赤澤遼太郎×高橋健介「どこがアドリブなのか全然わからないかも…」 空腹で見るか、満腹で見るか? 『アキはハルとごはんを食べたい』

ほっこり系ご飯もの×ゼロ距離男子のルームシェアBL漫画『アキはハルとごはんを食べたい』。作中のおいしそうなご飯描写と、仲睦まじい男子大学生の日常に癒やされるたじまことによる漫画が、赤澤遼太郎&高橋健介のW主演で実写映画化される。

2.5ジゲン!!では、料理担当のアキを演じる赤澤遼太郎、片付け担当のハルを演じる高橋健介にインタビューを実施。

6月2日(金)に公開となる本作の見どころや撮影時のエピソードのほか、2人のご飯にまつわる“おいしいエピソード”を聞いた。

――日々の小さな幸せに気づかせてくれる、おいしくて温かな作品でした。お2人にとって本作はどんな作品になりましたか。

高橋健介(ハル役):僕あんまり「自分のお芝居を見て! 見て!」っていうタイプじゃなくて。バラエティは見て見てっていうタイプなんですけど(笑)。お芝居に関しては作品の好みも人それぞれあると思うし、こういったBL作品も初めてだったし。

映画ですけどほとんど2人芝居だったので、わからないっていうのが正直なところです。それくらい自分にとっては新しい世界観すぎて、なんて言っていいのかわからないですよね。

なので、地元の友だちとか、自分たちを肯定的に見てくださるファンの方以外にフラットな気持ちで観てもらって、そのときにどんな感想を抱くのか聞いてみたい作品だなと思いました。

赤澤遼太郎(アキ役):僕は逆に、1人でも多くの人に見て見て! って言いたい作品ですね。僕は単純なので、出番がこれだけ多い映画作品が初めてで率直にそれがうれしいです。ずっと僕らが出てるじゃないですか。

高橋:たしかにずっと出ているね。

赤澤:だから、それこそ芸能とか詳しくない友達にもがっつり勧められるというか。やっぱり出番が少ないと勧めにくいんですよ。

でもこれだけ出ていると、「赤澤、ちゃんと映画でお芝居してるんだ」ってなるじゃないですか。もちろん舞台も出演させてもらっていますが、やっぱり普段観ない人には映画の方が気軽に見て見てって言えますし、BL作品ではありますがシンプルでポピュラーな作品になったと思うので、BLに縁のない人にも観てほしい作品じゃないかなと思います。

――共演経験も多いお2人ですが、“ゼロ距離”感を作る上で工夫した部分や、お2人で話し合ったことはありますか。

高橋:本読みで会った時に、当時の印象から変わっていないのを感じたので、やりやすかったですね。その段階で、監督からもそのままの関係性でと言ってもらえたので、“関係を良くするために、何か特別なことをする”ということはなかったです。

――普段の空気感もうまく活かしつつということだったんですね。撮影に入ってから、監督に言われたことで印象的だったことはありますか。

高橋:BL作品として必要な接触っていう部分では指示がありましたね。仲はいいけど、友達の距離感ではやらないことってあるじゃないですか。そこの表現に関して、「じゃ、ここはこうしようか」みたいな感じで、僕らの芝居に付け足してもらった感覚です。

なので、アドリブも多い作品ですが、2人がわちゃわちゃっと触れ合うシーンに関してはアドリブってほとんどなかったかも。

赤澤:最初の方に出てくる、居間のシーンはアドリブでしたね。

高橋:そうだね。でもそのシーンの距離感は、男友達同士のじゃれ合いだからできることっていう感覚なんですけど、例えば最後の方に出てくるおでこをくっつけるシーンは、僕らのアドリブではなかなか生み出せないもので。そういったシーンは監督が調整してくれて、という感じでしたね。

――ちなみに、お気に入りのアドリブシーンはありますか。

高橋:どこがアドリブだったのかもう覚えてないです(笑)。台本を読んだ身なので、本編を観れば思い出せると思いますけど。

もしかしたらお客さんは、観ていてもどこがアドリブなのか全然わからないかもしれないですね。

赤澤:僕はさっき言った、1番最初の居間のシーンの空気感がすごく好きでしたね。あれ、確か撮影初日で。監督が「シーンが終わったらじゃれついてみてよ」的な感じで、こっちに投げてくださったところから生まれたシーンなんですよ。

あのシーンで現場の空気が一段階上がったというか、こういう方法で撮っていけばいいんだ! みたいな共通認識ができあがったシーンだったので、すごくいいアドリブになったなと思っています。

――居間のシーン含め、ロケ地となった一軒家もすごく素敵な雰囲気でした。あそこでの撮影はいかがでしたか。

高橋:下の階でアキが料理を作っている間、基本的に僕は暇で。上の階で爆睡できるので、僕としては最高の現場でした。

赤澤:そう! 本当にずっと寝てるんですよ! たくさん寝ているからか、肌艶めっちゃ良かったですよね(笑)。

高橋:しかも家だからベッドがあるんですよね。日によっては撮影に使わない部屋が衣装部屋になったりしますが、どっかしらに寝られる場所が確保できたので、(しみじみと)よかったですね。

赤澤:僕はほとんどあの家では寝てないんですけど(笑)。上の階に上がると、健介さんが「終わった~?」って声をかけてくれる、みたいなやりとりをしていました。

高橋:でもアキは大変だったよな。料理のシーンはシズル感※を出すのに何回も撮らなきゃだし。

※湯気や水滴などの演出で、料理をよりおいしそうに見せること

赤澤:大変でしたね。手際のよさも必要なので、練習もたくさんしましたし。あと、手元のインサート用の映像がうまく湯気が出るまで撮り直さなきゃいけないとか、段取りを間違えると最初から作り直さなきゃいけないとか。そういうプレッシャーもありましたね。

高橋:食べ物って消えものだからね。

――なかでも撮影が1番大変だった料理はどれでしたか?

赤澤:チーズタッカルビ餃子かな。

高橋:あれね~。チーズの絶妙な伸び具合を撮ろうとスタッフさんも構えて待っていてくれましたが、旬な時間がすごく短い。撮影しているうちにチーズが固まっちゃうんですよ。

赤澤:大変でしたよね。でもめっちゃおいしかったです!

――特に気に入ったメニューはありますか?

高橋:唐揚げうまかった。

赤澤:あ~! あの唐揚げ、めっちゃうまかったですね!

高橋:ちゃんと全部おいしかったです。実際に原作者のたじまこと先生が作っておいしかったレシピですし。撮影でご飯を食べますが、スタッフさんは別にお弁当も用意してくれていて。だから、毎回お弁当を食べるかどうか悩んでいましたね。

赤澤:もうお弁当食べてなかったですよね。

高橋:そうなんだよね。お腹いっぱいにしちゃうと、ご飯食べるシーンで「うまっ」って言える自信がなくて(笑)。だからあえて、お腹を空かしてやっていましたね。

――今回はご飯にフィーチャーした作品ですが、2人でご飯を食べるなら何を食べたいですか?

高橋:この前、焼肉行ったよね。だから次は寿司じゃないですか。

赤澤:寿司いいですね。健介さん、こういうとき何を食べに行きますか?

高橋:僕、あんまり食にこだわりがなくて、後輩が食べたいって言ったものに行く感じ。そうなるとたいてい、肉か寿司になるかな。あとはたまにお魚とか和食系かな。

赤澤:そういえば最近行きつけのおいしい和食屋さんあるんですよ。

高橋:いいじゃん、そこ行きたいな。ところでそのお店、コース料理ある? 大人になって思ったのよ。学生の頃ってコース料理頼まないけど、大人になると栄養バランスといい量といい、最終的にコース料理がベストだなって。

赤澤:たしかに順番に出てくる感じとか、「次何が来るのかな?」って話の種になりますしね。

高橋:それはそうなんだけど、俺らそんな会話が続かなくて気まずい仲なわけじゃないから、そこは気にしなくてよくない?

一同:(笑)

赤澤:でもそのお店、多分コース料理ないです…。

高橋:ないのかあ。

赤澤:でも野菜がおいしいところです!

高橋:じゃあ今度連れていってよ。

――素敵な予定ができたところで、思い出に残っているご飯にまつわるエピソードがあれば教えてください。

高橋:ハヤシライスですね。高橋家は人が来ると必ずハヤシライスを作っていました。

でも俺、正直ハヤシライスよりカレーの方が好きだし、なんでハヤシライスなんだろうってずっと思っています。

赤澤:なんてこと言うんですか(笑)。でもなんでハヤシライスなんですか?

高橋:多分親が1番楽なんだよ。ルーがあれば明らかな差が出ないし。うちの母親も言うんですよ「うちには高橋家の味はない、(某カレールーの商品名)の味だ」って。だから、来客があるとルー系の料理が出るっていうのが、昔からありますね。

赤澤:へ~でもなんかお家の味って感じいいですね。うちはなんだろう。キンパ(韓国風海苔巻き)かな…。

高橋:キンパ!? キンパが家で出てくるの!? 普通の海苔巻きをキンパとして出されてるんじゃなくて?

赤澤:違う違う、ちゃんとキンパが出てくるんですよ。4年くらい前から。

高橋:ちょっと待って、最近の話じゃん(笑)。すごい幼少期からキンパ食べてるのかと思った。

赤澤:違います(笑)。そのくらいの時期に母親と妹が韓国のアイドルグループにハマって、そこから出てくるようになったんです。週に数回とか、けっこうな頻度で出てくるので、お父さんはキンパが苦手になっちゃって(笑)。

高橋:え、じゃあ韓国料理のおいしい店とか知ってる? 俺いまいちおいしいサムギョプサルとかが分かってなくてさあ。

赤澤:店によってけっこう変わりますよ! おいしいところは本当においしいんで、一緒に行きましょうよ。

高橋:今日この後も取材だけど、夜に終わる予定だから巻いて店行こうぜ! 予約しよ、予約。

一同:(笑)

――では最後に、公開を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。

高橋:自分で作品を観てから“ご飯を食べてから観るか、食べずに観るか”どっちがいいのかなってずっと悩んでいます。俺は空腹で観たら、自分の芝居とか観てられないくらいマジでお腹が空いちゃって。

どっちをおすすめするか迷いますが、せっかくなら2回観てほしいなって。満腹で観て感じたこと、空腹で観て感じたこと。たぶん全然感じ方が違うと思うので、1人2回観てください。

赤澤:本当にほっこりするような感じでBL初心者にも観やすい作品だと思います。家族や友達、恋人、いろんな人と楽しめる作品だと思うので、ぜひ周りのいろんな人を引き連れて観てほしいです!

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聞いていてお腹が鳴ってしまいそうな“飯テロ”な対談となった。6月2日(金)の映画公開まで待ちきれないというファンも多いだろうが、その空腹感がこの作品を楽しむ最高のスパイスとなってくれることだろう。

取材・文:双海しお/撮影:MANAMI/ヘアメイク:Kanagon。(Beauty Salon nagomi)/スタイリスト西川志都(Tatanca) 衣装:Sian PR/TEENY RANCH