実は想像以上の速さで撃墜されているザクレロ。画像は「1/550 ザクレロ」(バンダイ)
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切なすぎた参戦・即退場
バラエティに富んだモビルスーツ、モビルアーマーが登場するのはガンダム作品の魅力。劇中での活躍に魅せられ、思わずプラモデルを購入した経験がある人も少なくないことでしょう。しかし、なかには活躍を期待されながら、見せ場もなく撃破されてしまった悲しい機体も存在します。そこで今回は、あまりにも退場が早過ぎると感じた、ちょっと残念な機体を振り返ります。
個性派モビルアーマーのあっけない幕切れ
TVアニメ『機動戦士ガンダム』に登場したザクレロというモビルアーマーを覚えていますか? 腕部に鎌のような武器を持ち、ツリ目に大口を開けた巨大な顔のようなフォルム。あまりにもエキセントリックなビジュアルで視聴者の度肝を抜いた機体です。
ひと目見たら忘れられない衝撃的な機体で、その奇抜な姿からファンの間でいまだにネタにされることも。まさに視覚的インパクトに全振りしたような強烈な存在でした。
そんなザクレロが登場したのは第32話の「強行突破作戦」。劇中、ガンタンクに乗るハヤトがザクレロを視認してから、アムロのガンダムに撃墜されるまでの所要時間はたったの2分30秒。話の都合上、1話でやられるジオン機は多いのですが、ザクレロの参戦・即退場っぷりは目を引きます。
カツ・レツ・キッカとの邂逅が印象的だったアッガイ、ガンダムパイロットのアムロを失神させたビグロなどに比べると、ザクレロの戦果と言えるのはガンダムの肘に一撃加えた程度。お世辞にも印象に残るような見せ場があったわけではありません。
逆を言えば、3分にも満たない活躍でザクレロはこれだけの知名度を得たのですから、別の意味で爪痕を残したと言えるでしょう。爪のようなヒート・ナタを持っているだけに。
本来の目的を果たせず、あえなく撃墜
OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場するのが、モビルアーマーのアプサラス。ジオン軍のギニアス・サハリン技術少将が開発した機体で、巨大なボディにザクの頭がちょこんとついているのが印象的だった機体です。
当時の新技術「ミノフスキー・クラフト」を備え、敵の攻撃が届かない成層圏まで飛行。ジャブロー上空から一気に降下し、単騎で連邦軍の本部基地を強襲するという目的で設計されたモビルアーマーでした。この機体の完成は没落した名家出身のギニアスの悲願であり、開発責任者としてアプサラス計画に賭ける執念はすさまじいものがありました。
1号機、2号機と試作・改良を重ね、ついに念願のアプサラスIIIが完成。しかし戦況は切迫しており、連邦の攻撃を受けていた自軍拠点の防衛のために出撃します。アプサラスの大型メガ粒子砲の威力は絶大で、連邦部隊に打撃を与えますが、大きな戦果といえば、連邦司令官が搭乗したビッグ・トレーの艦橋を破壊したくらい。結局、陸戦型ガンダムを現地改修したガンダムEz8にとどめを刺されてしまいます
多大な労力と物資、長い年月をかけて開発されたアプサラスは、本来の目的であるジャブロー攻撃を果たすことなく、それも連邦の量産機によって撃破されるという残念過ぎる結末。とくに3号機であるアプサラスIIIの目立った戦果は、撃墜間際に苦し紛れに放った1発のみというのも切なかったです。
アプサラスをはじめ、即退場系の機体は個性的なビジュアルが多い? DVD版「機動戦士ガンダム 第08MS小隊 Vol.02」(バンダイビジュアル)
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出オチレベルの悲劇
戦うことすら許されなかった
参戦・即退場という言葉がもっともふさわしい機体は、TVアニメ『機動戦士Vガンダム』に登場したビルケナウかもしれません。同機はザンスカール帝国のベスパが開発した試作モビルアーマーでした。
エンジェル・ハイロゥ攻防戦でアルベオ・ピピニーデンが乗りこんだビルケナウは、満を持して出撃するはずでしたが、そこにウッソとの戦いに敗れ、傷ついたルペ・シノの機体が漂着。その友軍機の爆発に巻きこまれたビルケナウは発進することなくカタパルトにて爆散! ついでに母艦であるアドラステア級の戦艦まで誘爆しました。
瞬殺や即退場というレベルを超越した、戦わずして友軍機の爆発に巻きこまれるという切な過ぎる最期。ビルケナウが無事に出撃し、ウッソのV2ガンダムと戦っていたらどのような活躍を見せてくれたのか、永遠の謎となってしまいました。
儚い散りざまがファンの胸を打つ?
紹介した3機体はいずれも大きな活躍をしたわけではありませんが、ザクレロやビルケナウ(ついでにピピニーデンも)あたりは今でもネタにされがちです。中途半端に活躍するくらいなら、儚く散った機体のほうが視聴者の心に残るのかもしれません。