『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(ニンテンドースイッチ版) (C) 1988, 2019 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.(C) SUGIYAMA KOBO

【画像】『ドラクエ』のパッケ絵は、今見てもカッコいい!(4枚)

行けるようになった! 成長感じられて嬉しい「後ほど」演出

 国民的RPG『ドラゴンクエスト』シリーズでは冒険の序盤に「最初は入れない場所」が用意されています。例えば初代『ドラクエ』だと城からフィールドを一歩出れば、川の向こう側に竜王の城がそびえており冒険心をくすぐります。「ドラクエ」にはこうした「後になって来ることにある」、そんなワクワクを煽る伏線的演出がたくさん散りばめられています。他のナンバリングの代表的なところから振り返ってみましょう。

『ドラクエIII』の最初のお城アリアハン城にも、もれなく例の「後ほど」演出は張り巡らされています。『III』の鍵は3種類あり、扉が鍵ごとに用意されています。したがって勇者は冒険を進め新たな鍵を手に入れるたび、戻ってきたくなるのです。特に「魔法の鍵」を入手し宝物庫へと入れた時の喜びは宝物以上の価値があったと言っても良いでしょう。したがって「最後の鍵」で入れた地下牢のツボにたった「500G」しか入っていなくても、開けられたことの喜びの方が勝っていたのです。おそらく。

『ドラクエV』もまた「後ほど」演出が巧みです。父パパスと主人公が初めて訪れる村「サンタローズ」。村を流れる川を北上していくと洞窟があり、父パパスは小舟に乗ってその中へと向かってしまいます。追いかけるように洞窟内部に行ってもパパスが向かった洞窟の地下へは川が隔てて進めません。この地下へ向かえるのは長い奴隷生活を終えた青年時代になってから。父が歩んだ道を進む成長した息子……「ドラクエ文学」にもほどがある展開です。

 400万本以上売り上げた『ドラクエVII』。機体がプレステに変わっても「後ほど演出は変わりません。むしろここに極まります。最初の神殿から進んだ先にある神秘的な「七色の入江」、3DS版では崖から宝箱がチラ見しているなど、「後ほど」ギミックは各所に散りばめられており、「早く行けるようになりたい」と冒険へのモチベーションが高まりっぱなしでした。

「ドラクエ」において最初は行けなかった場所に行けるようになることは成長を直に実感させてくれるものでした。是非とも次回作『ドラクエXII』でもこの「後ほど」演出は取り入れていただきたい限りです。その際、宝箱の中身が2Gであっても構わないのです。