ラオウが表紙の『北斗の拳 究極版』10巻(徳間書店)

【画像】目が合うだけでガクブル? ラスボス以上にヤバい敵たち(7枚)

レジェンド作品たちの「本当のラスボス」は?

 多くの名作マンガには、魅力的な「敵キャラ」がいます。とりわけ物語の終盤、「ラスボス」との最終決戦は、これまで積み重ねてきた数々のバトルがこの戦いの布石だったのだと思うと、読者の感慨もひとしおです。

 ちなみに、なかには余りにも存在感が強すぎて、厳密には「ラスボス」でないのに、知らない人から「ラスボス」であると思い込まれている敵もいるのです。その圧倒的な存在感とともに振り返りましょう。

※「ラスボス」の定義もさまざま議論されることが多いですが、今回は「作中で主人公が最後に戦った敵」とします。

 ラスボスと勘違いされがちなキャラの筆頭は、『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫)のラオウではないでしょうか。テレビ番組の特集などで「ケンシロウvsラオウ」は繰り返し取り上げられているので、原作、アニメを知らない人でもラオウをご存知の方は多いはず。自らの秘孔をつき「わが生涯に一片の悔いなし!!」の言葉とともに絶命する場面は、フィクション、ノンフィクションの垣根を超えて「最も有名な死に様」のひとつでしょう。

 ところで『北斗の拳』の物語はここで終了かといえば、「第2部」「第3部」と続きます。アニメ版ではカイオウが実質的なラスボスでしたが、原作ではボルゲという盲目の悪党が、一応はラスボスに該当します。最後に戦ったというだけで、ボルゲは強さも存在感もラオウ、カイオウには遠く及ばず、アニメを観ていた人はもちろん、原作を読んでいた人も忘れがちな、認知度の低いキャラです。

 続いて、『ドラゴンボール』(作:鳥山明)のラスボスは誰でしょうか? 今もなお新作アニメが作られているので一概には言えませんが、原作では魔人ブウです。それまでに「フリーザ」、そして「セル」と、今なおマンガ史に燦然と輝く敵キャラとのバトルを経ての登場でした。キャラクターや形態も作中でどんどん変わっていく、この捉えどころのなさは絶望感たっぷりです。

 ただ、魔人ブウも有名キャラですが、見た目のインパクトなどで、フリーザの方が認知度では上回っている可能性もあります。また、『ドラゴンボール』の物語はこれからも続いていくので、「真のラスボス」はこれから出てくるかもしれません。

 もうひとり、「ラスボス」という表現が適切かはわかりませんが、『あしたのジョー』(原作:高森朝雄・作画:ちばてつや)に登場した矢吹丈の宿命のライバル・力石徹も、また丈の最終決戦の相手と勘違いされがちです。しかし、力石戦は物語の中盤でした。

 試合後に死亡し、現実に「葬式」まで行われたほどファンにショックをもたらした力石の死はあまりにも有名で、彼との戦いはその後の物語の雰囲気に、大きな変化をもたらしています。しかし、かの有名な「真っ白に燃え尽きた」最終回の相手は、バンダム級王者のホセ・メンドーサです。メンドーサも本編を読んでいない人でも聞いたことはあるであろう、マンガ界を代表する有名キャラですが、力石のインパクトが強すぎたのでしょう。

 その他、『るろうに剣心』の志々雄真実や、『幽☆遊☆白書』の戸愚呂弟、『BLEACH』の藍染惣右介など、実際のラスボスよりも有名で人気な敵キャラは、まだまだいます。実際はどうであれ「ラスボスの風格」が漂う敵キャラは、物語の人気の屋台骨です。また、連載中のマンガでは『ONE PIECE』や『キングダム』など、人気の敵キャラは多数いるものの、誰が「ラスボス」になるのかまだ分からない作品もあり、注目が集まっています。