梶原岳人&島崎信長の目指す声優像――“師匠”となった先輩声優とは?映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』インタビュー

マンガ『ブラッククローバー』の初映画化作品『ブラッククローバー 魔法帝の剣』が、2023年6月16日より全国の劇場にて公開、Netflixにて世界独占配信されます。

『ブラッククローバー』(以下:ブラクロ)は、田畠裕基さんが「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)にて連載中の王道少年魔法ファンタジー。魔法が全ての世界で、生まれながらに魔法が使えない少年アスタが、逆境を超え己の力を証明し友との誓いを果たすため、魔道士の頂点「魔法帝」を目指す姿が描かれています。

テレビアニメは2017年10月から2021年3月にかけて、全170話が放送。映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』では、総監修とキャラクター原案を原作者の田畠さんが手掛け、原作・アニメでは明かされなかった魔法帝の物語が展開します。

この度、主人公・アスタ役の梶原岳人さん、その幼馴染でライバル、ユノ役の島崎信長さん(※崎はたつさきが正式表記)にインタビュー。映画化の喜びや脚本を読んだ印象、また「魔法帝」を目指すアスタとユノに絡め、2人が目指す声優としての姿も聞きました。

[取材・文:米田果織 撮影:吉野庫之介]

『ブラクロ』ついに映画化!梶原岳人、島崎信長が喜びを語る

――映画化発表時、ファンから大きな反響が。お2人はどのようなお気持ちに?

梶原:自分の出演作品が映画化されたのはこれが初めてで、「映画化される」と聞いた時は本当に嬉しかったです。実は、映画館の大画面と良い音響で自分の作品を見ることを1つの目標としていました。それが、『ブラクロ』という初主演作で叶い…気持ちが湧きましたね!

島崎:僕も、素直に「嬉しい」という気持ちです。3年半も続いたテレビアニメシリーズが区切りを迎えた時、とても寂しく思っていたので。また『ブラクロ』に声優として関われるのが、とても嬉しいです。ただ、初報の段階では「映画化します」とだけ伝えられていたので、「もしかしてユノが出ない場合もあったりして?」とちょっと不安にもなったりして(笑)。活躍できて良かったです!

――映画では、原作にはないオリジナルストーリーが展開。台本を読んで抱いた印象を聞かせてください。

梶原:原作、テレビアニメシリーズの『ブラクロ』らしさを踏襲しつつ、劇場作品ということでバトルシーンが壮大となり、扱っているテーマも大きなものになり、演じるのが楽しみになりました。アスタがこれまで目指してきた「魔法帝」と戦わなければならなくなり、自分の目指しているものを倒さなきゃいけない存在になってしまった葛藤や、お互いの正義のぶつかり合いなど、映画で描くにふさわしい物語になっていると感じました。

島崎:ストーリーも演出も、そして声優陣もとても豪華ですよね。アスタやユノが目指してきた魔法帝が4人も出てくるんだから! 相手が強いほど挑戦者も輝くし、挑戦者側が必死になるほど、より魔法帝のメンバーの強さも引き立つ。演じる僕たちも、そんな相乗効果のある、お互い高めあえるような演技ができたらと台本を読んで思いました。

――「魔法帝」を目指すアスタとユノに絡めて、お2人が今後、声優として目指す姿を教えてください。

島崎:僕の声の表現・芝居をしっかり求めてもらえる役者でありたいのですが、そこじゃない部分でも作品にとってより良いものを提供できる人でありたいと思います。極端な話なのですが、芝居が上手くても、周りの人に危害を加える人が現場にいたら最悪じゃないですか。マイク前で良い表現をしながらも、作品にとっても良い影響を与えられる役者でありたいです。

梶原:それは僕も思います。「この人がいるから芝居がしやすい」と思ってもらえる人になりたい。芝居ももちろんですが、そういう部分で作品の歯車を担っていけたら良いですよね。

――『ブラクロ』の現場にそんな方はいらっしゃいましたか?

梶原:『ブラクロ』の現場はすごかった! ほとんどの人がそうだったように思います。

島崎:ね! そんな方たちばかりでした。「こういう人が作品を担う」というお手本となってくれる先輩がたくさんいたので、僕たちの目標にもなりました。

梶原:始まった当初、初主演作でプレッシャーも大きく、ミスもたくさん重ねたのですが「やりにくい」と思ったことは一度もないです。そんな空気感を先輩方が作ってくださいました。

――特にお世話になった先輩は?

梶原:それこそ、信長さんです。テレビアニメが始まった時からずっと一緒に収録してきて、終わった後にはご飯にも連れて行ってくれて。当時、僕は仕事について本当に悩んでいたのですが、信長さんのアドバイスで気持ちが楽になりました。

また、僕の技術面を支えてくださったのは、福山潤さん(フィンラル・ルーラケイス役)。僕はよく居残り収録をしていたのですが、福山さんはずっと後ろについて、基本的な部分から感情表現の部分まで、本当にたくさんのこと教えてくれました。僕の一番の「師匠」です。

島崎:諏訪部さん(ヤミ・スケヒロ役/諏訪部順一さん)はどう? 事務所の後輩として、すごく気にかけていらしたように見えたけど。

梶原:諏訪部さんは、背中で語るタイプの先輩。言葉にせずとも、演技で教えてくださいましたね。

――信長さんにはこれまでの現場で、そんな先輩はいましたか?

島崎:僕にとっては、関わってきた先輩皆さんがそういう存在です。言葉をくれる福山さん、背中で語る諏訪部さんのように、後輩の見守り方が先輩それぞれにあって。直接アドバイスをくれる方、演技で示してくれる方、また僕自身でも先輩の演技を勝手に研究・分析もしてきましたし、関わってきた先輩みなさんが僕の「師匠」ですね。

――最後に、映画を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

島崎:この映画を観た後に「何かにチャレンジしてみよう」「一歩踏み出してみよう」と思える、ポジティブなエネルギーを届けてくれる作品に仕上がりました。映画で『ブラクロ』に興味を持った方は、これまでのテレビアニメシリーズや原作、またゲームもリリースされていますので、“ブラクロワールド”に触れてもっと元気になってほしいです。

梶原:僕は『ブラクロ』に関わり始めた頃から「アスタのような生き方をしたい」と思ってきました。自分とは違う性質を持ったキャラクターだからこそ学ぶところがたくさんあって、諦めない心、強くなりたい・上手くなりたいという気持ちも彼からもらいました。映画はよりその要素が強くなっているので、目指すべき場所がある方、気持ちが折れそうになっている方は是非映画を観て、アスタからその気持ちをもらってください。

<作品概要>
■映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』
2023年6月16日(金) 日本全国ロードショー、Netflix全世界配信

原作・総監修・キャラクター原案:田畠裕基(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:種村綾隆
キャラクターデザイン:竹田逸子
サブキャラクターデザイン:徳永久美子 プロップデザイン:高橋恒星
美術監督:前田有紀 色彩設計:篠原愛子
撮影監督:國井智行 編集:奥田浩史 音響監督:高桑 一
音楽:関 美奈子
脚本:ジョニー音田 折井 愛
制作:studioぴえろ(「BLEACH 千年血戦篇」「NARUTO -ナルト-」「幽☆遊☆白書」)
製作:映画ブラッククローバー製作委員会
配給:松竹ODS事業室

主題歌:TREASURE「Here I Stand」

アスタ:梶原岳人
ユノ:島崎信長
ヤミ:諏訪部順一
ノエル:優木かな
ユリウス:森川智之
コンラート:関 俊彦
エドワード:大塚芳忠
プリンシア:沢城みゆき
ジェスター:高橋文哉
ミリー:飯豊まりえ

(C)2023「映画ブラッククローバー」製作委員会 (C)田畠裕基/集英社