『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』キービジュアル (C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

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二度の公開延期を乗り越えた、シリーズ完結編

「愛してる」

 TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公であるヴァイオレットは、そのひと言によって人生を大きく左右されることになります。

 京都アニメーションが制作した『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のTVシリーズ全13話は、いわゆる「京アニ クオリティー」と呼ばれる作画力の高さ、登場キャラクターたちが織り成す繊細な心の動きを追ったドラマ性で、大変な人気を博しました。2度にわたる公開延期を経て、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は2020年9月に公開され、興収21.3億円のヒット作となっています。

 2022年11月25日(金)の「金曜ロードショー」(日本テレビ系)では、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を地上波初オンエア。放送枠を40分拡大しての放映となります。

 TVシリーズの完結編となる『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』ですが、TVシリーズを未見の人でも楽しめるよう、ヴァイオレットの過去をおさらいしたいと思います。

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愛と悲しみを知り、成長する「自動手記人形」

 孤児だったヴァイオレットは、軍人のギルベルト少佐のもとで育てられました。「少女兵」として高い戦闘能力を持つようになったヴァイオレットでしたが、ギルベルト少佐の命令なしでは動くことができません。そんなヴァイオレットは、大切なギルベルト少佐と戦場で生き別れとなってしまいます。

 別れ際、ギルベルト少佐がヴァイオレットに投げかけた言葉が、「愛してる」だったのです。

 戦争が終結しても、ギルベルト少佐の消息は分かりませんでした。両腕を失ったヴァイオレットは、義手というハンデを克服し、「自動手記人形」と呼ばれる手紙の代筆業に就くことになります。戦場で育ったヴァイオレットは当初は人間らしい感情を持ち合せていませんでしたが、手紙の代筆を通して、少しずつ人間的に成長していくのでした。

 ヴァイオレットが手紙の代筆業に打ち込めたのは、ギルベルト少佐が口にした「愛してる」の意味が知りたかったからです。手紙の依頼主や同僚たちとの交流を重ね、ヴァイオレットは言葉の重みを知ることになります。

 人間らしい感情を身につけたヴァイオレットは、「愛してる」の意味も理解するようになります。しかし、ギルベルト少佐の行方は不明のまま。愛を知ることで、深い悲しみも同時に知ることになるヴァイオレットでした。美しくも、せつない物語としてTVシリーズは終わっています。



主人公のヴァイオレットは、義手となった両手で言葉をつむいでいく (C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会