最終回が収録された『北斗の拳 究極版』18巻(徳間書店)

【画像】『北斗の拳』がドラマだったら? 爆笑の「撮影風景」

各々のキャラの想いの終着点が感動的!

 1983年に連載が始まり、2023年で40周年となる『北斗の拳』の、最終回を覚えていますか? 終幕までの「愛すれど遠く…の巻」から、最終回の「さらば愛しき者たちよ…そして荒野へ…」までの9話分のエピソードで、主人公である北斗神拳伝承者、ケンシロウの旅路の最後で、彼にふたつの選択肢が示されます。

ケンシロウに示される道「さらば愛しき者たちよ…そして荒野へ…」

 ラオウの忘れ形見の息子・リュウをバルガとシンゴに託し、ユリアの墓前に戻ったケンシロウは、マミヤにリンとバットの動向を聞かされます。バットはカイオウに「死環白」を突かれたことで自分を愛していたリンの秘孔を突いて、記憶を消し、リンが本来持っていたケンシロウへの愛を取り戻させようとしていたのです。

 一方、かつてユリアから「今度はリンを幸せにしてあげて欲しい」と言われていたケンシロウでしたが、「リンにはバットがいる」とふたりの前から姿を消そうとします。しかし、旅立った後に、ユリアの幻影を見て、雷に打たれたケンシロウは、記憶を失ってバットたちの前に現れるのです。

 バットはリンとケンシロウのふたりともが記憶を失ったこの状況を見て、「ユリアさんがケンをリンの下へ!!」と確信します。そして、そのままふたりが、最初から愛を育んでいけばいいと考えるのでした。

 一方その頃、ケンシロウとの戦いによって視力を失い、復讐を遂げようと「邪拳」を身につけた男・ボルゲがケンシロウを捜し回っていました。バットは自らの胸に北斗七星の傷をつけ、ケンシロウの身代わりとなってボルゲの前に立ちはだかります。

バットの献身、よみがえる北斗神拳

 ボルゲを倒せればよし、倒されても本物のケンシロウはリンと安寧の生を得られる……そう考え献身するバットでしたが、少年時代のバットが彫った「ケンのバカ」の文字を見て、記憶が戻り始めたケンシロウは、バットを救うべくボルゲの前に現れました。そしてバット渾身の叫びが引き金となり、ケンシロウの記憶が完全によみがえります。そしてリンも、命がけで自分を守る献身的なバットの優しさに触れて、記憶を取り戻すのです。

 瀕死となったバットは、兄と慕うケンシロウに、「リンとふたりで幸せになってくれ」と言い残し、「おまえはすばらしい男だった」というケンシロウの言葉を胸に目を閉じました。

愛の行方、そしてそれぞれの選択

 彼の想いを汲み、一度はケンシロウとともに旅立とうとするリン。しかし、彼女はバットの死と引き換えに幸せを手に入れられないと、ケンシロウに別れを告げてバットの元へ戻っていきます。ケンシロウも、それを快く送り出しました。

 バットの亡骸を抱き、葬送を始めようとするリンとマミヤ。しかしふたりはバットの心臓が、しっかり拍動していることを知ります。なんとケンシロウはこうなることを予測しており、北斗七星をかたどる秘孔を突き、バットの命をつなぎとめていたのです。

 空に浮かぶ幻に「ユリア これでいいのだろう」と語りかけ、微笑むケンシロウ。次の瞬間、彼は戦士の顔つきに戻り荒野へと、ひとり歩きだします。「オレの墓標に名はいらぬ!!」「死すならば戦いの荒野で!!」

 彼は暴虐を許さぬ戦士として、これからもあくまで戦いに生きることを選択し、暴虐を働くならず者の秘孔を突いてこう言うのです。「おまえはすでに死んでいる!!」

 以上、『北斗の拳』最終回を振り返りました。ケンシロウは命ある限り、世紀末の救世主として戦い続ける。その生きざまに男を感じた人びとに愛され、『北斗の拳』はついに40周年を迎えました。2023年9月には、東京・六本木 森アーツセンターギャラリーにて、史上初の大原画展「北斗の拳 40周年大原画展 ~愛をとりもどせ!!~」も開催予定です。公式サイトでは、まだまだビッグイベントがあることが匂わされており、期待値が高まります。