過去には映画でも破天荒ぶりを見せつけた『こち亀』の両さん、もしかして予言者? 映画『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 2』DVD(ポニーキャニオン)

【画像】拳銃に女装…? 破天荒すぎる警察官「両津勘吉」(5枚)

30年前に「回転寿司騒動」を的中させた?

 回転寿司店に対する迷惑行為を撮影した動画をめぐる騒動を多くのメディアが取り上げ、回転寿司チェーンは対応に追われています。一方、このことをきっかけにSNSを中心に話題となっているのが名作マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(以下、こち亀)です。一連の回転寿司騒動を「30年以上前から予言していたのでは」などと注目を集めているのです。

『こち亀』は言わずと知れた不朽の名作。1976年から2016年まで、40年もの長きにわたり「週刊少年ジャンプ」で連載されました。破天荒な警察官「両津勘吉」を主人公とし、調子に乗って悪行に走った両さんに天罰が下るのが鉄板の展開。作中には世俗に合わせた奇抜な描写もたびたび登場しています。

 今回話題となった「回転寿司」のエピソードはコミックス第84巻に収録。発売されたのは1993年と、およそ30年前になります。気になるその内容は……回転寿司店がほぼロボット化し、自動で寿司が出てくるというもの。便利なシステムに意気揚々とする両さんでしたが、次第にロボットと相性が合わなくなり「禁じ手回転寿司唾の舞」を発動してしまいます。

 ロボット化が進んだ回転寿司に唾をかける行為は、まさしく「禁じ手」。一連の回転寿司店への迷惑行為に似ていると話題になっています。Twitterでは「こち亀が予言の書に」「現代のアカシックレコード」などと驚嘆の声が続出。一方で「マンガだから笑えるが、現実では笑えない」「悪いことをすると必ず報いがある。両さんには大原部長がいた」といったコメントも寄せられています。



さまざまな回想をしながら佇む両さんの様子が描かれた、『こちら葛飾区亀有公園前派出所 セレクション1 “人情編”』DVD(フジテレビ)

(広告の後にも続きます)

続々と予言が的中! 読み返したくなる「未来予想」の数々

『こち亀』の予言は回転寿司のみにとどまりません。例えば、コロナ禍のなかで行われるようになった「オンライン飲み会」も、30年以上前に発行されたコミックス第59巻に掲載。当時はまだブラウン管テレビの時代であったため、奥行きのあるテレビ画面越しに「オンライン飲み会」で同窓会を楽しむようすが描かれています。

 ほかにも「ゲームへの課金システム」を予言。現代では多くの人がスマートフォンアプリの「アプリ内課金」を利用していますが、エピソードが掲載されたのは20年以上前に発行されたコミックス第98巻です。パソコンゲームをしながら通話し、クレジットカードを登録して課金するという話で、はじめのうちは楽しくゲームをしていますが、徐々に高額の課金を要求されて困窮していきます。現代においてたびたび問題になっている「ゲーム内課金」のリスクを見事に予言していると注目を集めています。

『こち亀』で描かれた数多くのエピソードで、読者を楽しませてきたアイデアや未来像が続々と現実のものになっています。次はどのようなアイデアが世の中に登場するのでしょうか。新たな視点をもって読み返したくなる名作といえるでしょう。