『宇宙鉄人キョーダイン』DVD1巻(東映)

【画像】見た目が濃い! 『宇宙鉄人キョーダイン』のキャラクターたち(4枚)

歌ったのはアニソン女王・堀江美都子さん(当時19歳)

『宇宙鉄人キョーダイン』は1976年から1977年にかけて全48話が放送された、石ノ森章太郎原作の特撮ドラマです。世界的ロボット工学者・葉山博士がふたりの息子の意識を移植したロボット、スカイゼル(兄・譲治)、グランゼル(弟・竜治)がキョーダインとして力を合わせ、地球防衛軍とともにダダ星人のロボット軍と戦います。

 当時の特撮ヒーロー番組は、主役が複数の場合は3人組かそれ以上が多かったのですが、ふたり組は珍しい設定でした。初期は変身せず人型ロボットとして活動し、ロボットがそのまま戦闘機や車、ミサイルなどの攻撃マシーンに変形するところがトランスフォーマー的で斬新だったと思います。「スカイゼル!」「グランゼル!」「我らキョーダイン!」という決めゼリフはとてもカッコよかったです。

 この『キョーダイン』で、何度も何度も流れていた歌を憶えていますか? タイトルは「花つみの歌」。この歌にダダ星ロボット侵略軍を壊滅する謎が秘められているとして、白川エツ子少尉(演じるのはアニソン女王こと堀江美都子さん)が歌っていました。
「はなつみのうた」
カキにカボチャは カンナかな
マンゴマツタケ マンダリン
クリにクルミは クチナシさ
ライラックには ラベンダー
ダリアダイダイ ダイコンで
イチゴとイチヂク イチョウのき
ブドウコロコロ ブナの下
ツバキツクシを つき見そう

 歌詞に秘められたキーワードが解けますでしょうか? 放送当時は「謎解き」という展開が珍しく、何度聴いても解けないので、この歌が強くインプットされた子どもはたくさんいたと思います。これは、歌を聴くだけでは難しいですが、文字に起こすと簡単です。単語の頭文字を縦に読むと「カマクラダイブツ」が浮かんできますね。



『宇宙鉄人キョーダイン』主題歌レコード(日本コロムビア)

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最後の最後にふたたび流れたメロディー

 この「カマクラダイブツ」が物語にどう関係したのか振り返ってみましょう。「花つみの歌」はダダ星へ連れ去られた葉山博士が暗号を隠して作ったもの。これを解けるのは葉山博士が師と仰ぐ海堂博士だけです。最新の暗号解読器でも解けなかった謎は、第10話「わかった! はなつみの歌の謎」で海堂博士が解いてみせ、一同は神奈川県にある鎌倉大仏へ調査に向かいます。

……と、数話にわたって何度も歌を流し、ようやく敵を倒す謎を解いたのですが、鎌倉大仏まで行ったところで解決には至りません。わかったのは「鎌倉大仏に似た幻の岩(葉山博士と海堂博士しか分からない)」、「そこにダダ軍団を倒す鍵となる物質Xがある」。つまり、敵を壊滅に導く糸口が見つかっただけでした。

 ひとまず、モヤモヤしていた歌の謎がようやく解けました。ひと段落したので、その後「花つみの歌」の話題はほとんど出てこなくなります。おそらく、全48話の前半(1クール)のポイントを「花つみの歌の謎解き」に置いたのでしょう。

 しかし、忘れられていた「花つみの歌」は最終回「死なないで!! キョーダインよ永遠に」で復活し、最大の効力を発揮します。海堂博士が開発したメロディ増幅装置から流された「花つみの歌」がダダ星に広く響きわたると、ロボ兵たちが苦しみ倒れていきます。歌の波長にダダ星の全てを狂わせる力があったのです。結局、ダダ星人に勝利する決め手になったのが、あの「花つみの歌」だったのでした。

 いま振り返るとちょっと強引な気もしますが、最後の決め手に「花つみの歌」を残しておいたのは素晴らしいと思いました。

「花つみの歌」というタイトルは物語のなかだけで使用され、正式には「くだものやさいへんちくりん」といいます。作詞は石ノ森章太郎先生でした。歌が繰り返し流れたのは初期だけでしたが、謎解きが隠された「花つみの歌」の印象が強く残るというファンは多いようです。「♪カキにカボチャはカンナかな?」今でも歌える人、いますよね。