映画『パーフェクトブルー』DVDジャケット(ジェネオンエンターテイメント)

【画像】騙された!? ぱっと見は分からないトラウマ必至なアニメ映画たち(6枚)

大人が観ても思わず動揺するアニメたち

 毎年何本も公開されるアニメ映画には、実写では描写できないようなエロ、グロシーンや、過激な展開を活かした作品もあります。今回はTVでは見られない、もしくはフルでは放送できない、特に衝撃的なトラウマアニメ映画をご紹介します。

『パーフェクトブルー』

 世界的に高く評価されているアニメーター・今敏監督が、初めて手掛けた長編アニメーション映画『パーフェクトブルー』は、アイドルから女優に転身した主人公・未麻が数々の出来事を経て、精神的に追い詰められていく過程を描いたサイコホラー作品です。

 劇場公開された1998年当時、アニメでサイコホラーを描くことは主流ではありませんでしたが、同作は洋画のサイコホラーなどでよく表現される「犯人の異常性」よりも、「被害者の内面の崩壊」に焦点を当てています。アニメならではの夢と現実の境界が曖昧になっていく異質な世界の表現で、観客を怒涛の恐怖に引きずり込みました。

 多くの人が経験するであろう、環境の変化や現状への不満から生まれる漠然とした不安感が如実に現れた未麻が、現実と虚構の狭間に追い込まれていく展開には、思わずハラハラしてしまいます。さらに、ラストには背筋の凍る展開が待っていました。

 過激なエロ、グロ描写も多いR15指定のため、地上波で観ることはできませんが、世代も言葉の壁も超えて支持されるトラウマ級の傑作です。

『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』

 庵野秀明監督による『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』は、1995~96年に放送されたアニメシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』のラスト2話をセルフリメイクしたもので、いわゆる「旧劇場版」と称されている映画です。

 そもそも大人向けのアニメである「エヴァ』シリーズのなかでも特に残虐な暴力描写が多く、主要キャラの自慰やセックスを思わせるシーンもあるため、地上波放送は絶望的に思われていました。しかし、ついに2014年に日テレで深夜放送されたのですが……いくつかのシーンの削除や、音声だけで画面が黒くなる処理が行われたことで、視聴者だけでなくクリエイターからも非難の声が殺到する事態となっています。

 ラストで主人公・シンジが起こす行動や、ヒロインのひとり・アスカが呟く「気持ち悪い」の一言には、後を引く衝撃がありました。ネット上では「『エヴァ』は好きだけど二度と観たくない」というコメントが散見される一方、最後のアスカのセリフに対する考察は未だに続いており、何度も繰り返し鑑賞しているコアなファンがいるのも事実です。

『AKIRA』

 アニメ、映画好きの「必修科目」と言われ、世界的名作と認知されている作品ながら、 「子供のころに観たらトラウマになった」という意見もよく見かけるのが、大友克洋監督の『AKIRA』です。近未来の新首都・ネオ東京を舞台に、超能力者や暴走族、反政府ゲリラ、軍隊が繰り広げる戦いを描いており、初回公開時から30年以上を経た2020年には4Kリマスター版が上映されるなど、今もなお多くの支持を集めています。

 当時、日本アニメとしては巨額な総製作費10億円が投入された異例の作品で、緻密な作画と斬新な設定、展開は国内外で高く評価されてきました。ただ、原作コミックにもグロテスクな描写はあるのですが、映画は色がついて動くので、さらに衝撃的です。特に主人公・金田の不良仲間である鉄雄が暴走する場面では、少女が圧死する恐ろしい描写があり、大人になって観返しても、ぎょっとするシーンでした。

 2006年にTBSで深夜放送された際には、「幼少期のトラウマを思い出した」「怖すぎる」「アニメのクオリティが高い分、痛そうな場面がしっかり伝わってくる」「難解な部分もあるけど、大人になったから面白さがわかる」と、さまざまな意見が話題に上がったようです。