メガフレアで敵を一掃せよ! 画像は「ファイナルファンタジー クリーチャーズ ブリングアーツ バハムート PVC製 塗装済み可動フィギュア」(スクウェア・エニックス)

【画像】カッコいい! 元ネタが「意外」な召喚獣を見る(4枚)

神話や伝承を下敷きにしたファンタジー

『ドラゴンクエスト』と並んで日本を代表するRPG『ファイナルファンタジー』。世界各地の神話や伝説を取り入れているのが特徴で、アイテムやモンスターの元ネタ探しはファンにとって楽しみのひとつです。この記事では人気「召喚獣」の意外な起源を紹介します。

大きな魚だったバハムート!

 バハムート(Bahmut)とは、アラビア語に起源を持つ単語で、世界を支える巨大な魚(世界魚)のことです。

 古代イスラムの宇宙観において、この世界は天使が支えているとされます。その天使は「緑のヒヤシンス石」の岩盤に立ち、世界牛クーユータが岩盤を背負っています。世界牛クーユータはどこに立っているかというと、それが世界魚バハムートです。バハムートこそ世界の基礎だといえるでしょう。

 またバハムートは聖書のヨブ記に登場する巨大な陸の獣、ベヒモスに由来するとされています。『ファイナルファンタジー』シリーズでは二足歩行の巨大な牛に似たベヒーモスというモンスターが別に存在しますが、起源をたどるとバハムートとベヒーモスは聖書に由来する同一の存在だと言えます。

 ただしバハムートがドラゴン化したのは『ファイナルファンタジー』だけではありません。テーブルトークRPGの草分け『ダンジョンズ&ドラゴンズ』においてもバハムートはドラゴンとして登場しています。同作は『ファイナルファンタジー』シリーズ以前の作品であるため、時系列から考えると、『ファイナルファンタジー』が『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の影響を受けた可能性はありえるでしょう。

ヒンドゥー教の主神が女体化した?

 召喚獣シヴァといえば、ダイヤモンドダストで冷気のダメージを与える氷の女王です。シリーズ初期から登場しているため、バハムートと並ぶ知名度を誇ります。

 そんなシヴァですが、起源については所説あります。そのひとつはヒンドゥー教の主神の一柱、シヴァ神に由来するという説です。シヴァ神は男性神で宇宙の破壊と再生をつかさどるとされています。その姿は額に第三の眼をもち、首に蛇を巻き付け、三叉の槍を携えているという恐ろしげなもの。優美な氷の女神とは似ても似つかない姿です。

 もうひとつの候補は旧約聖書に登場するシバの女王です。彼女は古代イスラエルのソロモン王の知恵を試そうとエルサレムにやってきた人物です。ふたりはお互いを認め合い、贈り物を交わし合いました。シバの女王も氷とは無縁ですが、優美な女性という点が共通しているため、シヴァ神よりも起源に近いかもしれません。



ビッグリッジでの戦いは五条大橋の決闘か!? 画像は「FINAL FANTASY MASTER CREATURES Vol.3 ギルガメッシュ(塗装済完成品フィギュア)」(スクウェア・エニックス)

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世界最古の神話が元ネタ!

 ギルガメッシュといえば『ファイナルファンタジー5』で登場したライバルキャラです。その後の作品では召喚獣(幻獣)としてしばしば登場しており、人気の高さが伺えます。

 そんなギルガメッシュの元ネタは世界最古といわれるシュメールの神話「ギルガメシュ叙事詩」に登場するギルガメシュ王です。彼はエンキドゥという相棒と共に森の怪物「フンババ」や「天の牡牛」を討伐するなど、幾多の偉業を成し遂げました。その英雄性にコミカルな一面を付け加えて、武人キャラとしてオマージュされていると思われます。

終末に食べよう!リヴァイアサン

 バハムートと並んで強力な力を持つリヴァイアサン。「大海嘯(だいかいしょう)」で敵全体に大ダメージを与える召喚獣です。リヴァイアサンの出典は旧約聖書にあり、陸のベヒーモスに対し海中の巨大な獣として描かれています。

 その姿については具体的な記述があり、口から炎、鼻から煙を噴出し、体は固い鱗でおおわれているとのこと。ワニと翻訳されることもありますが、『ファイナルファンタジー』シリーズではイザヤ書の記述にある蛇や海中の竜という表現を採用しているようです。

 なおユダヤの口語伝承を収めたタルムードによれば、世界の終末にリヴァイアサンとベヒモスは殺し合いをさせられるとのこと。その肉は生き残った清い人々の祝宴に供され、皮は祝宴を守るテントになるのです。

神話、伝説はオタクの大好物

『ファイナルファンタジー』シリーズに限らず、多くの創作物には物語の原型とも言うべき構造があり、神話から名称や逸話を引用しているケースが多々あります。「これは!?」と感じたら元ネタ探しをしてみるのも楽しみ方のひとつではないでしょうか。

 こうして雑学知識が増えると、いつしか人はオタクと呼ばれるようになってしまうのです。