搭乗型ロボットの先駆者『マジンガーZ』DVD Vol.6(東映ビデオ)

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ロボット、魔法少女、スポコンの元祖!?

 1973年は歴史の教科書で「第四次中東戦争」の勃発と、それに起因する「オイルショック」が発生したと習った人も多いのではないでしょうか。ただ、アニメファンにとっては、それ以上に大きな「アニメ史に残る革命的な作品」が誕生した重要な年でもあるのです。その代表的な作品と影響を与えた「新たなジャンルの確立」について考察してみましょう。

新たなロボット像を確立した『マジンガーZ』

 ロボットアニメやSFアニメが好きな人ではなくとも、一度は耳や目にしたことがあるのが『マジンガーZ』ではないでしょうか。故・水木一郎さんが『マジンガーZ』の主題歌を生涯歌い続けたことも、年月が経過しても作品のファンと熱意が冷めなかった大きな証拠といえるでしょう。

『マジンガーZ』は1972年から74年にかけて放映されたアニメです。原作者は『デビルマン』などでも知られる永井豪氏で、1972年から1973年にかけてマンガが「週刊少年ジャンプ」で連載されていました。

 マジンガーZは『機動戦士ガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』など、主人公がロボットに搭乗して敵と戦うジャンルの元祖とされています。ロボットアニメの元祖といえば、1960年に放送された『鉄人28号』、1963年の『鉄腕アトム』、特撮であれば1967年の『ジャイアントロボ』などが挙げられます。ただ、いずれも外部からの操作や自立型のロボットなので、当時のロボットアニメとしては新しい切り口の作品だったのです。

 実際、永井豪氏も「既にあったロボット像を避けた」と明言しています。さらに「搭乗型」にすることで、操縦者によっては「人間が人間を殺す兵器」にもなり得、さらに自分が死ぬ可能性もあることを考えたとも語っています。人間がロボットに搭乗することで描かれるドラマは非常に重厚であることは、後世、名作とされる搭乗型ロボットアニメを数えてみても明らかでしょう。

元祖魔法少女!?『キューティーハニー』

『マジンガーZ』を追うように1973年10月に放映されたのが『キューティーハニー』です。キューティーハニーといえば、美少女や美女が戦う変身バトルヒロインの元祖的存在とされています。アンドロイドの如月ハニーが、セクシーな姿のキューティーハニーに変身して犯罪組織と戦う物語で、何度もリメイクや実写化がされている人気作です。

 さらに注目すべきはキューティーハニーは「ハニー七変化」といって、キューティーハニーのほかにもハリケーンハニーやミスティーハニーなどに「変身」して戦うという新しいスタイルを確立したことです。

 キューティーハニー以前の戦う女性主人公といえば、手塚治虫氏の『リボンの騎士』が挙げられます。しかし、変身して戦う魔法少女モノの原点というのであれば『キューティーハニー』のほかにないでしょう。

スポ根アニメの代名詞『エースをねらえ!』

 キューティーハニーと同じ1973年10月に放送開始されたのが、伝説的なスポ根アニメ『エースをねらえ!』です。同時期に放映された『巨人の星(1968~1971年)』や『あしたジョー(1970~1971年)』、『アタックNo1(1969~1971年)』と並び、スポーツアニメのジャンル確立と黄金期を担ったアニメといえるでしょう。

 しかし、1973年の最初のアニメ化では、視聴率に苦戦し2クールで打ち切られています。その後、再放送での高視聴率を受けて、TVアニメ版の2作目となる『新・エースをねらえ!』が1978年に放送され、1979年には劇場版も公開されました。苦難を乗り越えたことで、現代の作品にも影響を与えたと考えるとドラマチックではないでしょうか。