ビビの活躍が観られる「ONE PIECE LOG COLLECTION "VIVI"」DVD(エイベックス・ピクチャーズ)

【画像】メイクも染髪もなしでも似てる? ビビ役の本田真凜

不動の人気を誇るネフェルタリ・ビビ、初めは「モブキャラのまま終了予定」だった!

※この記事では『ONE PIECE』単行本未収録の内容を含みます。

 アラバスタ王国の王女ネフェルタリ・ビビは『ONE PIECE』のファンの間で、根強い人気を誇るキャラクターのひとりです。

 2023年5月22日発売の「週刊少年ジャンプ」に掲載された第1084話では、ネフェルタリ家についてのある重大な秘密が明らかとなり、世界会議後は「世界経済新聞社」の社長・モルガンズに保護されているビビは、今後のストーリーにも大きく関わってきそうです。また、2023年8月11日から上演予定のアイスショー『ワンピース・オン・アイス』では、フィギュアスケーターの本田真凜さんがビビ役を演じるなど、今ビビが特に注目されています。

 そんなビビには、当初「王女」としての驚くべき「誕生秘話」がありました。2017年6月23日に発売された書籍『ONE PIECE総集編 THE 21st LOG』には、尾田栄一郎先生の描き下ろしのコーナー「連載ってワンダーランド」が収録されています。尾田先生はそのなかで、「予想以上に活躍したキャラクター」というお題に対し、「ビビ」の名前を挙げたのでした。

 ビビは麦わらの一味が「グランドライン」に入ったばかりの「双子岬」での初登場時、犯罪組織「バロックワークス」の一員のミス・ウェンズデーとして現われています。アイランドクジラのラブーンを食料にしようと、Mr.9と一緒に暴れたミス・ウェンズデーでしたが、割とあっさりと倒されました。そして、尾田先生は彼女に関して、「それ(敵キャラとしての設定)以上の事は考えていませんでした」と語っています。つまりビビは、当初は「あまり強くない敵キャラ」で終わる予定だったのです。

 しかし、ある時髪を下ろしたミス・ウェンズデーの姿を描いた時に「王女っぽい」と思ったという尾田先生は、すでに少し先の展開として「アラバスタ編」の構想を始めており、「もしもこのコがアラバスタの王女だとしたらどうなるのかな?」と、王女としてのビビを誕生させました。

 この事実に、ファンからは「もっと練りに練られて作られたと思ってた」「遊びって大事だな」「敵とはいえ、ちゃんと美人に描いてくれててよかった」「短期間しか登場しない予定のキャラでも、しっかりとデザインしているからこそできる路線変更」など、驚きと賞賛の声が出ています。

 ビビが麦わらの一味と旅をしたのは、ルフィたちがグランドラインに突入した直後です。冒険のなかでルフィたちと絆を深めていったビビでしたが、「アラバスタ編」終了後に船を降り、王女として国に残ることを選びます。ビビとの別れの際、ルフィたちが左腕に描いた「仲間の印」を無言で掲げるシーンは、『ONE PIECE』のなかでも指折りの名場面と言えるでしょう。

 このように『ONE PIECE』においてかなり重要なキャラであるビビが、最初はただの敵で終わる予定だったというのが驚きです。尾田先生の柔軟で大胆な路線変更が、長年にわたり愛されるキャラクターを誕生させたのかもしれません。