移植作品の発売のたびに一喜一憂させられた!? 画像は「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(任天堂)

【画像】本家との違いに衝撃! 移植作のファミコン版グラフィックを見る(7枚)

もはや“別ゲー”と言っても過言ではない?

 80年代のキッズを夢中にさせたファミコンソフトの数々は、オリジナルの作品ばかりではなく、アーケードゲームなどから移植されたタイトルも目白押しでした。ナムコの『ゼビウス』、コナミの『グラディウス』といった秀逸な移植タイトルも数多くリリースされ、ゲームセンターを沸かせた傑作を自宅で遊べることに喜びを噛みしめたものです。

 ただハード上の制約があるためにアーケード版をそのまま忠実に移植できるはずもなく、いかにファミコンの性能に落としこむかが鍵だったように思えます。

 しかし、なかにはファミコンでの完全再現を諦めたのか、いろんな意味でまったくの“別ゲー”に生まれ変わるケースもあります。そこで今回は筆者の印象に残っているファミコンの移植作品をご紹介します。

パソコンの伝説的タイトルが別物に?

 1987年にハドソンから発売された『ファザナドゥ』。タイトルからもわかる通り、日本ファルコムの大ヒットパソコンソフト『ザナドゥ』をファミコンに移植した作品になります。当時のファミコンキッズにとってパソコンは手の届かない高嶺の花。とくに大人気だったファルコム作品には憧れもありました。

 ですが満を持して発売された『ファザナドゥ』は、本家『ザナドゥ』とはまるで別物。おなじみの2頭身キャラは頭身が上がって妙にリアルになり、敵キャラにタッチすると戦闘が始まるシンボルエンカウント方式ではなく、普通のアクションゲームになっていました。本家とはビジュアルもゲーム性も異なり、憧れのパソコン版の再現を期待していた自分は正直ガッカリした記憶があります。

 ただし『ファザナドゥ』はアクションRPGとしての完成度は高く、結局やりこんでいくうちに「これはこれでアリ」といつの間にかのめり込んでいきます。『ザナドゥ』の移植作という先入観をなくして遊んでみたら、とても良作だったんですよね。

源平合戦をモチーフにしたアーケードゲームの金字塔

『源平討魔伝』と聞けば、80年代のゲームセンターで一世を風靡したアクションゲームの超傑作。巨大なキャラが刀を振るう姿はインパクトがあり、キャラが声を発しまくるのも印象的でした。そんな『源平討魔伝』のファミコン版が1988年に発売されました。

 ファミコン版のタイトル画面には「コンピューターボードゲーム」の表記がありますが、遊んでみるとボードゲーム要素はそこまで強くなく、基本的には『ドラクエ』風のコマンドバトルを採用したRPG。さすがにゲーセンの『源平討魔伝』は「ファミコンでの再現は難しいだろうな」と子供ながら薄々感じてはいましたが、まさかジャンルからまるっと変わるのは予想外で、ずっと憧れていたアーケード版とは完全に別のゲームでした。

 ファミコンの『源平討魔伝』もRPGとして見たら別に悪くないのですが、期待していたのはやはりアーケード版の移植。どちらかというとコナミが1987年にリリースした『月風魔伝』のほうが、『源平討魔伝』のテイストを色濃く受け継いでいる気がしました



アーケード版とは別ゲー級の難しさだった。画像は『ファミコンミニ 魔界村』(任天堂)

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攻略に苦労させられたふたつの移植作品

ファミコン版で別ゲークラスの難易度に

 アーケードゲームからの移植作品には、攻略難易度が急激に上昇したケースもあります。個人的に印象に残っているのはナムコの『パックランド』。同作はパックマンを主人公にした横スクロールアクションで、手足のある可愛いパックマンが、モンスターたちの攻撃を避けつつゴールを目指す内容でした。

 コミカルでメルヘンチックな世界観と、隠し要素が満載で大好きだった作品ですが、ファミコン版はコントローラー操作が激ムズ。Aボタンで右移動、Bボタンで左移動、十字ボタンでジャンプというトリッキーな設定に苦しめられ、2コンで通常操作ができることを知るまで、投げっぱなしにした忘れられないタイトルです。

 またカプコンの『魔界村』のファミコン版も、本家とは比べ物にならないほどの難易度の高さが印象的です。アーケード版の定番テクだった高速連射(攻撃発射後に即前レバー入力)がファミコン版では使えなくなり、ただでさえ強いレッドアリーマーや2面の大男の対処がメチャムズに。アーケード版は2周難なくクリアできたのに、ファミコン版では裏技を使わないと1周目すらクリアできませんでした。

今遊んだら印象が変わるかも?

 当時は移植作品を遊ぶたびに「思ってたのと違う!」と憤慨したものですが、個人的にはファミコンへの完全移植は諦めて、ハードの性能に合ったアレンジを加えるのは「そう悪い判断ではなかったのかも」と今なら思えます。もし当時の先入観で未プレイの移植作品があるのなら、改めて遊んでみるのも良いかもしれません。『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』でも遊べるタイトルはたくさんありますよ。

 ファミコン世代の皆さんにとって「思ってたのと違った」タイトルにはどのような思い出がありますか。