在が明らかになることで、ログポースが示すのは何も地上にある島だけではないと気付かされるのです。
やがてルフィたち麦わらの一味は、モンブラン・クリケットが暮らす島「ジャヤ」にたどり着きます。絶壁に建てられた半分だけの奇妙な家に住むクリケットは、先祖であるモンブラン・ノーランドが遺した「髑髏(どくろ)の右目に黄金を見た」という言葉を信じ続け、「“黄金郷”も“空島”も!!! 過去誰一人“無い”と証明できた奴ァいねえ!!!」と、自らの夢を語りました。
半分しかない奇妙な家、髑髏の右目、消えた黄金郷……。それらすべての謎が示すひとつの「真実」に、当時、多くの人が衝撃を受けたのです。
ファンも「空島編」を史上屈指の名エピソードと評する人が多く、「ロマンしかない導入から完璧なオチ……。空島編はマジで完成度高い」「全部読んだ後のすべてが腑に落ちる感じが好き」「空島は冒険活劇の理想型」といった声が寄せられていました。
余談ですが、近ごろは「月」が物語の重要なカギを握るとファンの間でウワサになっています。だとすれば月を目指したエネル、月で栄えていた文明など、空島にまつわる物語にはまだまだ大きな謎が隠されていそうですね。
25巻の表紙は「未来の四皇」を暗示していた? 画像はかつての四皇が表紙を飾った『ONE PIECE ワンピース 20THシーズン ワノ国編 piece.16』DVD(エイベックス・ピクチャーズ)
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およそ「20年越し」の伏線回収も?
エピソードのなかに織り込まれた伏線も秀逸ですが、『ONE PIECE』ではコミックスの表紙にも見事な仕掛けが隠されています。25巻のルフィ、シャンクス、バギー、黒ひげ(ティーチ)の4人が描かれた表紙は、ここ最近「およそ20年越しの伏線回収」として大きな話題になりました。
当時は、ルフィやバギーは「少し名の知れた海賊団の船長」程度の立ち位置でした。しかもルフィを除くメンバーは本編に登場こそしますが、25巻の主軸である「空島編」には関わってきません。通常、単行本の表紙はその巻で活躍するキャラクターが描かれる傾向にあるため、当時から「なぜこの4人が表紙に……?」と疑問に思った人もいたようです。
しかし、それからおよそ20年後に発売されたコミックス105巻にて、ルフィ、シャンクス、バギー、黒ひげが「新たな四皇」として名を連ねました。おまけに105巻の表紙にも、25巻のときと同じ配置、同じポージングで4人の姿が描かれているのです。
もしかしたら25巻の表紙は本編の内容に合わせたものではなく、未来の四皇を暗に示していたのかもしれません。
またどこまでが伏線で、どこからが深読みなのか定かではありませんが、ファンの間では「表紙の中央で紙を食べているヤギは、今後彼らが神(天竜人)に食らいつくことを暗示している」「シャンクスの裏で親指を立てている親方(=ボス)は、シャンクスがラスボスであることを指しているのではないか」などの憶測も広がっています。
ひと口に伏線といっても、その描き方は実にさまざまです。こうして見ていくと、『ONE PIECE』には遊び心に満ちたギミックが無数に仕込まれていることが分かります。現在、見過ごされている要素のなかにも、実は驚きの伏線が隠されているのかもしれません。