上弦の陸・堕姫と妓夫太郎の過去が衝撃だった、アニメ『鬼滅の刃 遊郭編』ビジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

【画像】やっちまえ!倒されて気兼ねなくスッキリできた、シンプル極悪キャラ(6枚)

もっと気兼ねなく倒して欲しい?

 アニメやマンガを見ていて、物語が進むにつれて敵である悪役の悲しい過去が明らかになり、主人公よりも彼らのほうを好きになってしまった、という経験はありませんか? 本当は心優しい人だったのに、理由があって悪役に転じてしまったキャラに、愛着がわいてしまう人は多いようです。一方で、「悪役はあくまで完全な悪者であってほしいから悲しい過去などいらない」という意見も。ネット上では、悪役の悲しい過去に関して「いる・いらない論争」が定期的に盛り上がります。

 ネット上で、多くの人が例としてあげていた『鬼滅の刃』の鬼たちは、鬼になる前は人間として生きており、それぞれに悲しい過去があります。主人公・炭治郎が鬼を倒しながらも同情する姿に「鬼滅は悲しい過去の鬼にも、悲しい過去の鬼殺隊にも泣ける」と、どちらにも感情移入してしまう人も多いようです。

 また、『銀魂』では主人公・銀時の元同志でありながら、悲しい過去があり悪役へと転じた高杉晋助や、作中最強キャラと思われる不死身の虚の他、「真選組動乱篇」を起こした伊東鴨太郎なども、話題にあがっています。その他、『僕のヒーローアカデミア』の死柄木弔や、『ONE PIECE』のドフラミンゴも悲しい過去を持つ悪役として人気で、ネット上では「誰も悪くない場合もあるから辛い」「敵を敵で終わらせない作品はやっぱり良いよな」「悲しい過去もある上で、でもちゃんとそのキャラの間違いを正すのが大事」と、敵キャラにも感情移入できる設定に肯定的な意見が見受けられました。

 一方で、「主人公が悪役をやっと倒せる」と盛り上がっているところに、悪役の悲しい過去のシーンが挿入されると、興奮していた気持ちも冷めてしまう、という人もいるようです。「悪役がかわいそうだとスッキリできない」「悪役の過去が悲しいからって、罪が『なあなあ』になる展開が嫌」という声に対して、肯定派からは「悪役にも正義があるから面白い」との意見も上がり論争が盛り上がっています。

 また、「悲しい過去があるのはいいけど、それを最後にいきなり説明するのはやめて」「徐々に明かして欲しい」という意見もありました。例として「『からくりサーカス』のフェイスレスは、過去の愛する人たちとの行き違いで闇落ちして、どんどんクズな行為をした経緯が明らかになった後、最期に『改心』するまでの丁寧な過程があったから納得する」「『ゴールデンカムイ』の鶴見中尉の過去の明かし方は、ストーリーも演出も上手いし、それを中盤に明らかにした上での、終盤の展開も見事だった」と、絶賛されています。

 もちろん、悪役が倒されてから過去の説明が入ることで、大きな感動を生む場合もあるので、説明の仕方にも正解はないと言えるでしょう。その他、「『北斗の拳』の悪役は同情できるキャラと、できないキャラできっぱり分かれてて好き」「『ガンダム』シリーズは何人も悲しき悪役がいて見どころ」「『進撃の巨人』は、丁寧にどちらも悪ではないことを説明していて素晴らしかった」と、いろんな作品の悪(敵)役が人気を集めていました。