アニメ「キャプテン翼 DVD SET ~中学生編 上巻~」(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)

【画像】『キャプテン翼』に続くサッカーマンガ作品たち(4枚)

サッカーの競技人口が30万人以上増えた?

『キャプテン翼』が連載を開始する前の1970年代は、日本のスポーツといえばプロ野球が中心でした。王貞治さんや長嶋茂雄さんといったスター選手が誕生した時代でした。『巨人の星』や『ドカベン』などのアニメが放映され、アニメ界でも野球が人気を集めていました。その頃の日本サッカーはプロチームすら存在せず、サッカーのマンガやアニメもあまり注目されることはなかったようです。

 サッカーが「ややマイナーなスポーツ」という認識を払拭できないなか、1981年に『キャプテン翼』の連載開始がきっかけでブームが巻き起こりました。はたして同作は日本サッカー界にどのくらい影響を及ぼしてきたのでしょうか?

『キャプテン翼』の影響力はサッカー人口の変化から見て取れます。「公益財団法人 日本サッカー協会」が発表している「サッカー選手登録数」によると、同作が始まる1980年のサッカー人口は30万人ほど。しかし連載第1弾が終了した1986年には、64万人以上にまで登録数が増え、2倍以上に増えていました。

 もちろん、サッカー普及に尽力した人びとや団体、企業などの努力があったことも忘れてはなりませんが、1980年代はまだJリーグが誕生する前の時代であることから、『キャプテン翼』が与えた影響は相当大きかったと考えられます。その後も『キャプテン翼』の連載は続き、日本サッカー界もJリーグ開幕やワールドカップ初出場を達成。主人公である大空翼と同じように大きな成長を遂げています。

 プロサッカー界においても、『キャプテン翼』に影響を受けた名選手は国内外に数多く存在します。ワールドカップに3回出場した中田英寿さんは、小学生の頃に『キャプテン翼』を読んだのがきっかけでサッカーを始めました。海外においては、メッシ、エムバペ、ネイマールなど、現代サッカーを支える各国のスター選手たちも『キャプテン翼』の大ファン。国内のみならず、『キャプテン翼』は世界へはばたき、サッカー界に大きな影響を与えたのです。

 そんな『キャプテン翼』は、「サッカー王国」と呼ばれる静岡県を舞台としています。静岡県は戦前から複数の学校でサッカー教育に取り組み、いくつかの実業団チームが県内に誕生し、日本代表選手も多く輩出しています。作品の舞台となることで「静岡県=サッカーの強豪」というイメージが広がった……という点でも、大きな功績があったと考えられます。

『キャプテン翼』と同じような影響を与えたマンガとして『スラムダンク』が挙げられますが、『スラムダンク』が日本にバスケットボール人気を与えたように、マンガはマイナーをメジャーに押し上げる影響力を持っていると言えるでしょう。さらなる先の世界を目指し、これからの『キャプテン翼』と日本代表の進化にも期待が高まります。