「幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX 霊界探偵編」(バンダイビジュアル)

【画像】「路線変更」で大ヒットしたジャンプマンガ主人公を見る(4枚)

少年マンガはやっぱり王道バトルが強かった?

 連載マンガにとって、読者からの人気は生命線といっても過言ではないでしょう。人気がなければ連載を続けることは難しく、時には打ち切りとなってしまうことも少なくありません。

 そこで本記事では、連載初期の設定から大きく路線変更することで人気を獲得し、結果的には長期連載にも繋がったジャンプ作品をご紹介します。記憶にあるファンなら懐かしい内容ですが、初めて知る方には少し驚きの内容かもしれません。

 最初にご紹介するのは『幽☆遊☆白書』です。1990年から約4年間にわたり連載された同作は、主人公の浦飯幽助(うらめしゆうすけ)が激しい戦闘を繰り広げるバトルマンガというイメージの強い作品です。

 しかし連載初期にはバトル要素はなく、幽助は冒頭から不慮の事故で死んでしまいます。霊体となった幽助には、現世に生き返るための試練が与えられ、色々な背景を持った人たちに勇気を与えてまわるのでした。ギャグ要素も多かったため、笑って泣けるような心温まる作品だったのです。

 続いては『家庭教師ヒットマンREBORN!』です。同作は2004年から約8年間という長期連載を果たしており、イケメンキャラが繰り広げる激しいバトルが見どころの人気作品でした。中盤では未来へ飛ぶなどの、SF要素まで含まれています。

 しかしこのマンガも連載当初はギャグマンガという路線でスタートしました。殺し屋を名乗る赤ん坊のリボーンが、運動も勉強もできない沢田綱吉(以下、ツナ)の家庭教師として訪れるところから始まります。

 リボーンの持つ秘弾「死ぬ気弾」を撃ち込まれたツナはあっさり死んでしまいます。しかし死ぬ直前にした後悔を死ぬ気で晴らすために、リミッターを外した状態で復活するのです。それが例えば恋心を抱いていた女の子に対し、死ぬ気で告白をする程度のことで、そこにバトル要素はありませんでした。

 最後は衝撃の軌道修正を遂げたマンガ『遊☆戯☆王』のご紹介です。カードバトルマンガの代名詞といっても過言ではない同作ですが、連載当初にはトレーディングカードなど一切登場しませんでした。

 普段大人しく控えめな主人公の武藤遊戯(むとうゆうぎ)は、エジプトの遺跡から発見された謎多きアイテム「千年パズル」を持ち歩いており、そのアイテムの力が発動すると、遊戯の人格は真逆に豹変します。

 強気の遊戯が悪い奴らにギャンブルゲームを持ちかけ、次々に懲らしめていくという内容です。ピンチに追い込まれた悪者が、負けを恐れてルールを破るのがお決まりの展開となっており、それに気づいた遊戯から「罰ゲーム!」と叫ばれるのは、当時の決めゼリフでした。

 もはや社会現象を巻き起こしたカードバトルマンガの原型は、スリリングなギャンブルマンガだったのです。作品の命運を分けたことは言うまでもなく、作品後の現実世界をも大きく変える路線変更となったのでした。