TVアニメ『鬼滅の刃』場面カットの鱗滝左近次。 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

【圧倒的】ジジイの動きじゃねぇ!速すぎて強すぎる鱗滝さんを見る

五体満足で引退できた男

『鬼滅の刃』では、鬼殺隊員の候補となる剣士を育てる、「育手」という役割のキャラが存在します。ネット上では、炭治郎に戦い方を教えた「鱗滝さんが有能すぎる」と話題になっていました。

 天狗の面を被っているのが特徴的な鱗滝左近次は元「水柱」で、「水の呼吸」を使いこなす達人です。そもそも柱に選ばれるには、鬼の最高位である十二鬼月を討伐、もしくは鬼を50体倒すことが必須と言われています。鱗滝さんはその条件をクリアし、引退後も弟子をビシバシ鍛えられるほど元気で、出会ったばかりの頃の炭治郎もその体力、足の速さに驚いていました。

 また、柱といえど鬼と対戦し、体の一部を失ったり、死亡したりするケースも少なくありません。そんななか、鱗滝さんが五体満足の状態で引退できたのは、高い実力と運を持ち合わせているからでしょう。

 引退後は、鬼殺隊の剣士を育成する育手になり、彼の弟子のなかでも冨岡義勇は、同じ水柱にまで上り詰めました。そんな義勇からのお願いで、鱗滝さんは炭治郎を指導することになります。1通の手紙で引き受ける場面は、義勇と鱗滝さんの信頼関係が感じられるシーンのひとつ。その後、刀すら持ったことがなかった炭治郎を、鬼殺隊の剣士に成長させました。

 第一線から身を引いても、鱗滝さんの体力は健在です。刀を持った炭治郎を素手で倒すなど衰え知らずで、この姿にネット上では「まだまだ鱗滝さんは前線で戦えそう」「高齢なのに強すぎるでしょ」など、元柱の実力に驚きの声が上がっていました。

 鱗滝さんの厳しい修行からは、人柄も感じられます。最後の試練で大岩を斬ったとき、「お前を最終選別に行かせるつもりはなかった。もう子供が死ぬのをみたくなかった」と気持ちを打ち明けます。実は炭治郎の前に鬼殺隊の選別に向かった鱗滝さんの13人の弟子たち(義勇を除く)は、全員戻ってこなかったのです。

 それは「手鬼」という鱗滝さんに恨みを持つ鬼が、鱗滝さんが弟子に持たせた狐の「厄除の面」を目印にして、優先的に狙って殺していたからでした。炭治郎は14人目にしてついに手鬼を倒していますが、この事実には読者の間で「鱗滝さんの優しさが裏目に出ていて悲しすぎた」と言われています。ただ、弟子たちからの鱗滝さんへの信頼は厚かったようで、そのうちのふたり・錆兎と真菰は死後も姿を現し、炭治郎に指導をしていました。

 炭治郎が選別から戻ると、鱗滝さんは面の下から涙を流し、彼を抱きしめています。自身の子のように大切に思ってくれる鱗滝さんに、「情が深い人物だよね」「鱗滝さんの優しさに涙が止まらない」と、読者も大いに感動したようです。ちなみに、彼が天狗の面を付けているのは「顔立ちが優しすぎて鬼から馬鹿にされるから」だそうで、そもそも優しい人物であることがうかがえます。

 鱗滝さんの存在は、選別後も炭治郎の精神的な支えになっていました。元十二鬼月の響凱との戦いでは、相手の「血鬼術」に苦戦する炭治郎が、鱗滝さんの「水はどんな形にもなれる 升に入れば四角く 瓶に入れば丸く 時には岩すら砕いてどこまでも流れて行く」という言葉を思い出し、勝利のきっかけをつかんでいます。

 また、柱合会議にて炭治郎と禰豆子が「処分」されそうになったときも、事前に鱗滝さんが産屋敷耀哉に、「もし禰豆子が人を襲った時は、腹を切って詫びる」という内容の手紙を送っていたことが明らかになりました。自分たちのために命を懸けようとする姿に、炭治郎は涙を流しています。ネット上ではこの場面に、「漢気がかっこいい」「これは惚れる」「最高の師匠」などの声が上がっていました。

 アニメが始まった「刀鍛冶の里編」以降も、炭治郎は過酷すぎる戦い、修行に立ち向かっていきますが、鱗滝さんに鍛えられた初期の経験が活きていることは間違いないでしょう。鱗滝さん本人もまだまだ定期的に登場するので、ファンは楽しみにしているようです。

※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記