「フィギュアーツZERO 源静香」(BANDAI SPIRITS)

たしかに可愛い! 話題になった「しずかちゃん」を見る

世代ごとに「キャラデザ」が大きく違う!

 国民的アニメ『ドラえもん』(原作:藤子・F・不二雄)のヒロインといえば、しずかちゃんです。優しく、かわいく、友達想いで、何かにつけてお風呂に入りたがる、そんなパブリックイメージが全世代的にも定着しているかと思います。

 そんな「しずかちゃん」をめぐり、ネットではここ数年ある「違和感」が唱えられています。それは「しずかちゃんの美少女化が止まらない」というもの。特に『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021』における、しずかちゃんの作画が大いに話題を集めているようです。しずかちゃんは基本、美少女のはずですが、これは一体どういうことでしょうか。

 アニメ『ドラえもん』は2005年に声優陣が総入れ替えしました。それに伴い作画、キャラクターデザインまでもが大きく変更されました。変更後のキャラクターデザインは「原作寄り」ということで、これまで茶髪だったしずかちゃんの髪色は黒髪に。また黒目も大きく描かれ、確かに「美少女」感が強まった気がいたします。大歓迎です。

 このキャラデザ変更を担当されたのが丸山宏一さん。劇場版をはじめそれまでも多くの『ドラえもん』の作画に携わってきた大ベテランであり、何よりも“しずかちゃんを一番上手に描ける”と評されるアニメーターなのです。どうやらこの方こそが「しずかちゃんの美少女化」のキーパーソンのようです。

 あくまでも「原作の絵」が大好きと語る丸山さんですが、以前のシリーズの作画雰囲気を引き継ぎつつ、さらに新たな要素を取り入れようと試行錯誤。そのなかで、しずかちゃんなら、“あまり前髪をカールさせないでほしい”という藤子・F・不二雄先生の要望を反映させた上で、「おさげは45度くらいの角度」、目は「若干、近くを見ているような感じ」、輪郭に対しては「少しアゴを内側に引くように」とパーツ全てにこだわりを発揮し、現在のしずかちゃんビジュアルを確立しました。これは「美少女化」が進んでいるというよりも、その時代に合わせた「可愛さ」を追求しているだけ、とも解釈できそうです。

 しずかちゃんは単なる美少女キャラでなく、物語のヒロインです。絵柄がどんなに変わろうとも彼女の持つ「芯」の強さは不変です。これからも「のび太さんがエッチ」なら「のび太さんのエッチ」と力強く叫んでくれるでしょう(こうした描写自体が消えつつあることに関してはまた別記事に譲ることにいたします)。