『キャプテン翼II スーパーストライカー』 (C)YOICHI TAKAHASHI・SHUEISHA TV TOKYO CH.12・TSUCHIDA PRO (C)TECMO 1990

【画像】クソゲーじゃない! 「名作キャラゲー」を見る(7枚)

「ファンなら買い」にガックリしたあの日

 マンガ、アニメ、映画など、何らかの原作を使用して作られた版権モノのゲーム、通称キャラゲー。ファミコン全盛期はこれが粗製乱造されてしまい、その後長らく「キャラゲーに当たりナシ」という風潮が続いてしまいました。しかし、すべてがそうだったわけではありません。素晴らしいクオリティだった往年の名作キャラゲーを紹介します。

「これはもはや正史」と言わしめた『キャプテン翼II』

 いきなり鉄板ソフトの登場です。高橋陽一氏による原作マンガは、全日本ジュニアユースチームを率いた大空翼が仲間たちと国際Jr.ユース大会を制し、単身ブラジルへ渡るシーンで完結しましたが、本作はその2年後からスタート。

 翼はブラジルのサンパウロFCを率いるキャプテンとしてリオカップ(クラブチーム対抗戦)に挑み、日本では3年生になった岬太郎が率いる南葛高校が、悲願の全国大会初優勝をかけて日向小次郎率いる東邦学園高等部と激突します。

 その後、岬や日向たちは世界大会に向けて全日本ユースを結成しますが、強化試合の相手はなんと翼率いるサンパウロFC! プレイヤーはここで翼側を操作するので「全日本ユースと試合する」というドリームマッチを満喫できます。

 そして翼もキャプテンとしてチームに合流し、世界最強の座をかけてブラジルユースに挑む……と、息つく間もなく燃えるストーリーが展開! 本作を遊んだファンたちの多くは「これはもはや正式な原作の続きといえるレベル」と称えました。

 原作サイドもそれを認識しているのか、本作オリジナルキャラである翼の新たなライバル、カルロス・サンターナは、高橋陽一氏による原作マンガの続編にも逆輸入されたほどです(名前と容姿のみで、性格は大きく異なる設定になりましたが)。

これを待ってた!『ドラゴンボール』初の格闘ゲーム『超武闘伝』

『ドラゴンボール』のゲームは第1作目こそアクションゲームだったものの、『ドラクエ』の大ヒットでRPGブームが起きたことを受けて2作目からはカードバトルを採用したRPGに転身。シリーズを経るごとに洗練され、遊びやすくなっていきましたが「せっかくのバトルマンガなのになぁ」という気持ちもどこかにありました。

 そして、スーパーファミコン(SFC)でそんなさびしさを埋めてくれる格闘ゲーム『ドラゴンボールZ 超武闘伝』が登場! 野沢雅子さんらアニメキャストのボイスもばっちりサンプリングし、大きなサイズで描かれたキャラたちによる迫力のバトルが実現しました。

 格闘ゲームとしては粗削りな面もありましたが、舞空術による空中戦、かめはめ波をはじめとする各種エネルギー波はもちろん、悟空だけに用意された三連攻撃「メテオスマッシュ」のかっこよさは感動のひと言!

 真上に蹴り上げた相手を超スピードで追い越して組んだ拳を振り下ろして地面に叩きつけ、最後は痛烈なエルボーで横に吹き飛ばすという、「まさにドラゴンボール」といえるケレン味タップリな大技でした。ただ、ゲームと同発だったVジャンプの攻略本でそのメテオスマッシュのコマンド表記が思いっきり誤植されていたのは苦い思い出です……。



PS2ソフト『機動戦士ガンダム 連邦VS.ジオン DX』 (C)創通エージェンシー・サンライズ (C)BANDAI 2001 (C)CAPCOM CO.,LTD.2001 ALL RIGHTS RESERVED.

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版元が「面白すぎる…」と衝撃を受けた『ガンダム 連邦VS.ジオン』

 ファミコン時代から数えきれないほどリリースされてきた、「機動戦士ガンダム」を題材としたゲーム。モビルスーツ同士の戦闘がアクションになっている「SDガンダム」シリーズはよくできていましたが、「ガンダム」本編を題材としたリアル頭身のゲームは、なかなかこれといった作品に恵まれなかったと筆者は感じています。

 そんななかで新星のように現れたのが、カプコン開発によるアーケードゲーム『機動戦士ガンダム 連邦VS.ジオン』です。2対2に分かれて最大4人で対戦できるアクションゲームになっており、片方が前衛を務めてもう片方が後方から援護する形で戦ったり、一機の敵に対して左右から交互に射撃を当てて撃墜するまでよろけ状態を継続させる「十字砲火」戦法が発見されて広まったりなど、ゲームセンターでの対戦がとことん楽しい一本でした。

 操作性のよさや面白さは「さすがカプコン!」のひと言に尽きると言ってよく、「こんなにクオリティの高いゲームを作られると、今後バンダイから出すゲームの売上に響く恐れがある」という聞いたこともないような理由で発売までの交渉が難航しかけた逸話が残るゲームです。

 当時カプコンに在籍していた岡本吉起氏の公式YouTube動画「過去最高の売上を誇るガンダムゲームの開発に携わりました」で、その顛末が語られています。

その展開は読めなかった!原作者自らシナリオを手がけた『スレイヤーズ』

 著・神坂一氏、イラスト・あらいずみるい氏によるノベル『スレイヤーズ』は、ファンタジーノベルの金字塔と言われるだけあり何度もゲーム化されています。ここでは、1994年に発売されたSFC版を紹介します。

 SFC版は、絶大な魔力と強さを持つ自称天才美少女魔導士、リナ=インバースが記憶と魔法の大半を忘却した状態で物語が始まるので、原作を知らない人も彼女と同じ気持ちですんなりと楽しめました。ストーリー進行に応じて原作キャラがパーティーに加入しますが、「強いけど、戦闘中はこちらの指示をまったく聞いてくれない」など、原作さながらのキャラ付けがきちんとされているのがユニークでした。

 ここから先は物語の重大なネタバレになりますが……ゲームを進めると、プレイヤーが操作してきた少女は「リナ=インバース」ではなく、魔族が「リナを元に作り出したホムンクルス(人造人間)」のうちの1体であることが発覚!

 それを知ったあとでも協力してくれるリナの仲間たちと力を合わせ、封じ込められていた本物のリナを救い出してラスボスを倒せばエンディングを迎えます。

 しかし、本物のリナが「こんな捕まってただけで終われるか」と本物ならではの傍若無人ぶりを発揮してゲームが続行! 原作通りの強さ(最初からレベル99)を誇るリナ(本物)もパーティーに加えられるようになり、さらに冒険が続くのでした。

 そんな凝ったシナリオを手がけたのは、原作の神坂一さんご本人でした。原作ノベルの1エピソードと言ってもいい、充実のストーリーを楽しめました。

キャラゲーのお手本とまでいえる『魔法騎士レイアース』

『カードキャプターさくら』などで知られるマンガ家集団CLAMPによる異世界ファンタジー『魔法騎士レイアース』をセガサターンでゲーム化したのはプラットフォーマでもあったセガ。良好なグラフィックと操作性、そして豊富なボイスなど丁寧な作りが光るアクションRPGでした。

 水辺を移動していると主人公となる3人の少女、獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風のうち風ちゃんだけが浮き輪を使うのですが、ゲームの進行に応じて随時追加されていく3人の絵日記を読んでいくと、きちんと自分だけ泳げないことを気にしている描写が見られるなど、キャラゲーとしても満点の作り込みだと感じました。

 物語は原作と異なるゲームオリジナルストーリーを採用。作曲はアニメと同じ松尾早人氏、新規アニメシーンはTVアニメを手がけた制作スタジオやスタッフが担当するなど、文句の付けようがない布陣で、「キャラゲーに当たりナシ」どころか「キャラゲーのお手本」とまで言えるゲームだったと筆者は思っています。なにかの弾みでリマスターとかされませんかね。さすがにムリか……。

 冒頭でも述べましたが、昔はキャラゲーの数が今よりもずっと多かったため、今回紹介したような名作の魅力がより際立って感じられました。もちろん、名作と呼べるキャラゲーはまだまだたくさんあります。みなさんはどのようなキャラゲーが印象に残っていますか?