TVアニメ『SPY×FAMILY』20話で初登場した<夜帳> (C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

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<夜帳>が母親役で、アーニャは幸せになれる?

 1960~70年代の東西冷戦風の世界で、スパイの父と、超能力者の娘と、殺し屋の母が織りなす日常を描いた人気作『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』。スパイのロイド・フォージャーこと、<黄昏>は任務遂行のために、アーニャを偽装娘とし、ヨルと偽装結婚します。

 ヨルと結婚したのは「名門・イーデン校は、入学時に両親と子供がそろった三者面談」を要求されたからです。ここで、ロイドが所属しているスパイ組織「WISE」の女性諜報員を「妻役」にしなかった理由は「先のスパイ狩りで大分やられたから、人手不足で適任がいない」というものです。

 そして原作の単行本5巻、TVアニメ20話で「バーリント総合病院の事務をしているフィオナ・フロスト」こと、女性スパイ「夜帳」が登場します。夜帳は「計画始動の時に私が空いていれば、妻役として彼(ロイド)をもっとサポートできたのに」と言っていますから、タイミングが合えばロイドの「妻役」になっていたはずです。

 では、夜帳が「妻役」だったら、ストーリーはどう変化したかを考察してみます。

 夜帳は極めて優秀なスパイですから、イーデン校の面接などは全く問題なかったと思います。ただし、アーニャの「母役」としては、あまり向いていないとも考えられます。夜帳は「WISE」の論理で動きますし、「ロイドの本当の妻になりたい」も行動原理ですから、ヨルのようにアーニャに無償の愛情を向けるかどうかは微妙です。

 実際、夜帳はアーニャに「娘の強化育成は妻の役割。私が母親となったら、分単位でスケジュールを管理し、知識と体術を徹底的に叩き込む。1か月もあれば星(ステラ)製造マシンにしてみせるわ」と内心で考えており、心を読んだアーニャは「このはは、だんこきょひ」と感じています。

 アーニャは超能力で心が読めますし、(おそらく)4歳で、6歳からの入学であるイーデン校の授業に何とかついていくなど、年齢から考えれば優秀な子供ですが、彼女を育成した組織によるスパルタ教育で、トラウマを抱えてもいます。

 おそらく、夜帳の厳しい教育方針にアーニャはついて行けず、心を閉ざしてしまうのではないでしょうか。ここで救いがあるとすれば、父親役のロイドには、アーニャへの確かな愛情があり、自分の子供を保護する意識もあるということです。

 ロイド自身がアーニャに対してやりすぎたと感じた時は、自分から謝罪したり、機嫌をとったりもしています。最初は夜帳の使命感に引っ張られて、アーニャに厳しく当たるでしょうが、次第に元々の人のいいところが出て「やりすぎだ」と止めに回る立場となるのではないかと思われます。

 この場合、夜帳は「ロイド(というかスパイ<黄昏>)には嫌われたくない」と思うでしょうから、アーニャへの強い当たりを控えるようになるでしょう。

 また、夜帳はロイドとヨルの微妙な距離感を見抜いたりしますし、アニメでは今後描かれるであろうフランキーへの態度を見ても人間の情はあります。決定的に人間性に欠けているわけではありません。次第にアーニャに対しても情が湧くのではないでしょうか。

 優しいヨルが「母役」の方が、アーニャが幸せになることは間違いありませんが、夜帳が「母役」でも、次第に「家族」にはなったのではないでしょうか。