『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』 (C)創通・サンライズ

【画像】反則だろ! おっかなすぎる強化人間のMS(6枚)

シャアをライバル視し、アムロに挑んだが…

「機動戦士ガンダム」シリーズには肉体や精神を強化された「強化人間」がたびたび登場します。強化人間たちはメンタル面で問題を抱えていることが多く、女性キャラは主人公側と敵として出会い、苦悩のなかでも心を通わせつつも、最終的に悲劇的な結末が描かれるのが印象的です。一方で、男性キャラの場合は、攻撃的な言動が目立つだけでなく、時に致命的な事件を起こし大きく物語を動かすこともありました。特に印象深い、3人の男性強化人間を紹介します。

ギュネイ・ガス『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したギュネイ・ガスは強化人間としては珍しく、比較的精神面が安定した存在として描かれています。ナナイ・ミゲルが所長を務めるニュータイプ研究所の出身で、シャアの意向でかつてフォウ・ムラサメやロザミア・バダムらに施されたような極端な強化は施されていないとされています。

 しかし、ロンド・ベルのベテラン兵を一蹴し、アクシズへ向け放たれた核ミサイルを全て撃墜できるほどの高い能力を持っており、「ガンダム」シリーズに登場した強化人間のなかでも屈指の「完成度」を誇る存在なのは間違いないでしょう。

 冒頭のフィフス・ルナ落とし作戦の際に初めて登場したギュネイは、アムロのリ・ガズィと交戦しシャアの助けが来るまで持ちこたえました。非常に目とカンが良く、アムロが切り離したBWSを破壊していますが、これが後にギュネイが撃墜される際の伏線となっています。

 共にヤクト・ドーガを駆るニュータイプの少女クェス・パラヤに惹かれていきます。しかし、クェスはシャアばかり見ていたためまったく相手にされず、彼女の気を引くためにシャアを超えようとアムロを倒してνガンダムを奪おうと画策。戦場で捕らえたケーラ・スゥを人質にしてアムロにガンダムを引き渡すよう命じます。

 ここでギュネイはアムロが切り離したファンネルを放熱板と勘違いして行き違いが生じてしまい、結果としてケーラを殺害してしまいました。若さのせいもあるかもしれませんが、このシーンの一連の言動には強化人間特有の危うさが見え隠れしています。

 結局クェスの気を引くことはできないまま、ギュネイはクェスが乗るα・アジールと共にアクシズを巡る最終攻防戦に出撃し、アムロに挑みます。しかし目の良さを逆に利用されてしまい、νガンダムが投棄したバズーカに注意を向けた次の瞬間、ビームライフルで撃墜され18年の短い生涯を終えました。なお、バズーカを無視してνガンダムに集中した場合は遠隔操作されたバズーカで撃墜される流れとなっており、いずれにせよギュネイの死は免れられないものでした。アムロ・レイ恐るべし。



『機動戦士ガンダムNT』 (C)創通・サンライズ

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民間人がいても「撃っちゃうんだなぁ、これが!」面白系キャラも?

マシュマー・セロ『機動戦士ガンダムZZ』

『機動戦士ガンダムZZ』に登場したマシュマー・セロは、未強化のキャラクターが途中で強化手術を受けた珍しい例です。当初はハマーンに心酔し、騎士道精神にあふれるネオ・ジオンの士官として登場しました。時に空回りしながらも、ジュドー・アーシタのライバル的な存在として存在感を発揮します。しかし、たび重なる失敗の責任を問われ12話で表舞台から退場を余儀なくされ、37話で再登場した際には強化人間になっていたのです。

 強化されたマシュマーは精神的にも冷酷な人物となっており、ダブリンへのコロニー落としを実行に移しました。戦闘力も極めて高く、グレミー・トトの反乱の際にはザクIII改に搭乗し、プルツーのクィン・マンサと互角の戦いぶりを見せました。しかし最後はラカン・ダカラン率いるドーベン・ウルフ隊と交戦して壮絶な死闘を繰り広げたあげく、拡大した自身の能力に飲み込まれるかのように、ザクIII改と共に光の中へ姿を消しました。

ゾルタン・アッカネン『機動戦士ガンダム NT』

 劇場版『機動戦士ガンダム NT』に登場したゾルタン・アッカネンはジオン共和国が密かに用意した「シャアの再来」候補のなかで失敗作とされていた強化人間です。

「ガンダム」シリーズに登場した強化人間のなかでも、スペースコロニー内で民間人への損害お構いなしにビームライフルを撃つなど特に精神の安定性を欠いています。しかし、戦闘能力は高く、強化にかかった予算分は活用したいという考えの元、「不死鳥狩り」作戦に投入されました。

非人道的な強化を受けたため軍や社会を憎んでおり、一見すると極めて幼稚で乱暴な人間に見えます。が、独自に解釈したニュータイプ概念を持つなど知性は高く、自身と同様に強化を受けて サイコミュと同化してしまったリタ・ベルナルに対しては共感や同情を見せるなど、ひと筋縄ではいかない人物です。

 作中では「悪」として描かれたため末路もそれにふさわしいものでしたが、公式の動画で『ゾルタン様の3分でわかる宇宙世紀!』が作られるなど愛すべき点も見られる面白いキャラクターと言えるでしょう。