戦士としては申し分ない強さを誇る孫悟空だけど……。 画像はCD「スーパードラゴンボールヒーローズ プロモーションアニメ オリジナル・サウンドトラック」のジャケット (C)バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション (C)BANDAI

【画像】奥さん美人すぎ? 『ドラゴンボール』に登場するお父さんたち(5枚)

戦友からも「父親失格」認定済み?

 マンガ『ドラゴンボール』の主人公・孫悟空は、熱い名勝負をいくつも繰り広げてきましたが、戦いに明け暮れるあまり、家庭をないがしろにしがち。とりわけ父親としての振る舞いを責められたことは、一度や二度ではありません。

 悟空は若くしてチチと結婚、20歳の頃に息子の悟飯が誕生しました。結婚してから数年間は大きな争いごともなかったものの、悟空はその間も子育てをチチに任せっきりで、ひたすら修行に明け暮れる毎日でした。

 おまけに悟空は無職です。悟飯が生まれてからも一度たりとも働こうとはしなかったようで、「人造人間編」序盤ではチチに「結婚してから一銭だってかせいだことあったか!?」と責め立てられていました。

 なお、まったく働いていないというのは原作での描写です。アニメ版では、食料や燃料を調達するなど、お金は稼がずとも生活を支えていた様子が補完されています。

 当時はベジータも定職に就いておらず、ブルマから「サイヤ人って働かないのかしら」と皮肉を言われていました。ところがそのベジータにすらも、悟空は「父親失格」の烙印を押されています。

 それは、『ドラゴンボール超』の「宇宙サバイバル編」でブルマがブラを身ごもり、臨月を迎えた時の出来事でした。修行に誘ってくる悟空に対して、ベジータが出産間近な妻のそばにいたいと断ったところ、悟空から「おめえが産むわけじゃねえんだから別にいいじゃん」と爆弾発言が飛び出したのです。

 どうやら悟空は、悟飯や悟天が産まれた時も、チチを放ったらかしにしていたようで、出産を軽視する彼の態度は、ベジータすら「父親としては最低」と呆れていました。

 また子供との向き合い方については、ピッコロから説教を食らったことがあります。「セル編」で悟空は、悟飯を怒らせることで真の力を引き出そうと画策。そうとは知らない悟飯を、圧倒的な実力差のあるセルにひとりで立ち向かわせようとしました。

 とはいえ、もともと悟飯は戦いを好まない性格。それをよく知るピッコロは、身勝手な悟空の作戦に激怒します。悟飯にちゃんと作戦を伝えたのか、助けてくれない父親に今何を思っているのか、悲痛な悟飯のSOSをピッコロが代弁したのです。当然、悟空は何も言い返せませんでした。

 こうした悟空の父親失格エピソードは、作者の鳥山明先生も認めている事実です。『テレビアニメ完全ガイド Dragonball Z 孫悟空伝説』に掲載されたインタビューでも、悟空について「父親としては完全に失格」と語っていました。



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悟空が見せた父としての背中

それでも悟飯への愛情は確かに存在した!

 父親として至らない点が目立つ悟空ですが、まったく息子に関心がないわけではありません。不器用ながらも、親としての愛情を注いでいるシーンがいくつも見受けられます。

 とくに戦場においては、父親の背中を幾度となく見せており、ギニュー特戦隊との戦いでは瀕死の悟飯を救出する一幕も。悟飯に修行をつけたことは何度もありますし、「セル戦」でピッコロの説教を受けた後は、自らを犠牲にして悟飯を守っていました。

 そして何より愛を感じるのが、初めて息子を授かった際、育ての親だった恩人・悟飯の名前をつけたこと。子供への愛がなければ、わざわざ大切な人の名前をつけたりはしないでしょう。

 戦士としては最強でも、家庭では不器用なお父さん。そんなギャップこそ、悟空が長く愛されてきた秘訣なのかもしれませんね。